星見雅(偽) 作:─────
「それは……!一回鳴ったら反応アリ、二回だった高活性、三回なら強烈、四回は……」
エーテル物質の探知機がけたたましい音を上げ始める。
『一体何?』
「ま、まさか!これは…」
探知機がスパークして破損すると同時に、エーテリアスの凄まじい鳴き声が響き渡る。
調査員は試験していたボンプを連れて階段へと逃げ込んだ。
『あれって…?』
「ダメっ!嘘、彼女が……?」
ピンク色の巨大なエーテリアスが他の小さいエーテリアスを引き連れながら頭上を飛んで行く。
調査員とボンプは危機は去ったかと飛び去っていったエーテリアスを覗き込む。
その時、背後から小さな羽音が鳴り、背後を振り返ると、そこには鋭い刃を構えた小型の虫のようなエーテリアスが迫っていた。
「……っ!」
しかし、そのエーテリアスの刃は二人に届くことはなかった。
何故なら、頭上から落下してきた人物がそのエーテリアスを串刺しにし、消滅させたからだ。
「雅、一点リードだ」
「集中しろ、暁」
「ふむ、勝つ自信が無いからと話を逸らしたか?」
「……大将首がすぐそこだ、アレを討ち取った者の勝利で良い、と言った」
「はっ、分かりやすくて良いな!」
二人のキツネのシリオンは競い合いながら周囲のエーテリアスを蹴散らすと、風のように巨大エーテリアスが飛んだ方へ駆けて行った。
「お二人とも、目標とは安全な距離を維持してください」
駆けつけたピンク髪の女性は、通信機から聞こえた返答に困り顔をする。
その後ろから、女性と同じ制服の男が走ってくる。
「ぜえ、全速力の二人になんて……追いつけないって……もう全部あの二人でいいんじゃないですか副課長〜?」
「あ、あの制服はH.A.N.Dの、それも特別行動部の執行官……!?」
「……あ、どうしますか副課長?完全にあの二人とエンカウントしましたよこの人たち」
「…………私が話をします」
男が二人を見据えた。
ピンク髪の女性が調査員とボンプに近づく。
「対ホロウ特別行動部六課です。現在、緊急の鎮圧任務を執行しています。こちらのエリアで情報のない、極超級エーテリアスが確認されました。あなた方の任務がなんであれ、遊撃部隊として本作戦の支援にあたるよう要請します。─────これは対ホロウ六課副課長による正式な召集です」
定型文のような言葉を発し終えたあと、彼女は一度ため息を吐いて。
「それと同時に、先ほど目撃した二人について、お二人には後ほど守秘義務に関する契約を締結していただきます。アレは極秘機密ですので」
その後、ボンプと調査員は極超級エーテリアスの対応のため、六課の課長以外のメンバーと共に零号ホロウを駆けずり回った。
ホロウの鎮圧というよりかは課長を追跡することが主目的のような状況の末に
「……っ!あんなとこに!」
悠真が、重力異常で浮かんだ列車の上に二人を見つけた。
二人は相変わらず競うように数々のエーテリアスを切り捨て、極超級エーテリアスに接近している。
目標のエーテリアスを目前にした二人は、一度目配せをする。
雅がエーテリアスの前方に回り込み、妖刀を引き抜くと同時に、暁がエーテリアスの背後からコアを狙った一撃を放つ。
煙が立ち込める中、極超級のエーテリアスは深手を負いながら逃走して行き、二人の雅はビルの上に並んで着地した。
「……引き分けだな」
「そうだな」
「おっ、いたいた!課長〜!」
「お二人とも、ご無事で何よりです。首尾はどうでしたか?」
「芳しくはなかったな。先ほどの一振りは……むう、「茶碗を砕く木槌と思へば、黒板を伝う白墨が如し」と言ったところか」
「……分厚いバーガーへの一口目は、自分で思っているより小さい」
「……最近、暁さんも訳わかんないこと言い出すようになったよね。しかも大体その時食べたいモノの話してない?」
「とりあえず、お二人の勝負の余波で周囲のエーテル活性は低下しています。一度帰投しましょう」