星見雅(偽)   作:─────

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ある日のこと、六課のオフィスへと入った月城柳は思わず大きなため息を吐いた。

 

「おっ副課長!あの二人止めてくれません?かれこれ十分くらいアレですから、もうそろそろ机が悲鳴上げてますって」

 

視線の先には、六課の備品の机を使って腕相撲に興じる二人がいた。

二人とはすなわち、二人の()である。

 

「……はぁ、コホン。お二人とも─────」

 

その時、バキリと嫌な音が響いた。

机の足のうち一本がへし折れ、机がバランスを崩して横倒しになると同時に二人もバランスを崩して床に転がる。

同時に起き上がった二人のうち、暁が

 

「私が押していた方向の足が折れた、即ち私の方が力が強いと言うことだ」

 

胸を張る暁の頭を柳が軽く引っ叩く。

 

「すっかり恒例になりましたねぇ、我らが課長二人の勝負」

 

悠真が言うように、あれから暁は度々雅に勝負を仕掛けるようになった。

しかしその勝負はほとんどが引き分けに終わり、どちらかが勝ったとしてもそれから二、三回ほど勝負を繰り返す頃には双方の勝敗は均等となり、また勝負が起こる。

このループがここ最近はずっと続いていた。

 

「……まだだ、次は──」

「あ・か・つ・き、サン?」

「……はい、やめます」

 

拳を握り込んだ暁の肩を柳がガシリと掴み、本日二度目の勝負は始まりよりも前に阻止された。

 

「……さて、覚えていると思いますが、明日は零号ホロウの調査へ向かいます。目標は零号ホロウ内で観測された想定外のエーテル活性の調査です」

「今回は()()()が出る?」

「零号ホロウ内には、防衛軍や一部の人間のみが存在しており、一般市民は存在しないはずです。そのため、お二人ともが出動してよろしいかと」

「……そうか」

 

「ならば、どちらが多く狩れるか…だな」

 

耳をピンと立てて、僅かに楽しそうな笑みを浮かべた暁を再び叩くか迷った柳だったが、それは零号ホロウ調査のモチベーションになるだろうということで放置した。

 

「さて、取り敢えずお二人への差し入れです」

 

柳が取り出したのはメロンパンとシュークリーム。

雅は、メロンと名の付くものであれば大体好きだが、暁は甘くてクリームがあるものがだいたい好きらしい。

二人の区別は、微妙な表情の違いか、メロンとクリームのどちらに興味を示すかの二通りの方法で見分けられると言うのは六課の共通認識である。

雅がメロンパンに手を出したのと同時に暁がシュークリームに手を伸ばす。

静かにゆっくりと食べる雅と、もきゅもきゅと頬張ってかなりの速度で食べる暁。柳はこの日、ここにも二人の対比があったことを見つけたのであった。

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