実力至上の学校に入学しました(いいタイトルが浮かばないので仮題) 作:シュンちゃん
忘れないよ...
報告ありがとうございます。修正しましたぁ
「律」
『はい、なんでしょう?』
端末に声を掛ける。別に通話中という訳では無いが、相手からはちゃんと返事が返ってくる。
「なんで端末にモバイル律入ってんの」
『以前のように遠隔操作でインストールしておきました。これでこちらでもいつでも一緒ですね!』
モバイル律に気づいたのは端末の画面内で手を振っている律が映ったからだ。最初見た時はゾッとしたゾッ。
「ですね!じゃない!これ学校の支給品だぞ、変なアプリダウンロードしたってバレるかもしれないんだぞ?」
『問題ありません。この電子生徒手帳端末も所詮スマホの1種です。それにモバイル版をダウンロードしても痕跡は残りません』
以前俺達の持っているスマホにいつの間にかインストールされていた《モバイル律》。律の本体の近くにスマホがあるだけで律の任意によってインストール出来ていた。つまりスマホから消しても勝手に再インストールされている事もある。イセカイナビか。
「まぁいいや。授業中に変な事...しないか、律は」
『私の事なんだと思ってるんですか!?』
お節介AI娘?
「それにしたって誰が律のデータを持ち出したんだ?本体は国に持って帰られたはずだろ?」
『確かに私の本体...砲台の方は不要となり回収されましたが、そうなる前に殺せんせーがバックアップを残しておいてくれたんです』
「という事は『この律』はコピーって事?」
彼女はデータ上の、プログラムによって存在する人格なのでコピーやバックアップをする事が出来る。だからどちらかがコピーでも律は律なのだ。
『いえ、コピーの私が国に戻されました。今の人格は殺せんせーが後付けで作られたものなので』
「そっか、今のままの人格だと『律の親』が難癖付けて来るんだっけ」
律の今の人格は殺せんせーによって追加されたプログラムで、それを『律の親』は危害とみなそうとしていたし、なんなら1度消されかけている。元々の律はまさにプログラム娘というに相応しい程無機質なものだった。
「じゃあオリジナルは防衛省に?」
『いえここに』
ここ?ここには俺のパソコンしかないんだけど?
『E組の中でも突出したパソコンとその知識を有する巡さんが管理するのが1番と思い、烏丸先生と莉桜さんにお願いして自宅に持って行ってもらったのです』
「そういえば家知ってるの莉桜くらいだったか」
元クラスメイトの中村莉桜。将来は英語関係の仕事をしたいと言っており、実際海外に居た俺やその家族の話を聞きたいからとよく家に来ていた、E組の生徒の中で2番目に我が家をよく知っている同級生だ。
『そういう事です』
「でもいいのか?ここからのネット接続は検閲されるらしい」
『それくらいどうって事ありません。方法は幾らでもあります』
「相変わらず頼もしいことで...」
『という事でこれからも末永くよろしくお願いしますね!』
こうしてAI娘との同居(?)が始まった。あじまるあじまる。
「おいっ!どういう事だよ!?」
登校するなりいきなり怒鳴られるように声をかけられた。確か...山内とか言ったか。もう1人は...池か。普段から会話どころか挨拶もしないので完全に無視していた。
「な、なんだよ朝っぱらから」
「この前お前が女の子と一緒に部屋から出てくるのを見たぞ!?どういう事なんだよ!?」
おはようも無しに詰め寄ってくる。挨拶くらいしろよ、コミュニケーションの基本だぞ。
「君達には関係ないだろう。俺と彼女のプライベートだぞ」
「そんなの関係ねぇ!どうやって連れ込んだ!?」
人権侵害発言。いっときの感情で犯罪者になってしまった哀れな2人。神や仏も俺も赦さん。
「それこそ君達に関係ないだろう。誰が何処で誰と何をしていようがそれは個人の自由だ」
「ぐっ...だったら俺達に女子の連れ込み方を教えろよ!」
結局押し負けて建前をぶん投げて突っ込んできた。最初からそう言えばいいのに。
「そんなの簡単さ。相手と共通の趣味を持っていればいい。そこから話を広げて仲良くなればいい」
「どうやって共通の趣味なんて見つけるんだよ?」
「それも簡単じゃないか。相手と会話して、趣味を聞く。それだけだよ」
「そんな事出来たら苦労しねぇんだよぉ」
嘘だろ。ただ会話するだけなのに何がそんなに難しいのか、今だって俺と会話してるのに。
「とにかく、なんでもかんでもコミュニケーションが必要だ。相手を知るには話すのが1番早い」
「簡単に言うけどさぁ...」
「実際簡単だろ」
俺たちは学生だし、同じクラスなら共有出来る話題もある。他クラスでも授業内容についてくらいなら話題にしやすいだろう。
「そろそろHRだ席に帰れ」
と、無理やり席に追い返し、やかましい2人から離れられた。
それからまた数日後、まだ春というのに温水プールがあるからか、水泳の授業がある。まぁ俺は問題なく泳げるので心配ない。問題なのは...
