星見雅(偽)   作:─────

14 / 14
14

某日、HIAの職員がVRシミュレーターでのテストに関する協力を要請すべく月城柳の元を訪れた直後のこと

 

「VRのテストは雅に行かせるべきだ。私のデータを取ったところで意味はないだろうし、雅がここに居たのなら、先ほどの私と全く同じことを言うだろう」

「……まぁ、そうですね」

「だから、お前たちがその仕事をこなしている間、私は休暇を申請して構わないだろうか?……すこし、ガス抜きをしたいんだ」

「またスイーツビュッフェですか?」

 

柳に聞かれると、暁は僅かに目を逸らし

 

「まぁ、そのようなものだ」

 

彼女その仕草を、柳は気恥ずかしさから来るものだと考えた。

 

そして数日後、六課の面々がHIAセンターに訪れるという情報が広まり、HIAセンターの前は六課の各メンバーのファンでごった返していた。

 

「……柳」

「なんですか?」

「この中に、()()を知る者、応援する者は、一人もいないのだな」

 

雅はそう言って、微かに目を伏せた。

そんな人混みの中、相手とできるだけ話したくないという雰囲気を醸し出しながら、一人のシリオンが電話をしていた。

 

「……あぁ、順調だよ。で?私は何をすればいい?──はぁ?まぁ、わかった。はいはい……はぁ──再創、ね」

 

彼女は苛立たしげに電話を切ると、その場を去った。

 

────────────

そこからさらに数時間後

 

六課の面々はVR空間に閉じ込められ、脱出を目指して行動を開始していた。そんな中で、浅羽悠真の体が白いボンプとなり、黒幕の得意げな声が響く。

 

『弓使いはほんの手始めに過ぎない。次はそこの小鬼、そのあとは星見家の誇り。そして最後は貴様だ、小賢しい情報官。貴様は──』

「星見家の誇り?それは、()()()のことだ?」

 

VR空間に再現されたHIAセンターの中に、その場にいないはずの人間の声が響いた。

 

『ほ、星見雅が、二人……?貴様、誰だ?どうやってこの中に……っ!』

「雅と私の身体のデータは、その90%以上が同一であり、ほとんど同一人物だ。それ故に、雅を招き入れ、私だけを拒むような真似は出来るはずがない」

『そ、そんな奴がいるわけが──』

「ならば、私はなんなのだろうな?お前の幻覚か、システムのバグか、じっくりと考えるといい」

 

得意げだった声には焦燥が混じり、舌打ちの音共にその声は消え去った。

 

「……暁」

「遅くなったな。HIAから連絡を受けてすぐに駆けつけたが……間に合わなかったらしいな」

「しかし、お前までこの危地に飛び込む必要は……」

「私にできるのはこのくらいだろう?今、やつは私とお前をシステム上で区分するために四苦八苦しているはずだ。今のうちに作戦を進めよう……柳、状況の共有を頼めるか?……反撃を始めよう」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

史上最速で捨てられたシルバー(作者:ねるねるねるな)(原作:ゼンレスゾーンゼロ)

▼ めちゃカワなクローン兵士に転生したけど最速で捨てられた主人公ちゃんがそれでも頑張って世紀末を生き抜く話。


総合評価:2785/評価:8.43/連載:11話/更新日時:2026年01月21日(水) 23:08 小説情報

【本編一旦完結】たすてけ勇者一行がくぁwせdrftgyふじこlp【原作更新待ち】(作者:丹羽にわか)(原作:葬送のフリーレン)

フリーレン世界の魔族にTS転生した。してしまった。人類種の天敵──相互理解なんて不可能な、ヒトを喰らう狡猾な獣に。ヒトのココロを持って。▼(完璧に隠蔽して引きこもってる筈なのになんで勇者一行がくるんだぁぁぁぁ!! 嫌だァァァ!! 死にたくないぃぃぃ!!)▼(他の魔族が絶滅して存在が忘れられてから外に出ようと悠長に構えてたのが悪かったのか!? でも仕方ないじゃ…


総合評価:71372/評価:8.97/完結:46話/更新日時:2025年12月05日(金) 20:44 小説情報

課長から逃げる男(作者:全智一皆)(原作:ゼンレスゾーンゼロ)

「待て高幹(たかみき)、何故逃げる」▼「お前が修行吹っ掛けてくるからですけどぉ!?」▼石上高幹(いしのかみたかみき)は新エリー都住まいの剣士である。しかし、ただ虚狩りのシリオンと幼馴染であるというだけの一般人である。▼そんな彼は、今日も今日とて頑張って第六課のシリオン課長から逃げ遂せるのだ。


総合評価:3008/評価:8.66/連載:8話/更新日時:2026年07月07日(火) 01:06 小説情報

新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話(作者:ぽこちー)(原作:ゼンレスゾーンゼロ)

▼ これは、新エリー都に住む『あなた』と、『あなた』の特別な人物との日常を描いた短編小説集です。▼ ※アキラ/リン×エージェントのカプ小説ではないので、カプ厨の方はご注意ください。▼『あのキャラの話を書いてほしい』『こんなシチュを書いて欲しい』等のリクエストがありましたら↓にコメントくれると嬉しいです。▼参考にさせていただきます。▼https://syose…


総合評価:2462/評価:8.93/連載:65話/更新日時:2026年07月21日(火) 01:25 小説情報

TS転生クレープ屋NPCはアキラに喰われたくない(作者:黒巛清流)(原作:ゼンレスゾーンゼロ)

ゼンゼロの世界に転生した。元男の現在ゼンゼロ体型の美少女となった主人公。▼NPCポジとして過ごしていた主人公だがある日気づく。▼…あ、この世界アキラがビデオ屋のゴミの世界だ。▼ホテルに女エージェントと共に消えていくアキラを見ながら思う。▼自分は絶対にアキラに喰われないぞ!!!


総合評価:2403/評価:8.68/短編:4話/更新日時:2026年06月20日(土) 03:14 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>