ウルトラマンジェノス   作:桂ヒナギク

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1.ウルトラマンがやってきた

 地球より遥か遠くにある惑星ジェノサイド。

 今、この星が侵略宇宙人の魔手によって、崩壊しようとしている。

 町は燃やされ、蹂躙される人々。

「王子、どうかご無事で……!」

 幼い男の子が、救命艇で宇宙へ放出された。

 直後、ジェノサイドは爆発を起こして消滅した。

 救命艇は、人の住める惑星を検索しながら、宇宙空間を航行する。

 やがて、青くて緑のある美しい星を、救命艇は察知した。

 救命艇は、その美しい星へと降下していき、砂丘へと着陸した。

 ハッチが開き、男の子が降りてくる。

「う……」

 男の子は太陽光による異常なまでの暑さにうなだれた。

「本当にこんな星に人が?」

 男の子は砂丘を彷徨う。

 行けども行けども砂丘は続く。

「はあ……はあ……」

 男の子は喉を乾かし、ついには倒れてしまった。

 

 

 男の子が見知らぬ部屋のベッドで目を覚ました。

「………………?」

 辺りを見渡す。

「よかった。気が付いたのね?」

 そういうのは端正な顔立ちをした女の子、ではあるが、男の子にはその子の言葉の意味が理解できなかった。

 男の子は起き上がり、女の子に訊ねる。

「ここはどこ?」

 しかし、女の子に男の子の言語が通じない。

「英語……じゃないわね。どこの国の言葉かしら?」

 女の子はスマホを取り出すと、言語翻訳アプリを起動した。

「ここに向かってしゃべってくれる?」

 しかし、アプリでも男の子の言語は翻訳できなかった。

「うーん、困ったなあ……」

 頭を悩ませる女の子に、男の子がテレパシーを送る。

(僕の声が聞こえるかい?)

「え?」

(今、君の頭に直接話しかけている。その方が伝わると思って)

(なにこの声? もしかして君が?)

(そう。君の名を教えてほしい)

桜木(さくらぎ) (あい)

(愛。ここは何という星なんだい?)

(地球っていう星だけど)

(地球? 聞いたことないや)

(君、鳥取砂丘に倒れていたの。考古学者のお父さんが見つけて連れ帰ってきたのよ)

(そっか。助けてくれてありがとう)

(お礼ならお父さんに言って)

 その時、グラグラと部屋全体が揺れだす。

 男の子はベッドから飛び出すと、窓の外を見た。

 つられて外を見る愛の目線の先には、見たこともない巨大生物が。

「か、怪獣?」

 怪獣。空想上の産物だと思われいていたが、実際にそれを目にして怯える愛。

 男の子は窓を開けると外へ飛び出した。

「君、ダメよ!」

 男の子は怪獣に向かって駆け出す。

「ぎゃおおおおああああおおおお!」

 怪獣は咆哮のあと、火球を男の子に吐いた。

 男の子は火球をかわし、高くジャンプして怪獣の腹部にパンチを叩き込んだ。

 それを傍から見ている愛は思った。

(こういう時、テレビだったらウルトラマンが来てくれるのに!)

 その時だ。

 上空より巨大な光の球が現れる。

「今度は何よ?」

 光の球が巨人の姿に変わった。

「え?」

 一瞬の出来事である。

 巨人は腕をクロスして光線を放った。

 怪獣に光線が命中して四散する。

 巨人は足元の男の子を見下ろす。

「ジェノスじゃん。お前が留守にしてる間にジェノサイドが!」

 ジェノスと呼ばれるその巨人は、人間の男性へと姿を変えた。

「王子じゃないか。ジェノサイドがどうしたんだ?」

「ジェノサイドは……滅んだ」

「え?」

「凶悪なシオード軍が襲ってきて……」

「そう言えば、あの怪獣もシオード軍が使役している怪獣だったな」

「ジェノス、しかしなんでお前、こんなところにいるんだ?」

「宇宙を航行中にたまたま救命艇と怪獣が見えてな。この惑星に害を及ぼされたらまずいと思って追ってきたんだ」

 そこへ愛が駆け寄ってくる。

「うん?」

 ジェノスが背後を見る。

(ダメじゃない、勝手に行っちゃ)

「君は?」

 ジェノスは地球の日本の言葉で訊ねた。

「日本人?」

「ああ」

「あなた、その子の知り合いなの?」

「うん、まあ」

「よかった。保護者の方ね。その子、鳥取砂丘で倒れていたの。あれ? そういえば巨人は?」

「巨人ならさっき光に包まれて消えたよ」

「そうなんだ。あ……私、桜木 愛」

榎田(えのきだ) (さとし)だ。桜木さん、この子を助けてくれたんだったね」

「うん、お父さんがね。その子、何者なの?」

「惑星ジェノサイドの王子様だよ」

「ジェノサイド?」

「ここから何億万光年と離れた惑星だ」

 

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