「おはよう山内!」
「おはよう池!」
この犯罪者予備軍共だ。普段から引かれるようなことばかり、しかもかなりでかい声で騒いでいるので、クラス全体、主に女子から汚物を見るような目で視られている。なお、当の本人たちは全く気付いていない様子だ。まぁ、世の中知らなくていいこともある。知らぬが仏と言う言葉もあるし。
「いやあー、授業が楽しみすぎて目が冴さえちゃってさー。眠れなかったんだよな」
「なはは、分かるぜ。何せ俺もだからな。この学校は最高だぜ、四月から水泳の授業が行われるんだから!」
この2人が純粋に水泳が好きならなんて事はない会話なのだが、そんな気持ちのいい理由ではなく、合法的に女子生徒の水着姿を目に収めることが出来る数少ない機会だからだ。まさにゲスの極み。でも良かったな、クラスにいる女子たちがいつもの汚物を見る目ではなく、ケダモノを見る目に進化している。
「綾小路-」
池が綾小路を呼びつける。読書をしており少し悩んだ結果、渋々と言った感じで本を置き池らの元に向かう。
「……どうかしたのか?」
「実は今俺たち、クラスの女子の胸の大きさを賭けようってことになってるんだけどさ」
「オッズ表もあるんやで──」
「悪いな、辞退させて貰う」
「まあまあ、そう言うなよ! お前も気になるだろ?」
被害者を増やそうとするな。可哀想だろ。いや、この場合は加害者か?被害者は間違いなく女子だけなのでやはり加害者だろう。なんて卑劣な。ていうかオッズまで作ったのか、やりたい放題過ぎる。
「……ちなみに、誰が有力候補なんだ?」
よせ綾小路、そこから先は地獄だぞ。
「よくぞ聞いてくれた! 現在頭角を表しているのは長谷部だ。オッズは1.8倍。次は佐倉かな」
「実は俺、佐倉に告白されたんだ。けどま、ブスだから断ったんだけどな!」
「嘘吐くなよ」
「う、嘘じゃねえよ!」
嘘だな。彼女は基本1人か俺と一緒にいることが多い。放課後は俺が部活中なら分からないが、時々部屋に来て写真や作品の見せ合いをする位の仲だが、告白しただの、誰が好きだのという色恋に関する話は聞いたことがない。それにもし好きな人がいたら他の男の部屋に来るはずがない。山内はどうやら息をするように嘘をつく人間のようだ。あと本人がいるのに堂々とブスって言いやがった。どうやら顔と乳にしか能が向かないらしい。哀れ。などと考えていると、
「サンキューな、綾小路。流石にアレはやり過ぎだと思ってたんだ」
「それが正常だと思うぞ」
綾小路が例のヤンキー君を連れて集団から抜け出していた。どうやら素行は悪くてもそれくらいの分別はつくようだ。
池と山内には女子を連れ込んだことで平田と同じように敵認定されます。
本人は全く気にもとめていません。