あの体験をあなたにもう一度   作:ぼーる

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個性把握テスト

私の家の最寄り駅から電車で15分、そこで乗り換え、朝の通勤通学の時間帯とは思えないほど空いた電車でさらに揺られて40分。

そうしてやってきた駅のホームに降りると、そこからもう、遠くに雄英高校が見える。

小高い丘の上にそびえ立つ巨大施設。この街を見守るかのように、鎮座している。

 

同じ電車に乗っていて同じく降りた客のうち、3分の2くらいが雄英の制服に身を包んでいる。かくいう私もそのうちの一人。

下見と受験で2回はこの駅に降りているが、このホームからの景色は未だに見慣れない。遠くからの雄英は、見るものにどっしりとした印象を与え、どことない安心感があるな思う。

 

改札に向かおうとした瞬間、誰かから肩を叩かれた。

「ねねね!!あなた、多分ヒーロー科だよね!」

私はすぐに振り返った。

でも、誰もいない、、

「私、あなたを入学試験で見たの!私もヒーロ科!よろしくね!!」

 

すぐに、目の前に服が浮いていることに気づく。

振り返って、声がした目線の高さで人を探していたため、すぐには気づかなかった。

なるほど、顔は見えないけど、服が元気に動いている

透明になる個性か、透明人間、はじめてみた、、、、

 

「お、おわ、はい、そうです。よろしくお願いします、、。」

「私、葉隠透といいます。同じクラスだといいね!!透ってよんで!」

「私は双葉って言います。下の名前は、共美。よろしくね、、!」

 

すごく元気な子だ、、

表情はわかんないけど、絶対ばっちりな笑顔なんだろうな。声もかわいいし絶対美人さんだろう。あと表情がわからないなりになのか、感情表現を全力で体でしてくれててかわいい。

 

それから葉隠さんと二人で、互いの個性のこととか、入学式とか、雄英はどんなだろうとか、そんな話をしながら高校へ向かった。

葉隠さんから透とよんでと強制され、透ちゃんと呼ぶことにする。わたしはともみんと呼ばれ始めた。うん、透ちゃんは陽キャだ。

校舎の入口に貼ってあった掲示を見て、透ちゃんとクラス一緒だったことを確認し、ハイタッチをして、教室を目指した。

 

******

 

 

「「とびら、、、でかい、、、、」」

「どんな個性の人でも通れるように、みたいなことかな、、」

「うん、きっとそうだよ透ちゃん。ユニバーサル個性デザイン的な、、、?」

「この中、教室にめっちゃでかい人とか居たりして、。ちょっと楽しみかも、。」

「じゃあ、開けるよ、、」

 

扉に手をかけてスライドする。大きさに似合わず、全く手に重さを感じないで、すっと扉が開く。

開けた瞬間、見慣れた顔が目に飛び込んできた。

 

「あ!!死ねやクン、、ジャナクテ、、爆発の!!!ひと!!」

「、、あぁ、、??うるせえな、誰だよ、ちっ、お前かよ、、。」

「、、ともみん、友達、、?」

「い、いや、入試で一緒だった人。ちょっと協力した。」

「お前が居なくたって別に何も変わんなかったんだよ。、、俺一人で十分だったっつってんだ。

 

       ちっ    」

「えぇ〜、、、」「舌打ち、、、」

 

こわ〜い。。。

 

 

そして、席はまさかの爆豪くんの後ろ。はは、これからの学校生活、大丈夫かな、、、

 

その後は、爆豪くんと委員長キャラの子の漫才を見て、爆豪くんと緑色の髪の子の漫才を見て、不審者らしきが入ってきて突然HRが始まった。

 

「担任の、相澤消太だ。よろしくね。早速だが、体操服(これ)着てグラウンドに出ろ。」

 

 

、、、入学式は、、?

 

 

******

 

 

「「「個性把握テストぉぉ!!??」」」

 

「入学式は!?ガイダンスは!?」

「ヒーローになるならそんな悠長な行事に出る時間はないよ」

「、、、、、、、、」

「雄英は"自由"な校風が売り文句。そしてそれは"先生側"もまた然り」

 

そうして始まった、入学式裏体力テスト。最下位除籍のおまけ付き。

 

 

____50m走____

 

足から氷を出して滑走していくイケメンな人、運動場でまさかのバイク乗ってる人(ずるくない、、?)、もはや走らず飛んでる爆豪くん、そして、明らかに走るために生まれてきた足にエンジンついてる委員長。見た目からもう絶対速いじゃん、と思い、そして速かった。

 

私は、緑髪の子、緑谷くんと一緒に走るらしい。

 

