「今日は、テストでも戦闘訓練でもない。 RESCUEだ。」
「「レスキュー!!」」
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今日のヒーロー基礎学は、少し遠い演習場で行うそうで、、、、
私達A組はコスチュームを着て、バスを待っている。
「みんな!スムーズに乗降できるよう2列になるんだ!」
「飯田くんフルスロットルだね!!」
「あれ、そういえば緑谷、お前コスチュームどうした?」
「ああ、この間の戦闘訓練でさ、壊れちゃったんだよ。ところどころ焼けてたし。だから今、直してもらってるの待ってるんだ。」
「ああ、そいえばそっか。爆豪くんにぶっ壊されちゃったもんね。」
向こうで爆豪くんがちょっと気まずそうな
初見なら確実に、「申し訳ない」って思ってる顔だとわかるはずがないんだけど、雄英に来て数日経って、なんとなく爆豪くんの今のあの怖い顔が「ちょっとだけ申し訳ない」と思ってるときの顔だってことくらいは、だんだんわかるようになってきた。素直じゃないねえ、、
「、、、爆豪くん、さっきなんか申し訳なさそうにこっち見てたけど、怖かった。。。」
「かっちゃんが?気づかなかった。」
「緑谷くん、爆豪くんと幼馴染なんだよね?大丈夫?コミュニケーション困ったりしないの、、?」
「かっちゃんはあれでも色々と考えてるんだよ。」
そうしているうちに。すぐにバスが来た。
飯田くんの指示通り、列の先頭から順に乗り込む。
飯田くんは、列の最後尾。人数に漏れがないかを確認してくれるそう。
でも、、
「、、くそう!こういうタイプだったか!!」
椅子が向かい合わせになっているタイプ()
最後尾の飯田くんが乗った頃には、全員列乱れて適当に座っちゃっていた。
私はどこ座ろうかな、、、と残っている席を探す。
、、うぇ、爆豪くんの隣しか残ってないじゃん、、
これ隣に座らずに立ったりしたら、流石に露骨かな。
飯田くん、前の席私と変わってくれない?って言おうとしたけど、相澤先生がさっさと座れって顔でこっち見てくる。
前の相澤先生。後ろの爆豪くん。こわいものに挟まれて逃げ場がないよー、、。
しぶしぶ爆豪くんの隣に座る。
「、、おい、お前。んで嫌な顔してんだコラ」
「、、、してないです、、。」
「してんだろが」
「してないです。」
走行中、各々の個性の話になってひと花咲いた。
梅雨ちゃんが「爆豪ちゃんは人気でなさそうだわ」とためらいなく言っちゃったので、非常に怖かった。隣が。
こわごわと爆豪くんの顔をうかがったら、「なに嫌な顔してんだ殺す」と言われてしまった。
泣き出す前に、相澤先生にもう少し静かにしろと注意されて、隣も少し静かになった。
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「着いた。降りるぞ。」
相澤先生に続いてバスを降り(飯田くん、バスに深々と礼してる、、、)、目の前のドームのような大きな建物に入っていく。
「ええ!なんだこの施設!!でっけえ!!!!」
「すごい、山みたいなのもあるし、どこからか水の流れる音もする。ここほんとに屋内施設か、、?」
「すっげーー!!USJかよ!!!」
バスを降りたら、相澤先生以外でもう一人出迎えてくれた先生がいた。
宇宙飛行士の宇宙服のデザインのコスチューム。グッズとかたくさん売れてそうなかわいらしい見た目。
『スペースヒーロー・13号』だ。
災害救助現場で大活躍のヒーローで、子どもたちに非常に人気でかなり有名である。
生でみると、意外にも背が高く見えるな、、、、
「ようこそ!ここは僕が雄英に頼んで作ってもらった巨大救助訓練施設。
名付けて、、、
「「「(本当にUSJだった!!!)」」」
「訓練を始める前に、みなさんにお小言をひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、、、、」
ふえるふえる
「みなさんご存知かとは思いますが、僕の個性は『ブラックホール』。指の先からどんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます。」
「その個性で、どんな災害からも人を救い上げるんですよね!」
「ええ、、、しかし、簡単に人を殺せる力です。みんなの中にもそういう個性がいるでしょう。超人社会は『個性』の使用を資格性にし、厳しく制限することで一見成り立っているようには見えます。しかし、一歩間違えれば容易に人を殺せる『いきすぎた個性』を個々が持っていることを忘れないで下さい。」
私は、個性が突然発現したあの日を思い出した。
人生で初めて命の危機を感じたあの日。大型トラックに初めてはねられるも(逆に何度もはねられ慣れている人間なんて怖いったらありゃしないし、初めてなんて当たり前か。)、なんとか大怪我だけですんだ。
おそらく、その強烈な”
しかし、あの日そんなことに一切気がついていなかった私は、病室の壁を無自覚に崩落させた。
人は巻き込まなかったから良かったけどね。
個性が初めて発現した子どもによる”個性事故”は後を絶たないが、それだけではなくて成人した大人の中にも、何かの拍子で個性が暴走して周囲の人間を巻き込んでしまう事故が少なからず起きている。
基本的に個性の事故は、周りのヒーローが即座に対応することでなんとか成り立ってはいるけど、、、
私達はこれから、その
この、わたしの『個性』で、人々が助かるような!!
人間が『個性』というものを手に入れて、人間から超人へ、進化してしまった超常黎明期。
秩序がなくなった混沌とした時代。
人が人ならざる力をもったらどうなるか、人間の自然状態が示されてしまったとも言われている時代。
個性の危険は、ヒーローの台頭によって一般人の目に映りにくくなっているだけで、潜在リスクも性質も状況は当時と現代で何ら変わってはいない。
私達が憧れのヒーローになったら、仕事は
極端な言い方をすれば、私達が社会の『個性』を管理するのかもしれない。
社会での『個性』の使用を許されたヒーローが、社会の監視をしている、という見方も存在する。
異常が起こっていないか。あったらすぐに駆けつける。
どこかで暴走が起こってないかも、すぐに察知して対応する。
わたしたちは、これからその『
わたしは、そこまで考えてしまった。
やはりどうしても個性の強さとか超常の無秩序さを考えると暗い気分になるけど、わたしだって雄英高校ヒーロー科に入った生徒!!
責任感を感じるほど、俄然やる気になる。
今日の訓練も頑張ろう!そう思えた。
「君たちの力は人を傷つける為にあるのではない。助けるためにあるのだと心得て帰って下さいな。」
13号先生が話終えて一礼。
パチパチパチパチ!!!と拍手がわきおこる
「すてきーー!!」
「ブラボー!!」
「13号、ありがとう。そんじゃまずは、、、」
さーあ、今日も訓練!やったるでえ!!
しかし、わたしの意気込みはすぐに出鼻をくじかれた。
ヒーローになる責任感、将来の自分の理想の英雄像、救助訓練への熱いやる気。
様々なものをちょうど実感した私たち、ヒーローの卵の前に現れたのは、、
日々、プロが向き合っている、
「13号!!!生徒を守れ!!!」
「なんだなんだ!?」
「入試のときみたいな、もう始まってるってやつか、!?」
「いや、違う。あれは、、、、
USJの中央付近に黒いモヤが広がる。
そこから次々と、20人、30人、40人、、、
初めて殺意を感じ取った日だった。