ある時のこと。一人の男の子……吉田 良太が、中学校でいじめを受けていた。どこの学校でも、よくある光景だ。服を剥かれ、蹴り飛ばされて地面を転がる。
「うぐっ、あ……!!」
「ざまぁみろ、バーカ!!」
「悔しかったら殴ってみろよ、まぁ無理だろうけどな!!」
家でも吉田の苦難は終わらない。家に帰れば、父親による教育虐待が吉田を待ち受けているのだ。
「おい良太!! どうしてこれもできない!? 貴様は本当に無能だな!!」
「ご、ごめんなさい……うっ、うぅ……」
「泣いてんじゃねぇ、このクズが!! お前ができないのが悪いんだよ!!」
周りもそれを止めず、吉田は精神も肉体もどんどんズタボロになっていく。それは毎日、吉田に容赦なく襲いかかり続ける。
「オラ、もっと殴ってやれよ!!」
「おいハサミ持ってこい、こいつの髪切ってやれ!!」
「がぁぁっ、ぎ……!!」
刃物を持ち出されて、体を切られても……父親は登校を強制した。絶対に行けと言われていて、行かなければ恫喝されるから。
「これくらいできろ!! 舐めてんじゃねぇぞ!!」
「もう嫌だ……!!」
「嫌だぁぁ!? 嫌だだとォ!? ふざけるなぁぁぁ!!! お前に選択権はねぇんだよォ!!! テメェはもう何もするな、一生引きこもってやがれ!!!」
罵詈雑言に暴力を、延々と浴びせ掛けられ続ける日々。学校を卒業しても、苦痛は終わらない。行くことになった障害者支援施設にて、吉田は残り物を食べさせられ続けていた。
「おっ、おぇぇぇぇ……」
──ビチビチビチ。
洗面所で吐瀉物を吐き続ける。家でのストレスもあって、吉田は既に限界を超えていた。弁当を持っていく許可を得ようと、何度もそう訴えたが……その結果は、恫喝で返された。
「ママの弁当がいるのか!? 本当にいるのか!? その歳にもなってか!? えぇっ!?」
「ひっ、ひぃぃ……わかりました……!!」
「そうだろ!? みんな我慢して食ってんだよ、美味しい飯は家で食べていろ!!」
無茶苦茶な理論を振りかざされて、ここですら怒鳴られて、信頼していた先生にも裏切られた。吉田の周りには、敵か自分に無関心な者しかいなかったのだ。そこを退所したあと、吉田は部屋に引きこもっていた。
『死ねよ、ゴミ!!』
『このクソ野郎が!!』
『生意気な障害者め!!!』
吉田は必死に考える。どうして、自分があんな目に遭ったのかと。自分が何をしたのかと。自分が無能だったからか? ただ自分は、普通に授業を受けていただけなのに。勉強だって、自分なりに頑張っているのに。お弁当を持っていきたいだけなのに。
「……ふざ、けるな」
止まらない吐き気が、突如収まる。その代わりに、凄まじい憤怒が吉田を支配した。とんでもない勢いで歯軋りしながら、憎い相手を睨みつける。
「お前らを……許さない」
先生も、警察も、親も。何もかも自分の敵だ。そう判断した吉田は、ついに堪忍袋の緒が切れた。死に物狂いで筋トレを行い、まず筋肉をつける。そして、ネットで情報を集め……自分に『攻撃』した相手を見つけた。
「こいつら、だな……?」
吉田の顔に、恐ろしい笑みが浮かぶ。家を飛び出して、その者達を見つけた。拳を握りしめて、復讐の炎に身を焦がす。
「そんでさ~……」
「なんだそれ、ウケるわー」
「じゃあ、俺はこの辺で!!」
三人が解散したのを見て、吉田はまず主犯格の跡をつけることにした。人気のない場所に来たところで、目の前に立つ。
「おい」
「えっ、どこの誰?」
「吉田良太だ。覚えてるか?」
その男はしばらく悩むような仕草をして、あの日と同じように吉田を笑った。
「あ、思い出した!! あの時の情けねぇカスだ!! 今頃何しに来たんだ、またイジめられに来たのか?」
「『殴れるものなら殴ってみろ』だったな」
「はぁ? お前、なに言ってんだ? 俺に勝てると思って……げごぁぁぁぁ!?」
──ボゴォッ!!