「えと、わたし双葉といいます。よろしくね。」

「あっ、僕、緑谷です。緑谷出久。よろしくね。」

 

50m走はロボットが正確に測定をしてくれた。4秒台とかいるしね。これって0.1秒とかも測ってくれるのかな。

「双葉、7.58!緑谷、7.02!」

 

 

____握力____

 

わたしが何かしらヒーローらしい記録を残すとしたらここだ。

隣で、手がたくさんある人が純粋な筋力で540Kgを叩き出していた。つまり540Kgかけても壊れないってことだ。

 

握力計の握る部分を、親指と人差し指でつまむ。

親指と、人差し指から同時に個性を放出して、器具に一気に圧をかけよう。

 

「両指から、、、〈トラック〉」

 

どんっっ!!!という音とともに握力計の握る部分が一気に縮む。握力計の両側から数トンのトラックが1台ずつぶつかってるんだもんね。それで壊れないこの握力計に感心する。

 

「記録、、、890Kg、、、」

 

4桁には届かなかった。とはいえ800キロ、、、、、、

これ食らってたわたし、よく生きてたな、。

 

 

「ええ!凄い記録だね双葉さん!!」

「へへ、緑谷くん、ありがと。」

周りのクラスメートもざわっとする。

 

すると一人、見たことある子が駆け寄ってきた。

「あ!君、入試のときに校門で喋った人やない!?凄い記録出してるねえ」

「ああ!入試のときに助けてもらった!わたし、双葉って言います。」

「わたし、麗日。下の名前はお茶子。よろしく〜。受かってよかったね!!」

 

お茶子ちゃん。かわいい名前だ、、、

緑谷くんとお茶子ちゃんは、もうすでに仲が良いらしい。

よく思い出せば、わたしと同じく転びそうになって助けてもらってたのって緑谷くんだ。なんという偶然

 

「はい!どっちも受かってよかったです。あの、お茶子ちゃんって呼んでもいい、、?」

「もちろん!えっとじゃあわたしも下の名前で呼んじゃおうかな、、共美ちゃんだっけ、。さっき透ちゃんが言ってた。」

「はい!よろしくお願いします!」

「よろしく!、、それで、共美ちゃんの個性、すごく強力そうなんだけど、どんなの、?」

「ああ、わたしの個性は『体験(たいけん)』って名前つけたんですが、自分がこれまで体験したことを、生物無生物問わず対象に体験させられるっていう個性です。今は、この間トラックに轢かれたときの衝撃を握力計に与えてみただけで、、」

「ええ!!共美ちゃん、トラックにはねられたの!!!??」

「あ、ハイ、夏に、、」

 

なんなら個性の発現もそこだしね。

 

「それで、お茶子ちゃんの個性って重さを軽くするって感じ、だったっけ?」

入試の日にわたしの体が浮いていたのを思い出す。

 

「わたしの?わたしの個性は『無重力(ゼログラビティ)』。手の肉球部分で触れたものを無重力状態にできるの。」

そうして手の肉球をぷにぷに見せてくる。かわいい、、、

わたしの手にお茶子ちゃんがちょんと触った。わたしは急にふわりと浮かび始める。

 

「触ると、無重力になる。それで、両手を合わせると、、、、解除。」

浮いていた体が地面に落ちる。

「なるほど、、、」

「共美ちゃんの個性も見せてほしいな!!」

「いや、でもわたし今のところ、いきなり見せられるようなのは〈トラック〉しか持ってなくて、、、、まわり壊しちゃうから、」

「なるほど、、じゃあそれって、わたしの無重力とかもできる?」

そう言って再びわたしを浮かしてくれる。

 

「、、ああ!ちょっとまって!!、、、〈ストック〉、、。よし、いいよ」

無重力が解除され、地面に降り立つ。

 

「じゃあ、わたしの見せるね!お茶子ちゃん、手だして、。いくよ!〈無重力(ゼログラビティ)〉」

お茶子ちゃんがふわりと浮かぶ。

「ええ!すごい!」

「今は、お茶子ちゃんに[『無重力(ゼログラビティ)』をかけられた体験]を体験してもらってるの。」

「なるほど!!!じゃあ共美ちゃん、それ自分にもかけれるん?」

「、、、試したこと、なかった、、、これまで個性を試すとしたら〈トラック〉しかなくて、自分が大怪我する未来しかなかったから、、、。」

 

自分に向けて個性を〈放出〉する。いけっ、〈無重力(ゼログラビティ)〉!

