星見雅(偽) 作:─────
某日、HIAの職員がVRシミュレーターでのテストに関する協力を要請すべく月城柳の元を訪れた直後のこと
「VRのテストは雅に行かせるべきだ。私のデータを取ったところで意味はないだろうし、雅がここに居たのなら、先ほどの私と全く同じことを言うだろう」
「……まぁ、そうですね」
「だから、お前たちがその仕事をこなしている間、私は休暇を申請して構わないだろうか?……すこし、ガス抜きをしたいんだ」
「またスイーツビュッフェですか?」
柳に聞かれると、暁は僅かに目を逸らし
「まぁ、そのようなものだ」
彼女その仕草を、柳は気恥ずかしさから来るものだと考えた。
そして数日後、六課の面々がHIAセンターに訪れるという情報が広まり、HIAセンターの前は六課の各メンバーのファンでごった返していた。
「……柳」
「なんですか?」
「この中に、
雅はそう言って、微かに目を伏せた。
そんな人混みの中、相手とできるだけ話したくないという雰囲気を醸し出しながら、一人のシリオンが電話をしていた。
「……あぁ、順調だよ。で?私は何をすればいい?──はぁ?まぁ、わかった。はいはい……はぁ──再創、ね」
彼女は苛立たしげに電話を切ると、その場を去った。
────────────
そこからさらに数時間後
六課の面々はVR空間に閉じ込められ、脱出を目指して行動を開始していた。そんな中で、浅羽悠真の体が白いボンプとなり、黒幕の得意げな声が響く。
『弓使いはほんの手始めに過ぎない。次はそこの小鬼、そのあとは星見家の誇り。そして最後は貴様だ、小賢しい情報官。貴様は──』
「星見家の誇り?それは、
VR空間に再現されたHIAセンターの中に、その場にいないはずの人間の声が響いた。
『ほ、星見雅が、二人……?貴様、誰だ?どうやってこの中に……っ!』
「雅と私の身体のデータは、その90%以上が同一であり、ほとんど同一人物だ。それ故に、雅を招き入れ、私だけを拒むような真似は出来るはずがない」
『そ、そんな奴がいるわけが──』
「ならば、私はなんなのだろうな?お前の幻覚か、システムのバグか、じっくりと考えるといい」
得意げだった声には焦燥が混じり、舌打ちの音共にその声は消え去った。
「……暁」
「遅くなったな。HIAから連絡を受けてすぐに駆けつけたが……間に合わなかったらしいな」
「しかし、お前までこの危地に飛び込む必要は……」
「私にできるのはこのくらいだろう?今、やつは私とお前をシステム上で区分するために四苦八苦しているはずだ。今のうちに作戦を進めよう……柳、状況の共有を頼めるか?……反撃を始めよう」