星見雅(偽) 作:─────
避けて、抜刀。
振り抜いた一太刀は黒い人影によって防がれる。
一進一退の攻防であるように思えるが、確実に押され始めている。
それもそのはずだ、あれは実力だけで見れば
私のような偽物で太刀打ちできるはずがない。
「……ああ、そうだ。わかっていた」
目の前の黒い影と、記憶の中の私に木刀を向ける星見雅の姿が重なる。
心のどこかでわかっていたのだ、私と星見雅は表裏一体ではないと。
私は、星見雅の影にすら成れはしない。
何故なら、私の中のなにか……譲れない場所がまだ、
あぁ、それならば、自ら影の道を選びながら、未だそう叫ぶならば
「──殺す…、殺してやるぞ!星見雅──!」
私は、彼女を殺さねばならない。
私がもう一度影として在る為に、自覚してしまったこの感情を、目の前の
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「……っ!はぁ、はぁ……!」
息を切らして、ただ走っている。
殿を務めた暁雅を死なせないために。
彼女は私に向かって、六課の全員と共に戻って来いと言った。
それはおそらく、星見雅
そして、そうなれば揃ってしまう星見雅二人を目撃することのないよう他の職員を撤退させろと言ったのだ。
しかし、彼女一人で耐えられるはずがない。
彼女自身が常日頃そう言っていたのだ、自身は星見雅に及ばないと。
そんな彼女を一人で戦わせるわけにはいかない。
私は蒼角と浅羽隊員の二人に職員たちを任せ、彼女の元へと走っていた。
彼女一人では及ばないとしても、私と二人なら一時間は保てるはずだ。
それならば、雅本人が到着するまでには十分だろう。
ドッペルゲンガーが現れた地点へと向かったが、彼女たちの姿は無い。
慌てて周囲を捜索しようとしたその時、怨嗟に満ちた叫び声が聞こえた。
『──殺す…、殺してやるぞ!星見雅──!』
声が聞こえたのは下だ。
よく見れば、崖に見えた場所は端だけが角度の鋭い傾斜で、端の鋭い角度によって崖のように見えていただけだった。
そして、その傾斜の下の開けた陥没跡で、暁雅と星見雅のドッペルゲンガーが死闘を演じていた。
暁雅は、今までに見たことのない表情でドッペルゲンガーを睨みつけている。
そして、その闘い方も今までの星見雅を模倣したものではなく、片手で刀を持つ荒々しい戦い方。
振り抜かれたドッペルゲンガーの刀を左手の籠手で弾き飛ばし、右手の刀で首を狙って振り下ろす。
ドッペルゲンガーがそれを避けると、今度はそれを蹴り上げてダメージを与えると同時に後退させる。
勝つ事以外何一つ考えない戦い方、先ほどのセリフは後ほど聞き糺す事にして、一度加勢しようと薙刀を握り直したその時
「やめておけ、柳。これは暁だけの戦いだ」
私の肩を掴んだのは、他でもない星見雅だった。