わたしはふんわりと浮いた。

「すごい!!!ねえ!お茶子ちゃん!!!わたし浮いてる!!!!」

「しかも共美ちゃん、すごいよ!ウチ、ふだん自分を浮かせるとすごく酔ってまうの。でも共美ちゃんの個性で浮いても全然酔わへん。なんでかな、」

「そう、、なんだ、、。お茶子ちゃんはいま、自分の個性で浮いてるわけじゃなくて、[『無重力(ゼログラビティ)』をかけられた体験]を体験してるから、人にかけてもらったっていう状態なのかも。」

「なるほどね!!共美ちゃんありがとう!!なんかすごく幅が広がる気がする!!協力プレイとかできそうやね!」

 

二人で地面に降り立つ。

「それで、、いいの、?わたし、お茶子ちゃんの個性のおかげで、これから個性把握テストで意外といい成績出せちゃうかも。使っても、いい?」

「もちろんええよ!!それはもう共美ちゃんの強みやし。」

本当に優しい子だ、、、だいすき

わたしはお茶子ちゃんと一気に仲良くなった。

 

 

 

____立ち幅跳び____

 

「よっしゃいくぞ。〈無重力(ゼログラビティ)〉!」

ふわーんととんで、どこまでも飛んでいく。、、はずだったんだけど、50mほど飛んだところで落ちてしまった。なんで、、?

そのことをお茶子ちゃんに話しにいった。

 

「うーん、それは、あれちゃう?わたしがさっき10秒くらいで解除したから。たぶん、共美ちゃんがストックした体験は、[『無重力(ゼログラビティ)』をかけてもらう。その10秒後に『無重力(ゼログラビティ)』が解除される体験]なんじゃ?」

「、、、なるほど、、それです」

 

ストックの範囲がすごくむずかしいぞ、、ということに気づいた。

 

 

____反復横跳び____

 

個性の応用を色々考えたが、全然思いつかなかったので、服だけ無重力にして軽くし、普通に身体能力のみで測定した。

結果は50回。ひくい

 

隣で小さな紫髪(髪というか、実?)男の子が、左右に跳ねるボールみたいなのをおいて、超高速で左右にはねていた。残像が見える。

 

 

____上体起こし____

 

10秒だけ自分に〈無重力〉を付与して、重力に逆らわず腹筋できるようにした。中学のときよりめーーっちゃ記録伸びたけど、クラスの中ではめちゃ普通。

個性を使っていなかった緑谷くんに若干勝ったくらいだった。

というか、緑谷くんさっきから個性あんまうまく活かせてない様子だけど、大丈夫かな?

 

 

____長座体前屈____

 

これってシンプルに柔らかい人が有利では、、個性うまく使っている人が全然見当たらない。

透ちゃんがめっちゃ柔らかいのと、カエルの子がぺたーんと柔らかすぎるのに驚いた。くらい。

ここでも、緑谷くんは一般的な運動ができる子ほどの記録しか出せていなかった。だんだん心配になってきた。

 

 

____ボール投げ____

 

これは、わたしの個性をうまく使えそう。

まずボールに10秒の〈無重力〉を付与する。そして思いっきり投げたあとに!!

右手でピストルの形を作り、空中でボールを狙って、〈トラック〉を打つ。

「いっけぇ!!!〈トラック〉っっ!!!」

 

、、、、、ぽすっ。トラックの狙いを外した。

 

 

あ、2回目は成功させました。記録は705.2mでした。

爆豪くんと一緒。めっちゃこっち睨んできた。

 

 

そして緑谷くんの番。彼はなんと2投目で、クラス2位の結果を残してみせた。なんと705.3m

 

その後、爆豪くんが、緑谷くんに突っかかり、相澤先生が止め、3人で漫才をはじめた。

たぶん今日見てた感じ、爆豪くんが漫才大好きなだけだ。あとの人たちは、巻き込まれてかわいそうに。

 

 

 

____持久走____

 

わたしは、せめて服を軽くしながら、シンプルに走るしかなかった。

指を怪我していたらしく、その痛みで全然走れなかったらしい緑谷くんに、20秒差で負けている。まあ、、男女差かな、、

 

 

____結果発表____

 

「ほんじゃさくっと結果発表。」

 

わたしは、、10位。ほうほう、なかなか。それで最下位は、、、、あちゃーー、やっぱり、緑谷くんだった。

ボール投げの結果は超良かったが、さすがに他で個性を活かせなかったのが大きかったのか、、

体力テストでペアだったのに、居なくなってしまうのは本当に悲しい。

 

「それと、除籍はウソな」

 

「「えぇっっっっ!!!!???」」

 

やったね緑谷くんっ!!!!やっぱりクラースメートが入学初日にいなくなるわけないよね!!!!

ハイタッチを決めに、緑谷くんの下へ駆け寄る。

 

「やったね!!ナイス合理的虚偽!!!」

「な、ないす、!!!」

パチ〜ン

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