吉田は男の顔面を、思いっきり殴った。男は、為す術なく吹っ飛んで側溝に落ちる。
「お前は俺の敵。敵は、許さない」
「て、テメェ……!! 訴えてや……ごはぁっ!?」
──バギャア!!
「黙れ」
マウントポジションを取り、何度も何度も殴り続ける。あの日、自分がされたことと同じように。
「がごっ、ごぶぅっ、がっ……ま、待て、待って!! 謝るから……ゆ、許して……!!」
「お前は許さなかった。だから、俺も許さない」
「そ、そんな……ぐぁぁぁぁぁ!!!」
吉田は怒りが収まるまで、延々と男を殴り続けた。自分の拳から血が出ても、相手が血を吐いても、ずっと。
「はぁ、はぁ……」
「が、ぎ……」
「次は、あいつの番だな……」
次に狙いをつけたのは、その協力者だった。同じように追い詰めて、殴る。吉田が考えついたことは、それだけだ。
「お、お前は……ぐぎゃあぁぁ!?」
「報いを受けろ」
「ごぁぁぁぁぁぁ!!!」
そいつもボロ雑巾のようになるまで殴り、放り投げた。三人目も、同じようにボコボコにする。
「オラッ、オラッ、オラァァ!!」
「ぐっ、ぎ……」
「終わったな。次は……親父だ」
冷酷な目で、次の獲物を見つめる。その姿は……如月によく似ていた。帰ってくる頃を見計らい、拳を握っておく。飯の時間が終わった辺りで、吉田が話をする。
「親父。覚えてるか? 俺に何もするなと言ったこと」
「あぁ、覚えてるよ。お前が悪いんだからな? 無能の引きこもりが」
「……俺がジュースを零して、寒い中外に追い出したこともあったな」
「お前が悪いんだろ?」
自分の非は一切認めず、謝ろうともしない父。吉田はもう、肉親だろうと許す気はなかった。
「バカとかクズって、毎日のように言ってきたな。勉強がわからない俺に……無理やり教えたくせに」
「だからなんだ? 俺が悪いって? ふざけんな、テメェみたいなのには当然の扱いだろ。俺ができるんだから、できて当然だよ」
「……クズはお前じゃねぇのか、クズが」
吉田はそう言って、父親の怒りを煽った。無論黙ってはいない、父親は拳を振りかぶる。
「なんだと、テメェ……今すぐ撤回しろ!!」
「嫌だね」
「お前ぇぇぇぇぇ!!! ……は?」
吉田を殴り飛ばそうとしたところで、父はその拳が動かないことに気がついた。吉田は、父の腕を掴んでいたのだ。
「もういい……死ね」
──バゴォン!!
「ごぶぁっ!!」
──バギャギャギャギャ!!
