羅刹は今日も夜に舞う   作:槙 秀人

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白河上皇さん、誤字報告ありがとうございます。

まだまだまだまだ、申すのです!
お気に入り登録してオネシャス!!


さて、今回は!!

 鬼の顎は携帯電話?
 飛鳥のひと時の幸せ

なんて感じの話です。

どうぞ!







兄妹(ふたり)で舞う神楽 ~鬼の顎は携帯電話?~

 これは私が結婚する時の事…

 

「嫁入り道具とは言えないけど、俺が持っていても宝の持ち腐れだ。お前が持って行くといい!!」

「確かに嫁入り道具じゃないわね。しかもこれは売れないよねェ…」

 モノはいいんだけど、見た目が素朴すぎる。廃刀令が出てるからそもそも買う人いないだろうし…。いや、もちろん売る気はないけども…

 

「そこは頼むぞ?ちゃんと持っててくれ!」

「代々?」

「そうだ!」

 

「なんか、押し付けられた感じ?まぁ、ココ(実家)に置いておくよりいいかも知れないけども…。じゃあ、神楽も子供に教えようかしら?」

「大っぴらにはやめておけよ?」

 兄がこう言うのには、この舞と共に受け継がれている伝承があるからだ。この舞の全容を知られると命の危険があるらしい。その理由は伝わっていない。

 

 今となっては私は知ってるけどね。

 

 

 受け取ったのは脇差(と言われていたけど短いみたいだよ?)

 護身用にと、先祖の命の恩人が(要するに緑壱さんが…)耳飾りと一緒に置いていったモノだと伝承されているらしい。

 

 竈門家で、神楽を継承したのが2人になるのは初めての事。耳飾りは兄が、脇差は私が引き継いだ。

 

 

 

 

 


 

<天元視点>

 

(ある程度、俺が弱らせていたとはいえ、血鬼術を操る鬼がこんなにもあっさり顎を斬られるなんてな!しかも地味に…)

 

 その鬼は、影を操る血鬼術を使う鬼だった。隊士が何人か殺されて、俺が駆けつけて戦っていたところに突然羅刹が現れ、鬼の顎を切ったのだ。

 

「まあ別に、横取りされてもいいけどよ!せめて舞ってくれたらよかったなぁ?派手に!!」

 俺が愚痴をこぼしても、羅刹は知らんぷりだ。

 

 実は、羅刹はそれどころではなかった。なぜならこの鬼に触れた時に『あの日』見たモノが見えていたから…

 

 

「聞こえているか?こいつを鬼にしたヤツ!!瞳に弐の文字を入れた(・・・)おめェだよ!!」

 羅刹は、鬼の頭を抱えてその目に向かって吠えていた。

 

「?」

 何してんだコイツ…気でも違ったか?

 

 俺が訝しんでいると、その鬼の口から突然別の者の声が聞こえてきた。

 

『私は鬼の始祖、鬼舞辻無惨』

「!!?」

 鬼舞辻無惨だと!!?

 

 声だけだというのに威圧感があった。鬼殺隊の隊士達が恐れ慄くその中で、羅刹はなぜか呆れている感じだった。

 しかしまさか、こんな形で鬼舞辻無惨の声を聞くとは思わなかった

 

 

『貴様はいったい何者だ?』

「あ゛?誰だおめェ!!用があんのはおめェじゃねぇよ!ちっと黙ってろ!!」

『…』

 

「いや、ちょっと!!?」

 羅刹にとってはどうでもいい事なのかも知れないが、鬼舞辻無惨と会話の出来るチャンスだと言うのに!!

 

「聞いてんだろ?瞳に弐の文字を入れた(・・・)ヤツ!!待ってろ!ぜってぇおめェは探し出す!!」

 

『弐と言うと…童磨の事かな?』

「童磨?」

 羅刹の口から小さく舌打ちが聞こえた気がした。

 

『楽しみだ!お前の正体についてはその時に、童磨に確認させるとしよう』

「心底どーでもいい!!」

「「…」」

 

 鬼の頭は崩れていき、そこで会話は途絶えた。

 

 童磨というのは『上弦の弐』の名なのだろうか?

