「じゃあ、共美。頑張って来るんだよ〜!」
「はーい。いってきまーす!」
受験当日。家を出たらまずやること。当然、空を見上げる。
真っ青できれいな空。全体の2割くらいを、ふかふかのわた雲が占めている。
うん。いい受験日和かもしれない。
高校につく前に交通事故とかにあったら洒落にならないから、きちんと注意ながら、ゆっくりと雄英高校へ向かった。
のだが、、、
えと、ここが高校であってるんだよね、、???
少し高い丘を登っていく時点で、こんなところに高校があるのかとまあびっくりしていたのだが、近くに来てみると、何だこの大きさは。
門の左右に広がる塀は端がギリギリ見えないほどに広い。歩いて雄英の塀の周りを一周するのにいったい何時間かかるんだろう。
さすが偏差値79の日本有数の超有名トップエリート高校だ。
国からたくさんお金もらっているのかな。OB・OGのヒーローからの寄付金もすごい額だろう。
受験者会場と書かれた門を発見。各地の中学校の制服を着た、個性的な面々がその門に吸い込まれていく。
顔が完全に鳥の人。すごく大きい牙が生えている人。そもそも顔が見えない透明な人。、、など
ここにいる全員が雄英を目指しているのだと思うと、非常に緊張してきた。
雄英の合格倍率は300倍と言われている。私はこれからその試験に挑むのだ。彼らと競い合って。
門をくぐり、目の前の建物を見上げる。
ほえ〜、でかい。
「、、、うわっ!!」
ぼーっとしていた。早速つまづいてしまった。やってしまった。
とっさに目をつぶってしまい、手を前に出して地面との接触を待つ。、、のに、全然地面の感触が感じられない。
あれ、?転んだと思ったのに、転んでいない。でも地面が目の前に見える。
「大丈夫?」
すぐ隣から、柔らかい声が聞こえた。
「私の『個性』。ごめんね、勝手に。でも、転んじゃったら縁起悪いもんね。」
つやつやの茶髪ボブカットで、大きな丸い目をした女の子。あたたかそうなコートを着ているが、顔はほんのり赤くて寒そうに見える。
「あ、ありがとうございます。助かりました。」
「緊張するよねえ。」
「、、はい。」
「お互い頑張ろう、じゃあ!」
「は、はい!」
なんと明るい子だろう。受験前なのに個性を使わせてしまって、とても申し訳ないが、緊張がすこしほぐれた。
よし、受験。頑張ろう!あ、名前聞いとくの忘れたな、、
すると、前から声が聞こえた。
「あっ!!!あれ、、転んで、ない?」
「大丈夫?今日二人目や」
「あーわわわっ、ありがとうございますっ!」
「緊張するよねえ、」
さっきの子が、もう一人転びそうになっていた人を助けていた。髪が緑の、少しオドオドしたような雰囲気の男の子。
なんか仲良くなれそうだな()
私は大きく息を吸い込んで、受験に臨む意気込みを高めた。
よっしゃ。
******
筆記試験が終わり、実技試験の説明会場へ移動する。筆記の出来で頭を抱えている人や、うまくいったのか少し自信ありげに鼻息を荒くしている人、次の実技試験への緊張でカチコチになっている人など、それぞれの面持ちで席に座っていった。
わたし?筆記?頭はいいのかって?聞かないでください。正直に言って、自己ベストレベルでうまくいった。
でも、過去問では一度も合格最低点を超えたことがない。ボーダーに乗っかっていることを祈ろう!そう、ばかなのだ!!!
うん!考えないことにしよう!
とにかく次の実技試験への緊張で固まっていた。
会場がざわついていると、筆記の試験監督だった金髪の、ノリノリの、学校にあまりふさわしくなさそうな見た目の、先生が出てきた。
「Hey!リスナー諸君!緊張してるかあーーー!!?これから実技試験の説明を始めるぜ、アーーユーーレディィーー!!??」
会場はいたって静かだ。あれはたしかプロヒーロー、プレゼントマイク。
先生は、反応があまりないことを少し悲しそうにしながら流れるように試験の説明へと移っていった。
試験内容は、ロボットの破壊。
倒したロボットのタイプによって1・2・3Ptが与えられ、合計得点を競うらしい。そして、お邪魔ギミック、0Ptのロボットも存在するそうだ。
あの日発現した私の『個性』
それを発揮するのに、まさにベストの試験で、私は小さく左手でガッツポーズをした。
******
突然のスタートの合図で実技試験は始まり、受験者は一斉に走り出す。
なかでも、両手で爆発を起こして急加速したつんつん金髪頭の男の子が、先頭を突っ走る。いや、ほぼ走ってはいない。
その男の子は、「死ねやああああ!!!!!」という謎の暴言とともにド派手に先制点をあげた。
周りの受験生たちもそれに追随する。
よしっ!私もいかないと!
左の路地に隠れていたロボット二体を発見。
かなり大きく、足がすくんでしまう。それでも、さっきの死ねや君から習い、衝撃を与えればきちんと壊れてくれることがわかっている。
ロボットに向き直り、仁王立ちでしっかりと踏ん張る。
右手の親指と人差し指を立て、ピストルの形を作って、左手でそれを支える。
一体目のロボットの目(目というかセンサー?)に照準を合わせて、こう呟く。
「一個目。 〈トラック〉 っ!!!」
同時に、ドンッっっ!!という音とともに、ロボットの顔面がへこんで無力化される。
「もう一発!〈トラック〉!!」
ロボットはどちらも動かなくなり、表面の装甲が歪んでいる。
きちんと壊せた、、かな、?
1+2=3Ptを稼げたことを確信して、すぐに次のロボットを探しにいった。
あの日発現した私の『個性』。
それを私は、『
1つ目は〈ストック〉。
私が日常生活している最中に、その時に起こった出来事を強く印象に残す。頭に焼き付ける。
去年の夏休み最終日にトラックにはねられた体験、それを私の個性が覚えていて、あの経験が〈ストック〉されていたのだ。
そして今度はそれを〈放出〉する。
私がした体験のうち〈ストック〉されているものを、〈放出〉することで、対象にも同じ経験を『体験』させることができる。それが私の個性、『
その対象は、生物でも無生物でも何でもいいようだ。私が体験させたいと認識して意識を集中させたものならいけるようだった。
家の近くの公園でこの個性を練習していたとき、〈ストック〉の過程も〈放出〉の過程も、ただその時の経験を印象に残そうとしたり、ただ外に発射しようとしたりするだけでは、なかなかうまくいかなかった。
心の中で「(.....〈ストック〉..!)」と念じる。または「〈放出〉!」とか「〈発射〉ぁ!!」とか口に出して言うことで、そのワードを核にして、個性の操作がしやすくなることがわかった。
私は今、二体のロボットに、[トラックにはねられた体験]を体験させたことで、ロボットにダメージを与えたのだ。
そしてロボットはそれくらいの衝撃で壊れてくれるようで、非常に助かった。
また、逆に対戦相手がロボットで良かった。
今持っている打撃技は〈トラック〉のみ。人だったら力の調整が全くできないからね。目の前の人が全員はねられてしまう。
「さ−て、次のロボットはどこだ、っと!」
そうして私は順調にロボットを倒していった。
主人公の個性が明らかになりました。