第4試合、相手は砂藤くんと上鳴くん。こっちは私と響香ちゃん。
私も響香ちゃんも、砂藤くんに近接戦闘に持ち込まれたり、上鳴くんに放電されてしまったらなすすべがない。だから、いかに二人に近寄らないで核爆弾までたどり着けるかという勝負になる。
でも、相手は絶対核爆弾の前で待機しているはず、と響香ちゃんと考えた。
「それじゃあ準備はできたかな?行くぞ!第四試合、スタート!!!」
オールマイトの開始の合図が鳴り響いた。
すぐに私は、
そのままアジトから50mほど離れた高いビルに移動し、屋上へ行く。
「ともみ、準備できた?」
「ばっちり!響香ちゃん!」
「了解。じゃあ行くよ!『イヤホンジャック』!!!」
ーーーーーートントンーーーー
「
「4階の南側ね、了解です!ちょっと移動する。〈
自分自身に無重力状態をかけて、ビルの屋上から屋上へ、飛んで移動する。
4階の南側の部屋ね、、っと。さっき頭に叩き込んだビル内の地図を引っ張り出して、4階の南の部屋の窓が見える位置まで来た。
「移動したよ!まず4階でしょ、窓見えた。あ!部屋の中に砂藤くんがいるの見えるよ!!扉の方を警戒してる。私にはもちろん気づいてない。」
「ナイス、共美。、、いける、、?」
「いける。」
体制を低くしうつ伏せになって、砂藤くんに気づかれないようにする。
そのまま砂藤くんが見えている窓に、両手を向けた。
「ふぅ、、、いきます!まず〈トラック〉!!そんで、〈眠り香〉!!!!」
左手で〈トラック〉を、右手で〈眠り香〉をほんの少しの時間差で
途端、窓がトラックの衝突で割れて、その音でこっちを振り向いた砂藤くんに、窓枠を通り抜けた〈眠り香〉が命中。
砂藤くんは、カクンと倒れて、そのまま眠ってしまった。
******
入学式の日の放課後。リカバリーガールとお話をして、緑谷くんと教室の前で別れたあと、私は職員室へ向かった。
コンコンコン
「、、すいません、相澤先生いらっしゃいますか、、?」
「ああ、いるよ。双葉か。どうした?」
「少し個性のことで相談があって。あの、今日の個性把握テストで、緑谷くんに個性使ってましたよね?あと爆豪くんにも。相澤先生の個性は『抹消』。見た対象の個性を消すことができる。異形系には効き目がないことが多いが、発動型の個性には非常に有効。そう緑谷くんから聞いてきました。」
「、まあそうだな。」
「それで、相澤先生は私の個性は知っていますよね?私のことを、
「、、、なるほどな。お前の場合、いろんな状況を体験すればするほど手札が増える。いろんな経験を積むのは文字通りで、最も有効な成長の方法ってことか。」
「はい!『抹消』をストックすれば、活動の幅がすごく広がると思うんです。あ、でも、ストックした経験は本物よりかなり使いづらいんですが、、。」
今日のお茶子ちゃんの〈
「なるほどな。それ自体は構わないんだが、、でもな、俺の予想だと、お前は俺の『抹消』は使えないかもしれない。試してみろ。、、いくぞ、『抹消』。」
相澤先生の前髪がザッと上がって、目がぎんっとなる。
「、、、(ストック)、、、。」
相澤先生の言っていることはどういうことだろう、と思いながら、心の中でそう念じた。
「ミッドナイト、ちょっとこっち手伝ってくれますか?」
「私?どうしたのかしら。」
「双葉。お前がいま〈ストック〉した俺の『抹消』を、ミッドナイトに向けて使ってみてくれ。ミッドナイトは、自分の個性が発動するか、確認してみてください。あ、個性ベタ踏みしないでくださいよ、職員全員寝たら仕事にならなくなるんで。換気扇回してるんでちょっとだけですよ。」
「わかってるわよ!!じゃあ双葉ちゃんいい?」
「はい!じゃあミッドナイト先生、いきます。〈抹消〉!」