 

 俺が一瞬考え事をしている間に、目の前から羅刹は消えていた。

 

 

 

 

<羅刹視点>

 

『弐と言うと…童磨の事かな?』

「童磨?」

 チッ! さすがに向こう(・・・)に居るヤツの思考まで探るのは無理か…

 特殊能力(サイコメトリー)を鍛えたおかげで、物に触れて残留思念を読みとれるだけでなく、相手に触れる事で今考えている事を読み取ったり、心に深く刻まれている事などを探る事が出来るようになった。だからこそ、この鬼に触れた時、目に『弐』の文字をクッキリと見る事が出来た。もう一方にも何か文字が書いてあるように見えたから、恐らく上弦と書いてあるのだろう。

(でも、黒髪なんだよなぁ…)

 

『楽しみだ!お前の正体についてはその時に、童磨に確認させるとしよう』

「心底どーでもいい!!」

 

「「…」」

 鬼の顎が崩れ出した。声はもう届かないだろう。

 私はその場から立ち去った。

 

 

 

 

 


 

 旦那の一周忌も終わり、喪も明けた。秋には六太も生まれ、竈門家もようやく落ち着いた。

 

『年越しを、一緒にしませんか?』

 と葵枝さんから言われ、お邪魔させていただきました。

 

 ちなみに、六太が生まれる頃には私は実家に居ましたよ?だって、禰豆子ちゃんが大変だろうから。まぁ、なにげに炭治郎も家事を結構こなすんだけどね?

 

「飛鳥」

「うん?」

 

「明日の晩、神楽を一緒に舞ってくれないか?炭治郎に見せてやりたいんだ。」

「いいわよ!10年ぶりね!!」

 私が前に兄と神楽を舞ったのは、両親が亡くなった年の暮れ…。私がこの家を出るのを決めた年だった。

 

 あの頃は炭治郎はまだ2歳。さすがに舞を見せたところで学べない。しかも舞うのは真夜中なので眠くて泣くのが関の山。まぁ炭治郎なら我慢するかもだけど…

 

「飛鳥さんも舞うの?私も見たい!お父さん、いいでしょ?」

「暖かい恰好をしてな」

 相変わらず、禰豆子ちゃんはカワイイねェ…

 

叔母(オバ)ちゃんも舞うの?」

「「あっ!!」」

「?」

 

お姉さんと呼べ(オバちゃん言うな)ゆうとろうがァ!!」

「アベしっ!!」

「お兄ちゃん!!?」

 

 はい!いつもの事ですね!!

 

 

 

 

 

 ヒノカミ神楽は、竈門家に代々受け継がれてきた厄払いの舞である。新年の始まりに山頂にてヒノカミ様に奉納する。

 十二の舞型を一晩中繰り返して踊り、一年間の無病息災を祈るのだ。そして、そこで初日の出(はつひので)を拝むのが竈門家の新年の行事である。

 

 家族が集まるのは日の出の少し間。今回だけは炭治郎と禰豆子が最初から見ている。

 

 舞は、午前零時から開始される。いつもは兄が一人で舞っていたのだが、今年は山頂に四人居る。

 

「「おめでとう!」」

「「おめでとうございます!」

「「「「今年もよろしくお願いします!!」」」」

 新年の挨拶を交わし、炭十郎と飛鳥は舞を舞う。

 

 

 

<炭治郎視点>

 

 父さんは十二の型を順に繋げて舞っていた。すなわち、『円舞』『碧羅の天』『烈日紅鏡』『灼骨炎陽』『陽華突』『日暈の龍・頭舞い』『斜陽転身』『飛輪陽炎』『輝輝恩光』『火車』『幻日虹』『炎舞』。そしてまた、『円舞』と繰り返し舞う。その舞は、しっかり見ていないと型の継ぎ目が分からなくなるほど滑らかだ。

 飛鳥さんの舞は父さんのそれとは違い、型の順序はバラバラだ。十二の型が順に舞われる事もあれば、順序が逆になる事も、同じ型が何度も続くこともある。それなのにこちらも父さんと同じく技の継ぎ目が分からなくなるほど滑らかだ。いやむしろ飛鳥さんの舞のほうが型の継ぎ目がまったくわからない程だった。

 そして、俺はある事に気づく…

 

「父さんが一人で舞ってた時は分からなかったけど…」

 二人が円を描くように舞う中心に、(うごめ)く何かの姿が見えていた。

 

(あれは…人?)

