星見雅(偽)   作:─────

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ある日の六課オフィス

 

「……ふ、副課長〜?」

「なんですか?浅羽隊員?」

「暁課長が酷いことに……」

「?……あぁ」

 

悠真の視線の先にはコンピューターや書類を睨みつけながら生クリームを袋から摂取する暁雅の姿があった。

その横には()()()が記入するべき書類が山のように積み重なっていた。

星見雅本人はここにいない。

何故このようなことが起こったのか、それは一週間前に遡る。

 

─────────

 

「……む」

 

星見雅は、気づけば自分のデスクに少し多めの書類が積み重なっていることに気が付いた。

零号ホロウの一件の報告書やそのほか様々な書類たちを見て、それを最低限整頓してまとめた雅はいつもどおりそれを暁に渡そうとして

 

(……一応は私を敵視している彼女に、これを渡して良いのだろうか?)

 

ふと、そう考え、そして……

 

(よし、やめておこう)

 

そっと、書類をデスクの棚の中に仕舞った。

次の日、雅は前回とほぼ同じ量の書類が机の上に溜まっていることに気が付き前回の書類を忘れて──もしくは、無意識的に意識を逸らして──別の場所にしまった。それを続けたある日、雅は机に仕舞ったままの書類がどれほどの量に到達してしまったのかを思い出した。

 

「…どうした?」

 

最悪のタイミングで通りかかった暁を何とかはぐらかそうとした雅だったが、机の上を見られてしまう。

 

「書類か、この程度の整理は別に大したことでは……」

 

そう言いながら筆記用具を取り出そうと、暁がデスクの棚を開けた。

開けてしまった

 

「……は?み、雅?これは何……?」

「………………忘れていた、書類だ」

 

雅は観念して、他の場所にしまった書類に関しても白状した。すると、六課のオフィスに大声が響いた。

 

「あ、アンタ仮にも課長でしょ!?こんなっ、こんなことが……っ!」

 

暁はショックで言葉を失い、いつもの雅に近づけた口調すら消し飛びながらも雅に詰め寄る。

そして、数秒固まったのちにため息を吐き、心を落ち着けた後に

 

「もういい、私が作業をする。お前はどこかで遊び惚けているがいい……とにかく、作業中の私に近づくな」

 

─────────

 

それから一週間、彼女は帰らず書類を処理し続けている。本来ならば一度切り上げて休む時間もあったはずの大量の書類、しかし雅が忘れたばかりに期限は間近となり、休む暇などない彼女は怒りと書類に板挟みされた彼女は完全におかしくなってしまい、クリームを吸引しながら鬼の形相で作業を続けるおかしな存在と化してしまったのだ。

 

「正直な話、少し前──ホロウの中で急にハンバーガーの話をし始めた辺りから過労の兆候はありました。しかし、ここまで追い詰められていたなんて……」

「……ナギねえ、アカツキは疲れてるの?」

「せめてボスと呼んであげてください。……そうですね、疲れ切っていると思います」

「じゃあさ、私たちがサシイレ…?買ってきてあげようよ!」

 

他に打つ手がなかった悠真と柳は、蒼角の言葉に手を打った。

そして、柳が彼女に欲しいものがないかと聞くが、しかし彼女からは沈黙しか返ってこない。

 

「……暁さん、ほんとに壊れちゃいました──?」

「……?いえ、小声で何か……」

 

柳は暁の口元に耳を寄せる。

すると

 

「………………今度こそ…許さない、殺すぞ雅……」

 

柳はしばらくポカンと固まり、そして──

 

「まず、課長に謝罪するよう説得するべきですね。このままでは六課のオフィスが吹き飛びます」

「えっ?は、え?」

「急いでください、浅羽隊員。彼女が仕事を終える前に」

 

柳と悠真は課長探しに奔走することとなったのであった。

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