ーーーぷしゅうううう〜〜〜
「、、、『眠り香』、全然使えるわね、、、」
「え!?どうして!?」
「、、、お前の個性は、〈ストック〉と〈放出〉の2過程がある。その〈ストック〉の範囲まで、個性『
「、、、そっか、、。納得です。ありがとうございます。」
なるほどね、、だんだん自分の個性の輪郭がわかってきた。ただ、『抹消』が使えないのは残念だ。相澤先生の個性、すごく強いと思ったのに。
「ごめんな、でも例外は俺だけだ。ミッドナイト、ちょっとこいつを眠らせられます?」
「え?相澤先生、どういうことですか?」
「俺の個性『抹消』は、相手の個性を消せるから、
「そうね。相澤くんは、発動条件が『
なるほど、、、ミッドナイト先生の個性は、味方を巻き込みかねない状況とか風が強い環境ではうまく扱うことが難しいけど、効果自体は
「しかも、相澤先生は『抹消』の対象は見ている一人なのに対して、ミッドナイト先生は無差別に周りの全員を一度で眠らせられますね。」
「それが逆に使いどころ難しくしてるんだけどね、、、()。でも、
「えっと、ミッドナイト先生、私に『眠り香』かけてもらえるんですか?」
「もちろんよ!あなたの個性の発動条件、どんなだったっけ?」
「、、たぶん、『念』みたいなものに体験をのせて、飛ばす、って感じです。集中が必要なので、そのイメージを助けるために今は手でピストルの形を作って、発射するように撃ってます。」
「うん。相澤くんの『
「、、はいっ!!ありがとうございますっ!!!(涙)」
雄英の人みんな優しすぎ、。
「相澤くん、ちょっと双葉ちゃんと仮眠室行ってくるわね。ありがとう。」
「いえ、ミッドナイト、こちらこそありがとうございます。双葉、ミッドナイトの『眠り香』、思ったより早く眠気が襲ってくるから、ストックし逃すなよ。」
「はい!!」
そうして仮眠室で、ミッドナイト先生の『眠り香』を吸う。
「、、、、(ストック)、、、。zzzz」
ストックとほぼ同時に、私は深い眠りに落ちていった。
******
昨日の放課後手に入れた、[『眠り香』を吸った体験]を砂藤くんに当てた。
計画通り、砂藤くんは眠っている。上鳴くんに無理に起こされない限り、少なくとも制限時間内はずっと眠っているはずだろう。
しかも砂藤くんが倒れてくれた場所は窓からよく見える位置である。上鳴くんが見えたら、上鳴くんも撃ってしまえばいい。でも上鳴くんは、再びの狙撃を警戒して窓には近寄れないはずだから、結局砂藤くんは起こされずに眠り続けて、戦線離脱と考えてもいいかな。
「響香ちゃん!砂藤くん無力化成功!上鳴くんはまだ動いてない?」
「ナイス!!!上鳴はたぶん、さっき窓ガラスが割れた音を聞いて階段駆け上がっていったから、窓から侵入して核までたどり着くのは無理そうかも。あと、上鳴は核の場所を窓のない部屋に移すと思う。」
「了解。じゃあ作戦2にいこう!!」
「うん!共美、ナイスね!やるう」
作戦2
まずは私が、
上鳴くんは、
私は外で、響香ちゃんを信じてアジトを見張る役に徹しはじめた。
上鳴くんは、どの窓からも姿を現さない。響香ちゃんに位置は常に通信で教えてもらっているけど、射線を切るように移動しているようだ。
しばらくして、響香ちゃんが言った。
「上鳴のところまで来た。4階の階段を上がったすぐ横の角。この角を曲がったら、秒で攻撃するから。上鳴が少しでもよろけたりして射線に入ったら、すぐに撃てるように準備しておいて。」
「了解。」
「じゃあ10秒後に接敵ね。」
心の中で10秒を数える。
上鳴くんがミスで射線内に姿を現すとしたら、目の前の3つの窓。その瞬間に備えて、あらかじめ手を向けておく。
3、2、1、、、ぜろっっ!!!
