羅刹は今日も夜に舞う   作:槙 秀人

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またもや、申します!

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さて、今回は!!
 ・獪岳君が話してくれた過去の罪
 ・悲鳴嶼さんが話してくれた過去の出来事
です。



どうぞ!






過去との邂逅

 あの日…

 

 俺は、行兄(ぎょうにい)(←悲鳴嶼の事)に言われて、藤の花のお香を買って来た。

 何故か入口で待ち構えていた広太(こうた)にお香を渡し、釣りを金庫に入れていると、広太と朝吉(ともきち)が、俺が寺の金を盗んだと騒ぎ出した。

 こいつらは俺の事をよく思っていない。

 

行兄(ぎょうにい)に言われて、藤の花のお香を買いに行ったんだよ!!」

「ウソ付け!お前、この前もそこから金を持ちだしてどっかに遊びに行っただろ!!」

 確かに、俺は勝手に金を持ちだした事がある。でもあの時は米が足りなくなってたから、米を買い足す為に持ちだしたんだ。

 その日、俺は足を怪我して動けなくなったばあちゃんと出くわして、助けてやったら偶然にもそのばあちゃんは米屋の主の母親で、助けてくれたお礼にと、米と金をもらった。俺はその金で博打をやったんだ。

 寺の金は使わずそのまま返した。米も米櫃に追加した。

 

 でも、そうだよな。事情を知らなければ、俺が博打をやるために金を持ちだしたと思うだろう。たまたま博打に勝って、米を買って来て金を戻したと思うだろう。俺が逆の立場だったらきっとそう思うに違いない。

 あいつらは俺は似ている。違いは群れるか群れないか…だと思う。俺は群れないからこそ、一人でなんでもやって来た。

 だからかも知れない。行兄が俺にいろいろ頼むのは…

 

 人から頼りにされるのは嬉しい事だ。だけど、あいつらはそれが気にくわなかったのだろう。自分たちより後に(ここ)に来たのに、行兄から頼りにされるから…

 行兄はやさしいけれど、人が良すぎる。妬み嫉みなんて感情を知らないのかも知れない。

 だから、俺が弾きだされるのは時間の問題だと思ってた。

 

「あの金は、ちゃんと返したぞ!!」

「返したからって盗んだ事実は変わらない!!勝手に寺の金を持ちだした罪は消えない!!」

 

「盗んでねぇよ!米が少なくなってたから買い足しに行ったんだ!!」

「ぎょ、行兄に頼まれてなんかいねぇだろ!?」

 

「行兄は目が見えねェんだから米が少なくなってたのに気づかなくたって仕方ねぇだろ!それに前の晩、メシの支度をしたのはテメェだろうが!!少なくなったことを言わなかったテメェが悪いんだろ!!」

「「!!」」

 あーなるほどな!!次の日の当番が俺だったからか…

 

「と、とにかく!盗人はさっさと(ここ)から出てけ!!」

「そうだ!そうだ!!」

 

 - でーてーけ! でーてーけ!! -

 

 大合唱がはじまった。言ってないのは紗代だけか…

 

「…お香…ちゃんと足しとけよ」

「まだ言うか!!」

 さっきお前に渡したろ?って、俺が金を盗んだ事にしたいんだもんな…もう捨てちまったか…

 

 

 俺は出て行く事を決意した。そしたらすぐさま行動だ!!

 夜に出歩くのはダメだと言われたけど仕方ねぇ…!あの、ばーちゃん家にでも行くとするか!

 

 最近は俺がお香を焚いてたけど、ちゃんとあいつら焚けるかな?

 まぁ、俺を追い出したんだからなんとかすんだろ!

 

 

 

 町に向かう途中で変なヤツと出くわした。美味そうだとか言われて追いかけられた。月明りに照らされたそいつの顔を見て足が竦みそうになった。吊り上がった目に鋭い爪、頭から生えた角!!そいつは鬼だった。本当に鬼がいるなんて信じられなかった。けど、その鬼の足は遅く、俺についてくる来るのがやっとだった。

 とは言え相手は鬼で、こちらは人間。聞いてた鬼の話が本当なら体力に違いがあり過ぎる!!

