実力至上の学校に入学しました(いいタイトルが浮かばないので仮題) 作:シュンちゃん
「......」
心を鎮め、波を落ち着かせる。如何なる時も常に冷静で無ければ高岡を倒すことは出来ない。内面は邪悪ではあるが、腐っても自衛隊上がりの手練だ。踏んだ場数も戦闘経験も圧倒的で、加えて触手も持っていると思われる為、苦戦は必至だろう。まあ触手に関しては多少は対応出来るし、有効な対触手武器もある。気休めとするには充分だろう。
「......」
「飛鳥は何をしているんだ?」
ベースキャンプ端の安定した地面に腰を下ろし、心を鎮めていると、男子生徒が声を掛けてきた。
「ん...確か神崎君、だったね。おはよう」
「ああ、おはよう飛鳥」
「何をしているか、と言われると答えるならば、精神集中と言ったところだよ」
「?毎日やっているのか?」
「いや...必要な時だけ、心の無駄を省く為にやっている。特に今日は大事な日だから」
「何をする気だ?」
「大丈夫、安心していいよ。君たちには被害は出さないから」
「...そうか」
それはこの無人島生活という環境が普段の思考力を奪っていたからか、意味の分からない事をしている飛鳥に対して少なからず恐怖を抱いたからか、この時の神崎は理解出来ないでいた。
「ただひとつ、君にお願いがある」
「...なんだ」
「今日俺が居なくなっても気にしないでほしい。皆が俺が居なくなっても気にしないよう呼びかけて、探しに行かないよう気をつけてほしい」
「何を言っている?何をしようとしている?」
「この試験が終わった時、『これで良かった』って思えるはずだから」
「俺の質問に応えろ!」
「事情も何も知らないまま、はいそうですかと、従える筈がないだろう!お前は一体、何をしようとしている!」
「それを知った所で、君に、いや君たちにどうこうできる問題じゃあ無いんだよ。これは俺達の問題なんだ。巻き込む訳にはいかない」
「これは俺達のやり残した最後の宿題だから」
そう言って俺はベースキャンプから離れ森の中を進んで行った。
「探したわよ、巡!」
「奇遇だね、俺も探してたよ」
「あんたねぇ、ベースキャンプから離れたなら行き先くらい言っときなさいよ!お陰様で探し回る羽目になったじゃない!」
森の中で食料を物色していたらイリーナと遭遇した。
「さっさとバッグを貸しなさい!」
「ほい」
ひったくるようにバッグを受け取り中を漁られる。
「あったあった」
「やっぱりそれ、イリーナの下着だったんだ」
出て来たのは冤罪を吹っかけられる原因になった女物の下着。盗まれたものは気持ち悪いって事で俺のバッグに突っ込んだままだった。だが実は、その下着は軽井沢さんの物ではなく、イリーナの下着だったのだ。
「いつの間に忍ばせたんだよ...」
「あんた達が寝てる間にちょちょいとね」
「というかなんで下着持って島にいるんだよ。船に戻ればいいだろ」
「戻ってる間に何かあったらあんた1人で対処しなきゃいけないのよ?これは効率を優先した結果よ」
「その結果で俺は下着ドロの犯罪者にされたのだが?」
「その誤解は私が解いたわよ。このバッグに入っているのは私のだって」
「それだけで納得してくれる連中じゃないんですが」
「盗まれたって子に下着の特徴聞いたら私の下着とは違う色だってわかったのよ」
そういえばあの時軽井沢さんに下着を確認してもらっていない。本人じゃなきゃパッと見で違うか分からないだろう。
「て事でアンタが冤罪だって事になって、皆顔が青ざめてたわ」
「冤罪とはいえ犯罪者にされたのだから謝罪だけじゃ許せないけど」
「あんたのクラスはこれくらいにして、本題よ。今日の夕方には上陸出来るって連絡が来たわ。それまでは待機してなさい」
「りょーかい」
こうして着実に作戦の準備は進んで行くのだった。