「り、良太ッ!! 何してるの!! やめなさい!!」
そこで母親が止めにかかるが、吉田はそれを睨みつけて止めた。
「今頃遅いんだよ。それとも……お前も、同じ目に遭わせてやろうか!?」
「ひっ、ひぃぃ!!」
「ぎゃっ、がはぁ!! あがっ、げぇ……!!」
殴る。『敵』が動かなくなるまで、一心不乱に殴る。殴られた父親は、最初は抵抗していたが……その気力も無くなって、恐怖に震えている。
「やめっ、やめてくれ……俺が、俺が悪かったっ!! もう、拳を振りかざして脅したりしないからさ……!!」
「本当だな……?」
「あ、あぁ、もちろん……!!」
吉田は立ち上がって、全員に冷たい目を向ける。そして、全員に言い放つ。
「今まで、よくもやってくれたな。もう俺は、お前らに脅される人間じゃない。今度は、お前らが恐怖に怯える番だ」
「は、はい……!!」
「……俺は部屋に戻る。後で飯を持ってこい」
そう言って、吉田は部屋に戻った。痛めつけていた者に、逆に痛めつけられた人達……その様子はまるで呪詛返しをされたかのように、怯えきっていた。行った障害者事業所でも、吉田は迷惑なことをしていた。
「それにしても、あの野郎……ムカつくことばかりしやがって……」
「また始まったよ……もう嫌だ」
「ほっとけ、何言っても直らねぇし……怒らせたらどうなるかわかんねぇぞ」
吉田はその憎しみを、周囲にまで振りまいていた。被害者だった者は、ありとあらゆる者に呪詛を振りまく、加害者となっていたのである。
「ちょっと、やめてください……」
「あぁ、すみません……それにしても、あいつ……またやってやろうか?」
「無理だって、ほっとけよ」
吉田はもう完全に、加害者と化していた。二度と被害者にならないように、と。しかし、それをされる周囲からすれば、たまったものではない。
「……次は、あいつらだな」
自分を恫喝した、前の障害者事業所。そこに、目をつける。
「覚悟しろ」
吉田はそう言って、歯を剥き出しにして笑う。殺意と憎しみを、滾らせながら。
時間は少し飛んで、ここは新設された如月の事務所。終わった報告書を、ゴミ箱に投げていく。しかし、それらはやはり入らない。
「……やっぱり入ってないな。才能ないのかな?」
そう言いながら、如月が露骨に残念そうな顔をする。そして、また事務作業に戻ろうとした時……インターホンが鳴った。如月が立ち上がり、玄関に向かう。
「はい、今行きます」
「すみません。『呪詛返し』の請負人さんがいるのって、ここですか?」
「はい。僕がそうです」
そこにいたのは、三人の女性と子供たち。事が大きいことを察して、如月が覚悟を決める。三人の差し出した名刺を取ると、そこには『松田 ミキ』『秋月 ハルカ』、『鈴木 サユリ』と書いてあった。
「よかったぁ……その、今回は私たちの夫を助けて欲しくて……!!」
「わかりました、こちらへどうぞ」
「お願いします、パパを助けてください!!」
そう言われて、如月はサムズアップと笑顔で返す。子供達に頼まれては、助けない訳にもいかない。
「……それで、今回はどのような件ですか?」
「それが、夫が暴力沙汰に巻き込まれたみたいでして……警察に頼ろうとしても、『それだけはダメだ』って言って止めてきて……何も話してくれないし、何もできないんです。部屋から絶対出てこないから、警察の事情聴取とかもできないし」
「私達も同じで……なにかに怯えてる、みたいなんですが」
事態は、大分深刻らしい。そう思った如月は、更に深く聞く。犯人像を絞り込まなければ、調べようがない。
「犯人像はわかりますか?」
「いえ、本当に何も言ってくれないので……」
「あ、私は名前だけなら……」
名前さえ分かれば調べられる、そう思って如月は名前を尋ねた。
「なんという名前ですか?」
「吉田良太って……そう言ってました」
「あら、そいつなら聞いたことあるわね。今引きこもってる息子が、『吉田良太は、ずっと愚痴と恨み言ばかり言ってる。こっちの気まで滅入るよ』って」
それで如月が思い出したのは、サトウだった。友也くんの時の、太った男。あの時と同じなら、嫌がらせも行われていそうだと、如月は思った。