 

「俺を追うより逆方向にある寺に向かった方が、ガキどもがいっぱい居るぞ!!俺は今日、そこを追ん出されたんだ!!」

 俺は咄嗟にそう言った。

 

「そうかい!それはいい事を聞いた!!」

 鬼は踵をかえして寺へと向かった。藤の花のお香が焚かれているとも知らずに…

 

 騙されやがったバカ鬼が!!

 

 俺は本気でそう思っていた。

 

 でもまだ安心は出来ない。寺に向かったと見せかけて後ろから襲うつもりかも知れない。

 

 人が大勢いれば大丈夫だろう!

 俺は町へと急いだ。

 

 

 

 町に着くと、あちこちの家が燃えていた。ばあちゃんの家も…

 

 鬼に襲われたのだと、誰かが言っていた。

 まさか、あの鬼が?

 

 俺は、その家が燃え尽きるまでその場で呆けていた。

 

 

 焼け跡から5つの遺体が見つかった。小さな遺体が2つ。体のところどころ欠損してるのは、たぶん鬼に食われたんだろう。

 俺は裏庭に穴を掘って、遺体を埋めた。

 適当な石を探して来て、墓標にした。

 埋めた周りをガレキや板で仕切って出来る限り見栄えも良くした。

 そうこうしているうちに夜が明けた。

 

 

 あの鬼にまた会ったら殺されるな。もっとも俺も許さねぇけどな!!

 畜生!あのやさしいばあちゃん家を襲いやがって!!あの人達を殺しやがって!!

 

 焼けた店の前で座っていると、寺の方から来た人が警察に殺人鬼が捕まったと叫んでいた。

 

「!!?」

 その人に詳しく話を聞くと、その男は盲目で7人の子供を惨殺したらしい。

 小さな女の子が一人生き残ったとの事…

 

 どういう事だ!?

 

 まさかあいつら、お香を焚かなかったのか?

 まさか、あのお香はホントに捨てちまったのか?

 

 あいつらどうせ、鬼の伝承なんてでまかせだと思ったんだろ!まぁ俺もそう思ってたけど、行兄の言いつけはきちんと守ってお香を焚いていた。

 しかし、なんだって行兄が殺人鬼なんだ?

 

 違う!!あいつらを殺したのはここを襲った鬼に違いない!!

 

 いや、ちがう…

 鬼を寺に向かわせたのは俺だ。

 

 そーか…

 俺があいつらを殺したのか…

 

 でも…あれは仕方がなかったんだ。あの鬼から逃れるには…

 あー考えんのめんどくせー

 

 俺は自分の罪から逃げて考えるのをやめた。俺を追い出したあいつらが悪いんだ!!そう理由をつけて…

 

 

 

 

 

 

 


 

 その日…

 

 獪岳が買ってきたお香は捨てられ燃やされた。

 

 行冥が帰って来た時にはいつものようにお香が焚かれており、獪岳は具合が悪くて寝ていると説明された。

 目の見えない行冥はそれを信じた。

 

 お香の残りは少なかった。

 1つの香炉で焚けばよかったものを、2つに分けてしまった為に夜半過ぎにお香が切れてしまった。

 

 

<行冥視点>

 

 扉が壊されて、舌なめずりする音が聞こえた。

 

「大勢のガキが居るじゃねぇか!あのガキの言った通りだ!!」

「「!!?」」

 入って来た誰かが言った。

 

「獪岳だ!獪岳のヤツが鬼を招き入れる為に香炉の火を消したんだ!!」

 広太が叫んだ。

 入って来たのは鬼なのか!!?それに…

 

「獪岳は、寝ているのではなかったか?」

 私が帰って来た時、広太がそう教えてくれたはず…

 

「あいつが寺の金を盗んだから追い出したんだ!!」

「追い出した?」

 そもそも寺の金が盗まれたという記憶は無い。むしろ増えている事すらあったのだ!

 いや、まさか?

