実力至上の学校に入学しました(いいタイトルが浮かばないので仮題) 作:シュンちゃん
「はっはっはっ...」
「ヴヴヴヴア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!」
ただいま、リアル鬼ごっこ中。鬼は触手生やして理性も無くした悲しき鷹岡。だったもの。
「うおっ危ね!」
容赦の無い、殺す気しかない触手を振り回して、そこらじゅうの木をなぎ倒し追っかけてくる。きっと今の奴の目には俺しか映っていないのだろう。それほどまでに俺が、いや俺達が、殺したい程憎いってことだろうか。触手を持っていた堀部糸成や茅野カエデらが言うには、触手を埋め込んだ際に『どうなりたいか』と触手が聞いてきたらしい。恐らく鷹岡の場合もそのはずだ。だがあまりに強い憎しみと怒りで満ちていたなら、触手が理性も自我も呑み込む程の力を与えようとしたのかも知れない。
「ヴヴヴヴゥゥア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」
「この有様じゃあ援軍来る前に死ぬんじゃないかぁ!?」
『援軍到着まで30分です。耐えてください!』
このリアル鬼ごっこを後30分!?来る前に死んでしまいます!でも死にたくないから頑張る!むん。
「先に仕掛けたのはそっちなんだ。文句言うなよ...」
走り回るのは効率が悪いので、触手をぶった斬る為にナイフを構える。斬ってしまえば再生はするだろうが多少は余裕が出るはず。殺せんせー程の速度もないし、難しい事じゃない。
「ヴグア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」
「ここ!っ!?ぐっぁ!?」
突っ込んできた触手は確かに斬った。けど本体も同時に突っ込んで来て腹パンをもらい軽く吹っ飛んだ。
「くっそ...本能かよ...」
理性も自我も無くなり、身体を触手に乗っ取られても身体が本能を失ってはいなかった様だ。元々鷹岡は体術は強く、新人隊員や俺たちを暴力で支配しようとしたくらいだ。身体もしっかり体術を覚えているのだろう。触手は切ったが腹の痛みで動きが遅くなるのでは切った意味がない。
「律っ後何分!?」
『10分切ってます!』
「後10分...耐えたらァ...!」
でもこっちだって、烏間さん仕込みの防御術があるんだよ...!
しばらく殴られ続けて分かったことがある。こいつはもう体術を使えない。最初からずっと殴ってしか来ない。蹴ったり投げ飛ばしたり、明らかなチャンスはあったのにグーパンしかしてこない。恐らく触手の意思みたいなものが身体を動かしていて、触手は殴る事しか出来ないから摑んだり蹴ったりの考えが出来ないのかもしれない。拳で充分と判断したか、触手は再生させているのに使って来ない。
もしくは、鷹岡の記憶でも読み取って、かつての様な肉体言語で支配しようとしてるのかもしれない。何とか耐えてるけど、そろそろ、キツッ...!
「避けてっ!!」
「っ!!」
バァン!!
何処からか聞こえた声に反応して左に跳ぶ。と同時に真横で何かが爆発した様な音と無数の粒と煙が共に弾ける。位置的に、鷹岡はモロにその粒を浴びただろう。横に跳んだ俺にも当たってるし。
「うおっぶ!」
「ア"ア"ア"ア"ア"ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」
爆発の威力はそこまで強くないが、勢いに乗った粒は普通に痛い。
「どうかなー?対触手用弾に対触手用煙幕のお味は?」
「痛い、後なんか臭い」
「あんたには聞いて無いよ、巡」
「あいつもう喋れないみたいだから代弁したんだよ。莉桜」
跳んだ先に居たのは同じ悲しみを共有した懐かしき同級生、中村莉桜。ちょっと離れた位置にも懐かしい顔ぶれが揃っていた。
「にしても、避けろって言われて真っ先にこっち来るとは、運命感じちゃうねぇ」
「はいはい運命運命。というかやっぱ、来たのはお前たちだったんだ」
「まぁー対触手のスペシャリストなんて?アタシ達以外にいるはずも無く?当然ちゃ当然だよね」
「結局の所何人来たの?夏休みだから部活言ってる奴もいるだろ」
「そっ、だから予定の空いてる連中かき集めて来てるから...10人くらい」
「俺と律を入れて12人か...軽い同窓会だな」
「やるならあれ、さっさととっ捕まえちゃお」
指さした方は煙が晴れており、予想通り爆発をモロに喰らい弱り出した様子のターゲットが立っていた。
「ア゙ア゙...ア゙ア゙..ア゙ア゙...ヴヴヴヴグア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!」
鷹岡だったものの、命を吸い尽くして。