「……報酬は三人分で、50万円でよろしいですか?」
「わかりました、よろしくお願いします」
「じゃあ、三人で分けて払いましょうか」
それが決まって、とりあえず如月はアプローチする相手を考える。そして、狙いを定めたのは……サユリの息子。
「では、サユリさんの家に行ってもよろしいですか? 息子さんに話を聞きたいので」
「パパ、元気になるかな?」
「きっと元気になるよ、心配しないで」
そう言って如月は、ミキとハルカとその家族を見送り、サユリの家へと向かった。そして、部屋の前でサユリが息子を呼ぶ。
「大希ー? 出てきなさい、如月さんよ」
「如月……如月さんって、ネットで噂の?」
「こんにちは。如月です、はじめまして」
大希と呼ばれた男の目が、明るくなる。有名人に会えて、とても喜んでいるようだ。
「わぁぁぁぁ……夢みたいだ!! 如月さんに会えるなんて!! 呪いを使って悪を成敗……まるで、漫画のヒーローみたいで、めっちゃ尊敬してます!!」
「いや、それほどでも……今日は、吉田良太について聞かせて欲しくてね」
「はい!! 如月さんのためなら、いくらでも!!」
いきなり元気になったのを見て、サユリが少し呆れる。昨日まではご飯も食べなかったのに、と。
「現金な子だこと……」
「まぁまぁ、お母さん。元気な方が聞きやすいですし」
「吉田良太は……なんか、常に荒っぽいヤツですね。常にイライラしてるし、誰かの悪口ばっかり言ってるし……注意されてもやめないし。なんか、嫌なヤツです。俺もずっと聞いてて、精神やられちゃって……不甲斐ない!!」
悔しそうにそう言う大希に、如月は優しい言葉をかけた。
「大丈夫。誰にでもあることだ……俺が来たからには、絶対に倒してみせるさ……他に知ってることは?」
「うーん……あ、あと。あいつ、『カタヤマ』とか『松田』、『秋月』……あと『鈴木』って聞こえました。誰のことなのか、わかんないですけどね。俺じゃないだろうし……父さんが、何かしら恨みを買ってたのか?」
「……なるほど。ありがとう、参考になったよ……そういえば、お父さんはどこに?」
指さされたのは、南京錠のついた部屋。話すのはやはり無理そうだと、如月はそう思った。相手は大人、言葉だけで部屋の鍵を開けてもらうのは難しいという判断だ。
「あそこです」
「そうですか……わかりました。ところで大希くん、あいつが憎いか?」
「はい、そりゃもちろん!!」
確認ができたので、如月は手間が省けたことを喜ぶ。
「それでいい。じゃあ、最後に……君が通っている事業所の、名前は?」
「あ、『たんぽぽ』です」
「わかった、ありがとう。十分だよ……あとは任せてください」
如月はプランを固めた。何があったかは知らないが……相手の素性を暴いて、その上で追い詰めて『呪詛返シ』を行う。
「はい、どうかお願いします……!!」
「父さんを、よろしくお願いしますっ!!」
「任せておいてください、では」
そう頼まれて、笑顔で手を振りながら家を出た如月は、即座に冷たい目になって吉田を見据えた。いつも通りの、悪に対して見せる目。
「覚悟しろ。お前の罪は重いぞ」
そう言って如月は、調べ物をするために歩いていった。しかし、如月はまだ知らない。これが……
自分の破滅を示唆する物だということを。
如月は次の日、すぐに事業所に向かった。そして、様子を伺う……中では、吉田がブツブツと文句を言っているのが聞こえる。
「それにしても、あいつ……」
「やめろって、人の迷惑だよ!!」
「はい、ごめんなさい……チッ」
口ではそう言っているが、全くやめる様子はない。その様子に、如月は呆れを隠せないでいる。
「……やはり、まともじゃないな」
しばらく待ち、終了時間になった。吉田はイライラした様子で出てきて、歩いていく。恐らく、家に帰るのだろう。
「後をつけるか……」
如月はバレないように隠れながら、跡をつける。到着したのは、やはり家だった。家に近づいて、会話を拾うと……吉田の命令が聞こえてきた。
「おい、お前!! さっさとしろ、また殴ってやろうか!?」
