実力至上の学校に入学しました(いいタイトルが浮かばないので仮題)   作:シュンちゃん

6 / 36
牛歩過ぎるストーリー構成なので初投稿です


5話

もはやこの時間を授業中と言っていいのだろうか。否、授業中と認識出来る人間は居ないだろう。飛び交う会話、遅刻していながら居眠りする者、叫びのような笑い声。およそ授業中とは思えない状態だが、先生方はメモを取りながら何も言わず、ただ淡々と授業を進めいている。しかし、この教室に一体どれだけの人間がマトモに授業を受けているだろうか?授業が終わっても変わらず喧騒は静まることは無く、ただ先生たちの、俺たちを見る目だけが変わっていく。

「これがうちのクラスの惨状だよ」

「ありえないでしょ...ここ進学校よ?動物園じゃない」

「動物園の動物に失礼だよ。動物以下だよ」

 

時は進んである日の放課後。俺と神室さんは美術室にて部活動中。基本的に絵画や彫刻など自由に進められるが、着手したものは完成させる。というのがここにルール。たまにコンクールにも出展する事もあるらしく、先輩の何人かはそれを目標としている。俺は例の約束の通りに神室さんにデッサンモデルをお願いして描かせて貰っている。やっぱ美人だなぁ。

「いやはや、5月が楽しみだ。阿鼻叫喚で溢れるのが目に浮かぶよ」

「いい性格ね...教えようとは思わないの?」

「今の彼らに言っても信じて貰えないさ。人間ってのは都合の悪い事からは目を逸らしたいものだよ」

「まぁ私はクラスも違うしそんな関係ないだろうけど...」

羨ましい。俺も静かな環境で授業を受けたいものだ。まぁ高校の範囲など全て頭に入ってるけど。

「いつか手痛いしっぺ返しがあるだろうね、世の中そんなに甘くないってさ。そうすれば今よりはマシになってくれるはず」

「ホントいい性格してる...」

 

部活が終わり夜。今度は自室で佐倉さんと写真と絵の見せ合いっこ。夕飯を作っている時にやって来たので一緒に食べる事に。

「すいません、ご飯頂いてしまって」

「いいよいいよ気にしなくて。1人で食べるより一緒に食べた方が楽しいから。でも味気なかったでしょ?一人暮らしの男のご飯なんて」

「そんな事ありません、とても美味しかったです!」

「そう言って貰えると嬉しいね。機会があればまたご馳走するね」

「じゃあ、いつかまた」

 

「それで、これが俺の作品」

「わっ、上手ですね」

佐倉さんに見せたのは、俺の作品のコピーが入っているファイル。こうしておけばパソコンが無くても作品を見せられるし、参考資料としても利用出来る。さらにこのままポートフォリオのように扱うことも出来る。

「まぁこれぐらい出来なきゃ絵で稼げないから」

「可愛い子がいっぱいです」

「可愛くないと見て貰えないし、ゲームでも課金して貰えないからね」

「そうなんですね...お持ちのパソコンにはもっとあるんですか?」

普通に会話しているが、彼女は今、ポートフォリオに釘付けである。

「下描きやらラフやら没モノなんかもあるよ」

「持って来るんですよね?今から楽しみです」

「うん、楽しみにしてて」

「あ、後ろの方、デッサンですね。モノクロの写真みたい...」

「見やすさを意識して、モチーフ毎にまとめてあるんだ」

「凄いです...私じゃこんなに掛けないです」

「こればっかりは数をこなして慣れていくしかないからね」

ファイルの後半にある風景デッサン、そこに描かれているのは、我が母校、椚ヶ丘中学校のE組校舎だった。

 

「ではこれが、私の写真です」

今度は佐倉さんが撮った写真を見せてもらう。フォトブックを渡され中を見てみると、明らかに学校の敷地内ではない光景を捉えた写真が収められていた。市街地の写真、公園の写真、恐らく彼女の通っていた学校の写真など、様々な場所で撮られた写真が並んでいた。

「いいなぁ、綺麗に撮れてる」

「あ、ありがとうございます」

「カメラマンの腕がいいからかな。被写体もイキイキしている感じがするよ」

「そんな...私なんてまだまだです」

「謙遜は日本人の美徳と言うが、これは自信を持っていいと思う。好きでなければこんなにいい写真は撮れないよ」

好きこそ物の上手なれ。という言葉が日本にある。好きだからこそこれほど拘りのあるいい写真を撮る事が出来るのだろう。絵に関しては俺も同じだけどね。

 

「さて、そろそろお開きかな」

時間を見るともう10時を過ぎていた。俺のポートフォリオも佐倉さんのフォトブックも中々の量を収納していたので、こんなにも長く時間がかかってしまった。

「そうですね。そろそろ帰ります。今日はありがとうございました」

「いやいやこちらこそだよ。とても有意義な時間だった。エレベーターまで送るよ」

そう言って2人で部屋を出てエレベーターに向かう。

「それじゃ佐倉さん、おやすみ、また明日」

「はい、おやすみなさい、また明日、です」

そう言って彼女を乗せたエレベーターは上の階に上っていく。それを見送って俺は下行きのエレベーターに乗る。部屋から出たついでに飲み物を買いに行く。コンビニでもいいがもう面倒なので寮近くの自販機へ。そこでブラックコーヒーを購入し部屋に戻る。部屋に入る瞬間に別の部屋の扉が閉まる音が聞こえた。同じように外に出掛ける人が居たのだろうと思い、特に気にせず部屋に戻った。ちゃんとカギもした。ガチャン。




次回からもう少し時間は進みます。チクタクチクタク
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。