 

 

 炭治郎の目に焼き付いたそれは、後に役立つ事になる。

 

 

 

 

 


 

 私はこの舞を、実家を出てからも時々舞っていた。それは庭であったり、神社の境内だったり、河原であったりと場所は問わないけれど人気のない時と場所を選んで…

 私はこの舞が好きだ。他の神楽もいくつか覚えたけれど、ヒノカミ神楽ほど動きの激しい舞はあまりない。

 怒られるかも知れないけれど、他の神楽は舞手としては退屈なものが多いのだ。その点、ヒノカミ神楽は激しい動きが多いので、舞った後にいろいろスッキリするのが好きなのだ。舞を舞っていると無心になれるからかも知れない。

 

 年の初めだけでなく、それ以外にも私はこの舞を舞った。嬉しい時よりもむしろ悲しい時にこそ舞った気がする。

 父や母が亡くなった時も、私は一人で舞ったっけ…

 

 私があまねさんの結婚式で見せた舞は、最初の3つの型の繰り返し…。一郎さんを斬った時に見せた舞も同じだ。

 まぁ、一郎さんの時からは、この舞の意味をちゃんと分かって舞ってたけどね!

 

 さて…炭治郎は気づくだろうか?この舞の本当の(・・・)意味(姿)を…

 

 この舞は、十二の型がどの順番でも途切れなく繋がるように考えられている。考えられているというよりも、相手の動きに合わせて途切れなく技を繰り出した結果がこうなったのだろう。単純に十二の型を繰り返しているだけでは、次第に相手は慣れてしまい対応できるようになる。そもそもこちらの動きに合わせて相手が動いてくれるわけもない。相手の動きに合わせてその時の最適な()を出さなければ、逃げられてしまう(・・・・・・・・)に違いない。

 私も以前はそんな事は考えず、兄と同じように順に舞っていた。私が順序をバラバラに躍り出したのはあの時(・・・)からだ!

 もっとも…以前から、どの型の後にどの型を持ってきてもキレイに繋がる事は知ってたよ?たぶん、兄も気づいていたと思う。気づいていて尚、見取り稽古の為に順序を守って舞っていた。たぶん、私も一人で舞うならば、それを見せて覚えて貰おうとするならば、同じように十二の型を順に舞って見せただろう。けれど今年は二人で舞う。だから敢えて私は違う舞い方を見せた。

 

 私が技の順番をランダムにすると、兄は最初驚いた顔を見せた。けれどそれが正しい事だと気づいたようで、自分はそのままの順序で舞うものの、私に合わせて速度を調整してくれていた。

 別に、私が合わせられるのに…

 

 

 6時間ほど舞い続けだんだんと空が白みはじめた頃、葵枝さんが子供達を連れてやってきた。子供達は眠い目をこすりながらの到着だ。さらに30分もすると日の出を迎えた。

 

 

 

「お兄ちゃん、私ね!…」

「禰豆子もか?俺にも見えた!中心に、何か居た!!」

 

 私と兄は二人が気づいた事に喜び笑みを浮かべた。

 私は役にたったかな?

 

 兄は私の頭を撫でてくれた。

 

「ちょっとお兄ちゃん!!もう私、子供じゃありませんけど?」

「ああ、わるいわるい!」

 

「飛鳥ちゃん?そう言いながら、顔が赤いわよ?」

「もう!葵枝さんまで!!?」

 

 

 幸せなひと時を満喫する飛鳥なのでした

 

 

 

 

 


 

飛鳥:オリ主(転生者)

 旧姓:竈門

 年齢:19歳

 特技:ヒノカミ神楽、武術全般

 呼吸:日の呼吸 全集中常中

 能力:映像記憶、サイコメトリー

 役職:会社の社長、鬼殺隊相談役

 

 

宇髄天元:音柱

 派手に!が口癖の忍者の末裔。

 羅刹と遭遇して、思いかけず『鬼舞辻無惨』の声を聞く

 

 

炭十郎:オリ主の兄

 久しぶりに妹と神楽を舞ってご満悦。

 

 

葵枝 :オリ主の義姉

 炭十郎の妻、炭治郎達の母

 飛鳥が一人で寂しく正月を迎える事が耐えられずに招待した。

 飛鳥ちゃん、ここの地主さんだしね!

 

 

炭治郎:原作主人公 オリ主の甥

 父と叔母が二人で神楽を舞うのを初めて見る。

 順序通りに踊る父と比べ、気ままに舞っているように見える飛鳥に呆気にとられるも、次第にその舞に見入ってしまう。

 本来の舞の意味に漠然と気づいた?

 

 

禰豆子:オリ主の姪

 実は彼女もヒノカミ神楽を見取り稽古している。

 飛鳥の影響?

 

 

 

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