「ッ、すみません!!」
「早くしろ、この無能め……」
どう聞いてもパワハラだ。その家族への暴虐が自分の母親と重なって、如月は強い不快感を感じた。
『この無能め、なんでこんなことも……!!』
「……ますます許す理由がないな」
「ない? ないなら買ってこい!!」
「は、はい!! 今すぐ……!!」
それを聞いて、母親らしき人が外に出てこようとしていることを知り、如月は待ち伏せをする。
「……そこの人。お待ちください」
「す、すみません急いでいるので……きゃっ!?」
「吉田良太から、あなたを助けに来ました。あはたの名前は?」
そう言って、如月が母親を物陰に連れていく。母親は怯えていて、痛々しい青痣を体中に作っている。
「吉田 洋子です……あ、あなたは一体? 警察ではない、みたいですが……」
「僕は如月 福司……『呪詛返シ請負人』です」
「あ、聞いたことあるかも……ということは、吉田がターゲットに?」
如月が頷くと、母親は何故か複雑な表情をしている。その様子に如月は、疑念を抱いた。
「……どうしてそんな顔を? 呪詛返しをすれば、あの男も……」
「吉田も、被害者なんです。わかっていたのに、止められなくて……あの子は、あんなことに……」
「詳しく聞かせて貰えますか?」
洋子は頷いて、息子のことを話し始めた。
「吉田はいい子でした。言いつけをしっかり守る子だし、悪いことなんて全然しない……けど、あの人は厳しくて……いいえ、今考えると虐待だったと思います」
「どういうことですか?」
「……勉強ができなかったり、子供の些細な失敗を執拗に責めるんです。脅したり恫喝したりして、注意したらこっちが怒鳴られるから……如月さん?」
如月の思考が、一瞬停止する。悪だと断じていた相手の前提が、いきなりひっくり返ったのだから当然だ。それは、自分がされていたことと同じだから。
『どうしてこんな問題もできないの!? わからない? ふざけないで!! できろって言ってるの!! できなきゃおかしいのよおおおおお!!!』
『障害ィ? 学習速度が遅いィ? 関係ないわよそんなの!! 覚えられないのはお前の自己責任よ!!! 泣いて許されるとでも!? 貴様には本当に反吐が出るわね!! どうなってもいい? それじゃあ、今すぐに殺してあげましょうかぁ!?』
「……あいつも、なのか?」
決意が揺らいだが、すぐに無理やり引き戻す。だとしても、吉田が害悪であることに変わりは無いのだから。
「如月さん……?」
「い、いや。なんでもありません、それで?」
「学校でもずっと、イジメを受けてて……誰も止めなかったし、警察もまともに取り合わなかったみたいで……あの日、スッキリして帰ってきたのは、多分……」
そこで如月は、さっき大希が話していたことを思い出す。彼が言っていた名前は……『松田』、『秋月』そして『鈴木』だった。全部、苗字が同じだ。もし、そうだとしたら。
「……俺は、被害者をやろうとしてたのか?」
「えっ、如月さん……どうしたんですか?」
「その……他には、ないですか?」
自信を失いながら、如月が尋ねる。そこで洋子は……とんでもないことを、口にした。
「今思えば、あれが最後のトドメだったんだなと思います。あの障害者事業所で、お弁当を持っていかせてもらえなくて、胃腸の酷い病気になってそれから……」
「その事業所の名前は?」
「確か……『アクティング』です」
如月の中で、パズルが完成した。全ての辻褄が合った。如月は、彼のことを知っている。あの日片山に言われている様子を、見ていたから。
「……ごめんなさい。ありがとう、ございました」
「えっ、どこに……如月さん!?」
「あの人は、俺の……同族……」
やったことは、復讐。足がつく方法か、そうでないかというだけ。敵に冷酷なのは、如月と同じだ。周りに敵しかいなかったのも、同じだ。そして、何より……アクティングの、生き残り。片山と自分の家族の、被害者だ。
「俺はどうすれば、いいんだ……」
そう言いながら……如月は、逃げるようにその場を後にした。
さぁ、お前はどうする。