 

「「ぎゃぁっ!!」」

「いやぁ!!」

 一瞬で、4人の子供が動かなくなった。鬼に殺された?今の声は広太、拓也、真菜、大輝…

 

「みんな!私の後ろに隠れるんだ!!」

 3人が寺から外へと逃げ出すのがわかった。

 私の言うことを聞いてくれたのは一番年下の沙代だけだった。彼女だけが私の後ろに隠れた。

 

 彼女だけは絶対に守らなければ!!

 

 私は素手で鬼と戦った!!

 

 

 

 


 

 悲鳴嶼さんと何度目かの稽古を行った後、お茶をごちそうになった。茶菓子は持参した羊羹です。

 

「飛鳥殿の気持ちは分からないでもないが、私は未だ納得できていない。」

 そんな事言われても、隊律の書類にはあなたの署名も入ってるからね?

 まぁ目が見えないんだから、署名にあんまり意味ないかもだけどさぁ…

 

 私は悲鳴嶼さんから、炭治郎が柱稽古で聞くハズの話を聞いた。

 

「だから私は人より疑り深い。人間の子供ですら信じられないのだ。鬼などを信じられるハズもない…。」

「…」

 

「驚いただろう?私にもそんな過去があったのだ。あぁ、弁明する訳では無いが、柱合会議に参加している者については信じている。もちろん飛鳥殿の事も…。」

「それはありがとうございます。ところで、少し話の内容に疑問に思うところがあったので、確認させていただいてよろしいでしょうか?」

 

「ああ、かまわない。」

 

「寺を追い出された子が鬼に出会ってしまい、自分が助かる為に寺に戻って香炉の火を消して鬼を招き入れた。と言われましたが、誰がいつ、どうやってそれを確認したのでしょう?」

「それは…」

 

「鬼が寺の中に入って来た時に、そう叫んだ子が居たんですよね?」

「ああ、そうだ」

 

「それは確実にウソですね。」

「!!?」

 考えてみてほしい。

 香炉の火を消しているのに気づいたなら、そもそも止めなきゃダメじゃんね?

 鬼が入って来た事がわかった瞬間にそれを叫んだとするならば、それは言い訳以外の何物でもない。

 

「何かあった時にはそう言おう(・・・・・)と考えていたからこそ出て来た言葉だと思います。命の危険がある時に、咄嗟にそんな事は思いつかないでしょうから…」

 だからこそ、悲鳴嶼さんはウソだと見抜けなかったんだろうと思う。

 

「恐らくですが、香炉が消えたのは叫んだ子の責任(せい)だと思います。その子は鬼の伝承を信じていなかったんでしょう。いえ、たぶん…子供たちはみんな鬼の存在を信じてなかったんじゃないでしょうか?でなければ、お金を盗んだからと言って、夜に寺を追い出さないでしょう。でも本当に鬼が現れてしまった。だから居ない者に自分の責任を押し付けたんだと思います。」

「なるほど…つまり、獪岳は濡れ衣を着せられたと…」

 

「そうなってくると、お金を盗んだというのも真偽が定かとは言えません。お金を持ち出す理由があったのではないでしょうか?たとえば、何かを買いに行く用事があったとか…」

「!!そういえば…その日、獪岳にはお香を買いに行ってもらうはずだった…まさか!!?」

 

「その日、その子がお金を持ち出したのはお香を買う為だった。そして恐らく買って来た。しかしお金を盗んだとするには、お香があっては都合が悪い…」

「だからお香を捨てて、獪岳を追い出した…」

 

「夜にお香を炊かなければ、帰って来た悲鳴嶼さんに気づかれてしまう。だからお香を炊いたけれど…」

「夜半過ぎにお香が尽きて火が消えた…何という事だ…!!」

 

「実は…獪岳君にその時の話を既に聞いているんですよ。今、悲鳴嶼さんから聞いた話と辻褄も合っています。」

「!!…聞いてるとは、まさか!!?獪岳と会った事があるのか!!?」

 

「先日、最終選別を通過しました。」

「!!?あの子が鬼殺隊に…」

「恐らくですが、彼はあなたが鬼殺隊に居る事を知りません。」

「…」

 

「会ってみますか?」

「…お願いできるだろうか?…飛鳥殿…」

 

