実力至上の学校に入学しました(いいタイトルが浮かばないので仮題) 作:シュンちゃん
4日目、全てが順風満帆とは言えないが悪くない具合に事は進んでいた。ここまでは。
「んっ...くぁ...」
慣れない環境では充分な睡眠も取れず、中途半端な時間に目が覚めてしまった。こんな時は身体を動かすに限る。という事でまた食料集めに出ていく。
「飛鳥君、おはよう」
「ん、ゴメン起こした?」
テントから平田君が出てきた。
「いや、今起きたところだよ。どこか行くのかい?」
「やっぱ俺が起こしたみたいだね...ちょっと運動がてら食べ物探してくる」
「ありがとう、僕も一緒に行こうか?」
「いやいや、リーダー様はここでどっしり待っててよ」
「ははは、別に僕は自分がリーダーだなんて思ってないよ」
「まあ1人で大丈夫だし、別々に動いても...」
「あっ平田君!」
俺たちの会話を遮るように女子の声が響く。
「おはよう篠原さん、どうかしたの?」
「一大事なの。今すぐ男子達を起こしてきて!」
「え?う、うん」
女子達のきつい目が男子を睨みつける。
「こんな朝早くからどうしたんだい?」
「ごめんね平田君。平田君には関係ない話なんだけど、どうしても確認しないといけないことがあるの。今朝、その、軽井沢さんのカバンが漁られてたらしくて、カバンの中ぐちゃぐちゃな上に下着の枚数が合わないの。それがどういう意味かわかる?」
「え、下着が?」
いつも冷静な平田も思いがけない事態に動揺を見せる。確か平田君と軽井沢さんは付き合っていると耳にした覚えがある。つまり平田君からすれば彼女の下着が盗まれたという事になる。だから『平田君には関係ない』ということか。
「...軽井沢さんは?」
「かなりショックを受けてるみたいで、今櫛田さんらが診てくれてる」
「え?え?何、なんで下着がなくなったことで俺達が睨まれてんの?」
「そんなの決まってるでしょ。夜中にこの中の誰かが鞄を漁って盗ったんでしょ。荷物は外に置いてあったんだから盗ろうと思えば簡単だしね!」
「いやいやいや?!え?!」
池君は大慌てで男子と女子を交互に見やる。その様子を見た男子が冷静な声で呟いた。
「そういや池、お前昨日...遅くにトイレ行ったよな。結構時間かかってたような?」
「いやいやいや、あれは暗くて苦労したんだよ!」
「とにかく。これすごく大問題だと思うんだけど? 下着泥棒と同じ場所で生活とか不可能でしょ」
「だから平田君。なんとかして犯人見つけてもらえないかな?」
「それはっ、でも、男子がとったって証拠はないんじゃ」
「疑いたくないっていうのもわかるけど...とりあえず、男子達のカバンの中を見せてくれる?」
「は? ふざけんなよ。そんなことする必要ないし、断れよ平田」
「ひとまず男子で集まって話し合ってみる。時間をもらえないかな?」
「平田君がそういうなら......わかった。軽井沢さんにもそう伝えてくる。でも犯人が見つかんなかったら私達にも考えがあるから」
「女子の言うことなんか無視しようぜ、疑われるとか気分悪いしよ。俺は戦うぞ」
「だよな、俺達が女子の下着なんて盗む訳ないだろ」
自分本位で物事を考えているが、少しは軽井沢さんの気持ちを考え...る余裕はないよなぁ...。
「でもカバン見せるだけで疑いが晴れるならそれでいいんじゃない?いがみ合ってるだけ時間の無駄だって」
「僕も君たちを疑うつもりはない。それに飛鳥君の言う通りだ、それじゃこの問題は解決しないと思う。身の潔白を証明するためにも、堂々と荷物検査に応じた方が良さそうだね。もちろんまずは僕から開けるよ」
当然ながら彼のカバンにはそれらしきものは見つからなかった。
「じゃお次は俺が行こう」
平田君のあとに俺も続く。しかしこれ、カバンの中にあるからってそいつが犯人とはならないだろう。カバンは外にあったし、それはつまり犯人が自分以外のカバンに下着を隠す事が出来る。誰でも、それこそ女子でさえもが盗む事が出来てしまう。その罪を別の誰かに擦り付ける事も。
「ねぇ...これ...」
「は?」
そうそれは、俺にでも、だ。カバンを見ていた女子が1枚の布切れを持ち上げた。それはおよそ男のカバンから出ないハズの、女物の下着だった。
ナンデ?ドシテ?
いいなぁ、この話、今夏だってよ。
...夏嫌いなんだよな...