星見雅(偽)   作:─────

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感想やお気に入りありがとうございます
返信はできていませんが、しっかりと読んでおります!
最後まで書き切れるかわかりませんが、全力で頑張ります!


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「──なんなんだ、お前は」

 

「頭脳では月城柳に劣る、力では星見雅に劣る」

 

「なんという中途半端」

 

どこからか、蔑むような声が聞こえる。

 

「お前など、 星見雅の偽物 ではないか」

 

声は、私が目を逸らし続けていた事実を私に突きつける。

 

偽物

 

次第に声が大きくなる

 

偽物偽物偽物!

 

「汚らしい偽物!」

 

────────────

 

「……っ!……はぁ、はぁ」

 

ひどい夢を見て目が覚めた。

服が汗で張り付いて気持ち悪い。

 

「……ようやく目覚めたか。酷くうなされていたが、どうした?」

「へっ?なんでここに……?」

「お前がいつもの時間に居なかったから、少し心配になってな」

「そうですか。……私は心身ともに健康そのものですよ、ただ少し変な夢を見ただけです」

「そうか。ならば急ぐとしよう、お前はすでに四時間ほど寝過ごしている」

「あ、はい……。…?……!?よっよよ四時間!?なんで起こさないのさ!?」

 

雅の言葉に寝ぼけていた頭が一気に冴える。

ついでに驚きの余り取り繕っていた口調が全て吹き飛んだが、仕方がないだろう。

四時間の遅刻など、星見と暁の両方の雅にとって前代未聞だ。

星見雅は急いで支度をする私を、しばらく見つめたあとクスリと笑った。

 

「ようやく、私に素を見せたな」

「はァ!?そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!?仮にも課長ですよアンタ!ほら私も支度終わったから!ダッシュダッシュ!」

 

突っ立ってこちらを見据える彼女の腕を掴んでガレージまで走り、車の後部座席に彼女を押し込んで発進する。

 

それからしばらくして、静かに運転をしていると今朝の夢を思い出した。

抑えてきた様々なものがあの悪夢をきっかけとして、私の中で渦巻き始めるのを、私は感じていた。

 

「暁、大丈夫か?」

「えぇ、大丈夫です。ご心配ありがとうございます」

 

私の返答に、星見雅は眉を顰めた。

 

「暁、私には敬語でなくとも良いと思う」

「いえ、私なりの線引きですので」

 

──────────

 

車を降りて、ゆったり歩こうとする星見雅の腕を掴み六課まで走る。

 

「遅かったですね?」

「私が寝坊したんです……ごめんなさい」

「……これまで皆勤だったあなたですし、一日くらいならとやかく言いません。しかし、逆に心配ですね……体調はいかがですか?不調なようなら休んでも──」

「いえ……、いや、その必要はない」

「……いつ見てもすごい切り替え速度ですね」

「褒め言葉として受け取っておく」

 

柳さんに遅刻について謝り、ついでに()()雅への切り替え速度について褒め言葉を貰い、少しはこの仕事も板に付いたかな、などと考えていると悠真さんが

 

「……ところで、本物の方はどこ行ったんです?」

「……え?」

 

背後を見やるが、そこに星見雅の姿はない。

思わず彼女の腕を握っていたはずの手元を見るが、そこには焦った私が車に置き去りにしていた朝食の焼きそばパンが握られている。

 

「どうやら、逃げられたらしい」

「……はぁ、今日は朝から会議、その結果によってはホロウ内部での作戦行動が行われる予定です。彼女には伝達できていないので、お願いできますか?」

「私は戦闘向きでは……、そう言っている場合でもないな。了解した」

 

会議の内容は怪奇現象の頻発するホロウについて。

そこはただの小さな共生ホロウの一つのはずだった。

しかし、少し前からはデッドエンドブッチャー等のその場所には存在しないエーテリアスが多数目撃されているらしく、このホロウの内部調査の為にH.A.N.Dは六課と他の少数部隊をまとめて派遣する計画を立てたらしい。

私と柳さんも出席した今回の会議にて、六課が内部調査のリーダーとして他の課から集められた戦闘員と調査員を率いることとなった。

 

────────────

 

「……陣形を乱すな、ここが最終地点だ。調査班、数値は?」

「はい!と、特に数値に異常は……っ、雅さん!あそこに人影が!」

「なに…?」

 

背後を振り返ると、そこには頭の上に耳の付いたシリオン系の黒い人影が確かにあった。

私や星見雅に似た形状から、おそらくは犬科のシリオンだろうか?

しかし、影もないのに黒いその人影は少し不自然で……

 

「──ッ!下がれ!」

 

咄嗟の反応でギリギリ抜刀が間に合い、()()の初撃を受け止めることができた。

それによって、ソレの姿形が明らかになる。

 

「……み、雅さんが二人……?」

「馬鹿!違う、あれは“ドッペルゲンガー”!他人の姿を模倣するエーテリアスだ!」

 

背後に控えた調査員の言った通りだ。

コレは、()()雅を模倣したドッペルゲンガー。

つまり、私に勝ち目は無い。

 

「……柳、巻き込んではいけない。その者たちを連れて退却しろ」

「しかし──」

「退却の後、六課の()()で戻って来い。いいな?」

「……!はい、了解しました。皆さん、調査は終了しました!早急に退却します!」

 

柳さんの号令に従い、六課の先導で戦闘員と調査員の全員が退却して行く。

残されたのは私と星見雅のドッペルゲンガーのみ。

今朝に見た夢を思い出す。

ドッペルゲンガーと私、どちらも同じ薄汚い偽物だ。

 

「……同じ穴の狢、か」

 

私が刀を構えると同時にドッペルゲンガーも刀を構え、姿勢を低くして踏み込む。

全力の星見雅と同等の力量、その一撃が……私には見えなかった。

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