「もちろんです。近いうちに必ず!」

 彼は今、日輪刀が届くのを待っている状態。修行を続けている事だろう。

 この話を持って行ったら、ビックリするだろうなァ…

 

 

 

 

 


 

飛鳥:オリ主(転生者)

 飛鳥が獪岳君を気にかけているのは、原作で読んだ時に感じた違和感。

 寺に居た他の子がなんかおかしいと思ったから。

 話の筋が通らない。誰かがウソをついている? ←飛鳥の主観です。

 彼は確かに人間くさいと思うけど、だからこそ、そんなに悪い人間ではない。

 ってな訳で、彼に会って話を聞いてみた!

 そんな感じです。

 

 

悲鳴嶼:岩柱

 飛鳥と何度も稽古している。

 実は飛鳥が本気で闘っていない事を気づいてる?

 子供達を殺され、殺した後に消えられてしまい濡れ衣を着せられた事で鬼を酷く憎んでいる。

 その出来事が原因で、子供を信じられなくなってしまった事も鬼を許せないと思う原因の一つ。

 

 

稲玉獪岳:桑島の弟子、善逸の兄弟子

 まさかこの話が、悲鳴嶼に伝わるとは思っていなかった。

 というより悲鳴嶼さんが生きていると聞いて驚いた。

 柱になっている事を知り、さらに会う事になってキョドっている。

 

 

 

【明治コソコソ?話】

 

 獪岳から昔の事を聞いた後、飛鳥は鬼殺隊に入ろうと思った理由を聞いてみた。

 

「俺が鬼殺隊に入ろう思ったのは、鬼に恨みを持ったから…。『あの鬼』が居なければ、寺に居た奴らが死ぬことも無かったし、恩人である行兄が殺人犯になる事もなかった。おそらく行兄は死罪になったと思う。それもこれも全て鬼の責任(せい)だと思いたかったからだと思います。」

 

「正直に言えば、鬼に遭遇した時に獪岳君が自分の居た寺を囮にしたのは仕方のない事ではあると思う。もちろん褒めらた事じゃないけどね。」

「…」

 

「だから獪岳君が鬼を憎む気持ちは本物だと思うし、不当だとも思わない。けれど自分の罪はきちんと背負って行かなきゃダメだと思う。」

「…はい…」

 

「ところで獪岳君、何か腑に落ちていない顔をしてるけど?」

「…前に飛鳥さんに指摘されたじゃないですか」

「?」

 

「『いつか勝てる』っていうのは違うと思うよ?って…」

「あー言ったね。それが?」

 

「俺は何に『勝ちたかった』んだろうって、ずっと考えてるんですけど、答えが出てこなくて…」

「そっか。う~ん…」

 

 しばらく沈黙が続いた…

 

「思うんだけど、獪岳君が勝ちたいと思っていたのは、私と同じなんじゃないかな?」

 突然、飛鳥さんがそう言った。

 

「えっ!?飛鳥さんってめっちゃ強いじゃないですか!!」

 確か、柱とも稽古してるって言ってたような…

 

「私は強くないよ?いっつも負けそうになってるし…」

「あの…それで…飛鳥さんが勝ちたいのって…」

 

「弱い自分だよ」

「弱い…自分?」

 

「うん。いつも寝る前にその日の事を振り返るの。『あの時こうすればよかったとか、あーしとけばよかったとか…』すっごく落ち込む事もあるけどね…。でも、自分で選んだ事だから、それに向き合う事にするの。っていうか向き合わないとダメだしね。挫けそうな自分に気合を入れて、目を背けずに前に進む事を考えるの!弱い自分に負けないようにね!!まあ、カッコいい事言ってるけど、時々考えるのを放棄して、でも結局考えなきゃいけなくて、次の日すっごく落ち込んでる時もあるんだけどさ!あはは…」

 

「…素敵だ…」

「ん?」

「あ、いえ…なんでもないです。俺もそれ、やってみます!!」

 

 

 ちなみに飛鳥は獪岳の気持ちに全く気付いておりません。

 ハッキリ言って脈ナシか?

 

 

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