その瞬間、窓からすごい光が見えた。
******
____SIDE.上鳴電気
砂藤は上で核爆弾を守ってくれている。もし裏からの侵入があっても、あいつなら近接でボコしてくれるだろう。オレは、味方を放電に巻き込まないように、ヒーローの正面突破を警戒して3階の階段前に陣取っている。
試験開始から2分ほど、今のところ状況に動きはない、、と思っていると、
_____バリン____
なんだ!?今の音!?窓が割れた音か、ヒーローが入ってきたな!正面じゃなく、やっぱ裏からか!
「砂藤!!ヒーローチーム来たか!?」
オレはこの場を離れずに、通信で確認した。
、、、でも、応答がない。
「おい!?砂藤!?聞こえてる!!?」
まずい、戦闘でやられたかもしれないか、、!?
急いで階段を駆け上がる。南の部屋の扉は開けっ放しになっている。遠くから、倒れた黄色いコスチュームの砂藤が見えた。
「やられたか!!!」
窓が割れている。核爆弾もそこにある。砂藤はそこに倒れている。でも訓練は終わっていない、、、、
「(外からの攻撃、、、!!!!)」
ヒーローが入ってきたわけではない。もし入ってこられてたなら、そのヒーローに核はもう回収されているはず。
でも訓練はまだ終わっていない。
外から、砂藤を無力化された。
「(よし、核の場所を、窓がない部屋に移さないと!!)」
核爆弾のハリボテは、思った以上に軽かった。ただ大きい。
核を4階の隣の窓のない部屋に移して、オレは4階の階段まで移動をはじめた。
あそこなら、窓からヒーローが入ってきても駆けつけられるし、核の部屋も視界に入る。正面突破で階段上がってくるヒーローも警戒できて、無差別放電できる。
窓からの
でも、狙撃してるの、誰だ、、?耳郎は音を流し込んだりして衝撃波出すって聞いたけど、そこまで大きな音は聞こえなかった。
もう一人の双葉ってほう。個性把握テストでは握力のときに900Kg近く出してたけど、増強系なら狙撃は違うはず。
耳郎のサポートアイテムか何か、、、
総当たりをつけて、少しずつ進んでいく。
あと数メートルで階段。
、、、、、というところで、
「いけっ!!『ハートビートファズ』!!!」
階段横の角から耳郎が飛び出す。
「(まじかっ!!!いや、いける、反射神経勝負!!!!)
『無差別放電・50万ボルト』!!!!!」
____
大音量がすぐに止まった。衝撃で数秒、体が動かなくなるも、なんとか持ちこたえた。
目の前では、耳郎が倒れている。
「(オレ、反射神経で奇襲に勝ったのか、、。これってすごいんじゃね?あとでオールマイトに褒めてもらえるんじゃ、???)」
上鳴電気は、まるで電流のような速度で奇襲に反応し、音よりも早く電流が耳郎を襲った。
衝撃波を発するほどの大音量はすぐに止まったため、なんとか自分の意識は持っていかれていない。
相手はしびれて動けず、その電圧で気絶したようだ。
腰元から確保用テープを取り出して、耳郎をぐるっと巻く。
よし、これでヒーローはあと一人!
******
すごい光が窓から見え、その閃光が眩しくて一瞬目を瞑ってしまった。もし上鳴くんが窓から見えたらちゃんと当たるように、目はつむりながらも一応〈眠り香〉を発射しておく。
光が収まって、すぐに響香ちゃんに通信する。
「今の光は!?大丈夫!!???」
響香ちゃんの返事はない。
、、、直前で気づかれたか、放電で対処されてしまったのか、、
とにかく、私が核を回収しにいかなくてはならない。
狙撃だけで決まればよかったんだけど、アジトで近接戦闘しないといけないかもしれないのか、、
上鳴くんの放電対策を必死で考えながら、建物の中に入っていった。
今ストックしている体験(のうち明らかになっているもの):
[トラックにはねられた]
[『無重力』をかけられた]
[『治癒』をかけられた]
[『眠り香』を吸った]
[???]
[???]
[???]
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