この暴れ鬼に祝福を! 作:シュシュッ イヨォー!
「わーい!」
「安いよ安いよー!」
「今日のクエストは…」
どうも、皆さん。百鬼夜行もひれ伏す天才、鬼頭はるかです。私は今…異世界に来ています。
「………なんじゃここー!?」
なぜ、こうなっているのかと言うと…
〜2時間前〜
「いやーこのお店本当に色々ありますね。」
「まあ、マスター本人が『ないものはない』と言うほどだからな…」
「だからって何でもありすぎでしょ…」
何をやっているか?そう、大掃除である。やはり毎年この時期となると、どこもこれをやるもので…それはここ喫茶どんぶらでも変わりはない。雑談しながらとはいえ、中々大変である。
「というか大掃除と言うと、アレを思い出しますね…」
「アレかぁ…」
「アレはなぁ…」
私達の言う「アレ」とは、皆さんご存知ドン・キラーのこと。詳しくは「たなからボタンぽち」という回を参考にしてほしい。その時も原因は大掃除で、見つけたボタンを押した結果大変なことになったのだが…まあとにかくうんぬんかんぬんあったのである。今でもアレがトラウマになりかけているメンバーは少なくない。
「まあでも今回はジロウさんが居ないし、前みたいなことは…」
その時だった。何かを押すような音が鳴ったのは。
「…誰だ!?何を押した!?」
「いや誰もボタンなんて持って…あっ。」
「…え?」
そう。私の足元にあったのだ。ボタンが。こんな不意打ちがあるとは思っていなかった。というかこんなの不可抗力でしょ。
「…どうしようどうしようどうしよう!!??」
「待て!落ち着くんだ!またドン・キラーとは限らない!」
「でもこのボタン押すなって書いてありますよ!?絶対ドン・キラーレベルの事が起きますって!!」
私達はそれはもうてんやわんや。それも当然、またドン・キラーが来るとかなってしまったらたまったものではない。ただでさえなんか「ヤベーイ!」とか鳴ってそうな赤いボタンに「押すな」という文字、確実に何かある。
「まずはマスターと桃井を呼んで…いや、この際犬塚とジロウも呼ばないとだ」
それを教授が言いきる前に私は、見知らぬ場所へと転移していた。
………そして今に至る。
これは所謂異世界転移という奴である。私も最近漫画のテーマにしようとしていたのだが、まさか実際に転移することになるとは……
『…まさか、あのボタンを押してしまうとは…』
「マスター!?えっこれどこから声が…」
『はるかさん、無事ですか!?』
「雉野の声も…」
『まさかあのボタンが異世界転移ボタンだったとは…』
「教授!?」
これは一体どういう事か。3人の声が何処からか聞こえてくるではないか。しかもよく見たらなんかよくあるホログラム的な四角いワイプの通信もある。
『君が押したボタンは異世界転移ボタン、もし異世界でドンブラザーズの力が必要になった時にドンブラザーズの面々を送るための道具なんだけど…今回に関しては前みたいに金庫に入れて置かなかった俺の落ち度だ、本当にすまない。』
「えーっと…帰ることって…」
『一応キビポイントは貯まるし使えるから、どうにかキビポイントを貯めて帰るしかない。不幸に見舞われてもいいなら、今すぐ戻すけど。』
流石に異世界から戻るとなると相当なキビポイントが必要だろう、前使った時よりもっと酷いことになるかもしれない…それは嫌だ。
『とりあえず、こうして通信することは出来るみたいだ…どうにか頑張ってほしい。』
『はるかさん、どうか無事で…!』
『…まずはギルドというところに行って、冒険者登録をすると良いよ。そっちは所謂ファンタジー世界、モンスターを倒せばキビポイントも少し増えるから冒険者になって損はない。』
「…わかりました!とりあえず衣食住をなんとかしないと…」
そうして数分後、無事ギルドを見つけたのだけれど…
「冒険者登録料……?」
「はい、1000エリスになります。」
私は早速躓いた。
〜視点チェンジ!はるか→???〜
はいどうもカズマです。今俺の目の前には、頭を抱えている黒髪黒目、彫りが浅い顔の女の子が居ます。年は大体俺より1個下か同い年かくらいだろうか、見たことない制服をしているが高校生で間違いなさそうだ。
さて、どうしたものか。
「いきなりこんな所で躓くなんて……」
別に助けてやる義理がない、というのはそうなんだが…
これは十中八九転生者。即ち…ここで恩を売ればパーティに入り、俺の楽をさせてくれる可能性がある。女の子相手に少し騙すようで申し訳ないが…今はあの駄女神しか仲間が居ない、手段は選んでいられない。
「なあ、そこのアンタ。」
「…はい?」
「登録料で困ってるんだよな?はいこれ。」
「…いいんですか!?」
「良いんだ良いんだ、俺達もそこで躓いたから。」
「このご恩は忘れません!ありがとうございます!!」
計画通り…!!!
