実力至上の学校に入学しました(いいタイトルが浮かばないので仮題)   作:シュンちゃん

27 / 36
忙しいので初投稿です。


26話

沈む。

沈む。

暗い。

暗い水の中。

体は無く、意識だけが底に沈む。動けず、もがけず、ただ沈むのみ。光に背を向け、何も見えない暗闇をただ進み続ける。どこに居たのか、どこに向かっているのかさえ忘れてしまった。...忘れる程度ならばさして重要ではないのだろう。じゃあどうしてここにいるのか?その問いも解もこの意識さえもこの暗闇では意味は無く、ただ闇に溶けていく...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は8月1日。高度育成高校1年は豪華客船の中にいた。定期テストの際に茶柱先生から放たれた『バカンス』に連れて来られていた。このバカンスの為か、赤点不可避と思われた所謂3馬鹿は必死に食らいつき、退学は免れた。よってDクラスの面々は全員が参加出来ている。まぁそれは他のクラスも同じことだが。今は皆思い思いにクルーズを満喫している。プールに入ったり食事をしたり、部屋で遊んだり様々だ。件のバカンスは学校所有の無人島で行う予定であり、もうしばらくで到着するだろう。

俺?いつも通り船内のいい感じの風景を見つけてはクロッキーに描き込んでいく。豪華客船は内部も豪華で、これ程の客船なんてそう乗れるもんじゃない。因みに今はレストラン付近のグランドピアノを中心に描いている。他のクラスの生徒にチラチラ見られるが気にしない。変なことをしているわけじゃないから。

 

「演奏、いいかしら?」

 

後ろから声をかけられたようだ。どうやらこの船にはピアニストもいるらしい。他にもマッサージや劇場もあり、国民の血税をふんだんに消費している。彼女も報酬目当てにここにいるのだろうか。

などと考えていると女性はピアノの伴奏を始めた。俺自身音楽に対しては詳しくないので素人目線だが、やはり上手い。ピアノ伴奏を聞いた事はあまり無いがこれ程ならばピアニストとしてもやっていけたのではないかとさえ錯覚する。

 

 

 

「ふぅ...」

 

 

彼女が鍵盤から指を離し、伴奏を終える。周りにいる生徒らは拍手こそしないが、彼女に注目している者もいた。当の本人は全く気にせず俺の方にやってきた。

 

「久しぶりね、メグル」

「久しぶりだね、イリーナ」

 

イリーナ・イェラビッチ。ハニートラップの達人の殺し屋で俺たち元E組の英語担当で、大切な仲間の1人だ。

 

 

場所を移して船の下部付近へ。ここなら変な邪魔は来ないだろう。

 

「なんでイリーナがこの船に乗ってるの」

「あんたに会いに来た、っていのは建前で防衛省の仕事よ」

「そういえば防衛省に入るって言ってたっけ」

「本当は無理だったんだけど、惟臣の口利きのお陰でね。今はあいつの補佐って感じかしらね。で仕事の内容はある脱走犯を探しているのよ」

「脱走犯?管轄外じゃない?」

 

防衛省職員が脱走犯を追う?危険人物なら分からなくもないが、普通なら別の職員や警察の仕事じゃないだろうか。

 

「確かになんで防衛省がって話だけど、脱走した奴が奴だからよ」

「一体誰が...?」

「『鷹岡明』よ。忘れてないわよね」

「うっそだろ...」

 

鷹岡明。元防衛省職員で烏間さんの同期。俺たちを鍛える為に派遣されたが、ざっくり言うと、

1回目、渚に負けて浅野理事長によって解雇。

2回目、色々手の込んだ罠を張ったもののまた渚に負けて今度は逮捕。となった可哀想な男である。

 

「でも、どうやって...」

「奴が元々新兵育成をしていたって話を覚えてる?鷹岡の監視をしていた看守がその内の1人だったらしくて、いい様に鷹岡に使われていたみたいなの」

「じゃあ脱走も、その後の金や足もその人が...」

「本人がそう自供しているから間違いないわ。ただそれだけじゃないの。それだけなら防衛省はまだ動かなかった。警察に任せていたでしょうね」

「でも今こうして、防衛省のイリーナが動いてる、ってことは」

「その看守から鷹岡の手に渡ったのは金や足だけじゃない、触手もよ」

「はぁっ!?」

 

殺せんせーの身体を構成していた触手。茅野カエデや堀部糸成に埋め込まれて運用されていた触手。あの人智を超えた力が鷹岡の手に?

 

「なんで触手がまだあるんだ...」

「あの触手を生み出した柳沢の研究所を捜索した際に見つかったのよ。本来は研究用に厳重に保管されていたのだけど...」

 

そんなものさえ持ち出すなんて、その看守はどれだけ鷹岡にトラウマを植えつけられたんだ...!

 

「で、ここからが私がここに居る理由だけど、どうやら鷹岡は船を盗んでどこかの無人島にいるみたいなの」

「この船も学校所有の無人島に向かっている訳だけど」

「学校所有の丁寧に管理されている島にね。どんな島でも東京湾から近い無人島なら可能性は0じゃないわ。他の島にも職員が派遣されているわ。もちろん対触手武装をしてね」

「そのうちの一島である学校の島にイリーナが派遣されたって事か」

「ついでにあんたの様子を見にもね。あいつら、あなたに会えなくて少し寂しがってたわよ」

「外に出れないからどうしようもないって言っといて」

 

島にいるかも、か...いないといいけど、まぁいたら捕まえるし、触手の対処法もわかってる。被害が出る前にまた豚箱に戻してやんなきゃ。ぶひぃ。




イリーナ登場です。E組生徒で唯一イリーナと呼びます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。