「代わりと言っちゃなんだが、登録終わったらちょっとクエストを手伝ってくれないか?」
「その程度でいいなら!!!」
…ちょっと申し訳なくなってきたな……
俺が女の子にもドロップキックを決められる真の男女平等主義者とはいえ、だ。…まあ、せいぜい役には立ってもらおう。
〜視点チェンジ!カズマ→はるか〜
「いや〜、親切な人が居て助かったなぁ。」
そういえばあの人、他の人と違って日本人ぽかったような…もしかしてこの世界、転生者的なのも居るのだろうか。
「それでは、こちらの水晶に手をかざしてください。」
「あっ、はい。」
色々な説明を受けて目の前に置かれたのは、水晶というには機械的なアイテムだった。これで私のステータスとか色々が決まるのか…!いやぁ、もしかしたらめっちゃ強いとかあるかもしれないし…!
そんな事を思いながら水晶へ手をかざすと、水晶は光り、外周の機械的な部分は動き出した。水晶の光が下部の尖った部分へと送られ、冒険者カードへと情報が記されていく。
「これであなたのステータスがわかりますので、それに応じてなりたい職業を選んでください。」
一体どうなる…!?
「はい、ありがとうございます。キトウハルカさんですね…おお、身体関連の能力はどれも高いですね!平均をある程度超えています。魔力と幸運が低めですが…これなら上級職は無理でも、ソードマンやナイトにはなれますよ。」
「うーん、剣かぁ…」
私は剣を使ったことはない、そういうのはタロウの領分だ。…ただ、どうやら冒険者というのはどんなスキルも覚えられるらしい。器用貧乏になりがちらしいが、私にはアレがある。正直火力面も防御面もそれで補えるし…そう考えていると、1つの職業が目に入った。
「戦隊…?」
「見たことない職業ですね…」
戦隊と言えば、私は暴太郎戦隊ドンブラザーズの一員。それならば、これほどぴったりな職業はない。
「戦隊でお願いします!」
「ですが、前例のない職業となると、こちらでのサポートが少しやりにくくなりますが…」
「それでも構いません!これも言うなれば冒険!未知へ突っ込まずして何が冒険者か!」
「…………わかりました!それではこれから、冒険者として頑張ってくださいね!」
こうして、私の冒険者生活が始まるのであった…!
にしてもさっきからマスター達が黙っている。まあ人前じゃ仕方ないか…
「お、登録を終わらせたみたいだな。」
「はい!…えーっと、なんて呼べばいいですかね…」
「あー、佐藤和真だ。よろしくな。」
「鬼頭はるかです!よろしくお願いします!」
「とりあえず、俺とそのパーティメンバーと一緒にジャイアントトードって奴の討伐に行かないか?」
「おお…!ついにモンスターを倒す冒険が始まる…!」
そう、この時点ではワクワクしていた。この時点では。
〜数分後〜
「ゴッドブローとは女神の怒りと悲しみを乗せた必殺の拳!相手は死ぬ!!!!」
「いやそのカエル打撃効きにくいんですけど!?」
「…カエルってよく見ると可愛いと思うの。」
あっ食われた。……って
「「食われてんじゃねぇぇぇぇぇ!!!」」
これからどうなるのだろうか、私の異世界生活。
じかーいじかい。
私はキビポイントを貯めなければならない。
仲間は元ニートに、
頭の悪い女神、
そしてちっちゃい中二病。
それでも戦わなきゃ、私、戦隊だし!
ドン2話「こうまのばくれつ」
さあ楽しもうぜ!
時系列に関してはドンブラザーズはドンブラザーズVSキングオージャー後、このすばは2話辺りを想定。