異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~   作:鬼怒藍落

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第111話:開幕ブッパこそ至高by姉系魔法使い&その弟子

 配信を目前にして、日本は賑わいを見せていた。

 三日前に告知され待ちに待った対抗戦。画面の前にいる者達は尋常じゃない熱気と興奮を溜めていた。

 

 ただでさえ開催されるのが少ない対抗戦、それもトップギルド同士の対決。

 そんな祭りのせいか、昼頃から数多くの酒場が開かれており一部の地域では出店さえ開かれていた。この三日間に大々的に宣伝された結果なのだが、それだけこの戦いは注目されているのだろう。

 

 この日ばかりは数多くの冒険者が休業し、二つのギルドの対決を見守ることだろう。一般人の多くも観戦準備を終えており、今か今かと始まりの瞬間を待ち望む。

 

『あー、まいくちぇっくわんつー。やぁみんな、【機械仕掛け(エクスマキナ)】ことマッドドクター☆参上! 今回は結構なお祭りだからね、私が司会を務めるよ!』

 

 舞台となる政府が管理し、彼女が改造に改造を重ねたダンジョンの司会席にて流石に少しだけ着込んだ江奈が喋っている。

 

『解説は我等が【防人】大和のお爺ちゃんがやってくれるから皆楽しみにしてね』

『不本意だけどな、まぁ――見守るのが俺の役目だ』

『あの二人の対決とか解説できる人間の方が少ないからねー。それじゃあ早速今回のルール説明だ』

 

 ――ばばんっと、今は江奈達を映す配信にホログラムが投影される。

 そこには今回の対抗戦の詳細が映っており、それを簡単にまとめるのならば森林になったダンジョンで魔石を守るというルールが記されていた。

 

「……不快だな」

「言うなラウラ、一般人に罪はない」

「ラウラちゃん、気持ちは分かるが落ち着くでござるよ」

 

 椿の屋敷に集まって配信を見守るSランク三人衆。

 ラウラは露骨に冷めた目で配信を見守り、五郎はそれを宥めつつも不満を隠そうとしていない。冷静を装う椿さえも落ち着かないのか帯刀した刀に意識を向けている。

 

「心配は……する必要ないだろうな」

「拙者としては霊真殿が気負わないかだけでござるな」

「我が友のことだ――やると決めたらやるだろう」

 

 相手に対する殺意はあれど、そこには不安は一切無かった。

 それは霊真に対する信頼故であるし、何より彼が負ける姿など一切想像してないからだ。

 

「さぁ、時間でござるな」

 

 時間は正午に差し掛かり、画面が切り替わる。

 そこにはダンジョン内が映されて、至る所に冒険者の姿があった。

 ギルド【イリーガル】在籍人数八十人――それに対して【ヴァルシア】五十は少なく三十のメンバーで挑む。

 

〔始まるぞ!〕

〔やっとだ〕

〔楽しみすぎる〕

〔霊真視点もあるんだろ!?〕

〔二窓確定!〕

〔逢魔視点もあるぞ!〕

 

 沸き立つコメント欄。

 ……この祭りを見逃さないために、配信を見守る全ての者の視線が画面に釘付けになる。冒険者が、一般人が、五郎達が、全ての者の視線が画面に向き。

 

『さぁ、対抗戦開始だよ!』

 

 そして、江奈の号令の元で――この戦いが幕を開けた。

 

――――――

――――

――

 

 政府管轄ダンジョン【闘魔場】、イリーガル拠点にて、開始を告げる合図を聞いたイリーガルの面々は笑みを深めていた。

 

 防衛戦とあって、今回の期間は二日用意されているが、相手はあの【ヴァルシア】であり、少人数ながらも冒険者の平均ランクがBというギルドの最大手。本来なら勝ち目のない戦いではあるのだが――彼等が今回用意した秘策や事前に今回協力してくれた政府の者のおかげで負ける未来を浮かべる者はいなかった。

 

「ぎゃはは龍牙ー、お前見張り行けよー」

「――なんで、俺が?」

「そりゃあ、あの配信で無様と恥を晒したわけだしなぁ! 「お、俺生きて」まじで何度でも笑えるぜ!」

 

 馬鹿にするような仲間の声に、龍牙と呼ばれた青年は居心地の悪そうな顔を浮かべながらも渋々了承して、見張り台へと向かう。

 

「……龍牙なんで来た?」

「見張りだ見張り、で――相手は見えるか?」

「そりゃあバッチリよ! 相手の場所は監視魔法で監視済み! 奇襲対策もバッチリで、罠も沢山! 負ける気しないだろ!」

 

 下品な笑みを浮かべて笑うは二人組の男性。

 全体配信には声が乗らないことを良いことに、自分たちの策をひけらかす。

 

「はぁ、それでいいのか?」

「あ゛、まさかお前卑怯だとか思ってんのか? 相手は【ヴァルシア】だぞ? むしろもっと楽したいもんだぜ?」

「そうかよ……俺も前までこうだったのか」

 

 最後の言葉は小さく、すぐに風にかき消される。

 それからも得意げに嗤う彼等を冷めた目でみる龍牙だけは、霊真の力を知っている故にずっと一人で警戒していた。

 

「――魔力!?」

「は、まだ開始して間もないだろ? そんな魔力感じれるわけが……」

「カスが、上見ろ! あいつは、規格外なんだぞ!」

 

 この中で、それを察知できたのはたった一人龍牙だけ。

 彼が遠くに目をやれば、空中には黒いローブを纏った一人の男の姿があった。視力を魔力で強化してようやく見える距離。

 

 空を歩くその人物、馬鹿な二人は見えてない様子だが――その姿を認識した龍牙だけは声を荒げる。

 

「ッ――――防御魔法使え!」

 

―――

――――

――――――

 

 開始直後に空を歩く。

 俺が作った魔力の足場を階段状に設置して、先へと進み魔力を高めて言葉を紡ぐ。

 

〔これが霊真視点?〕

〔空歩いてて草〕

〔どういう原理?〕

 

 義務づけられたカメラとそれに付随するコメント欄。

 軽く目を通しながらも俺は、あまり気にする事なく呪文を紡ぐ。

 

「奈落の口は北東に、闇広がる霧と氷の(その)

 

 まずは二節、逢魔と戦うときのために魔力を残しながらも――範囲を指定しながら、狙いを定めていく。

 

「氷獄の楽園で生み出されるは、生き血を啜る魔の遺産」

 

 そして四節、ダインが脈動して――敵を倒すために俺の魔力を喰らっていく。

 俺の魔法の師匠、それは――マーリンという夢魔とオーディンという戦神の原典を持つ……オティヌス・アンブロシウス・メルリヌス。

 彼女によって鍛えられた俺の魔法、そして彼女に一番最初に教えられた魔法の基礎がある――それは。

 

「さぁ今こそ、解放せよ。世界を凍てつかせようか――氷地獄(ニブルヘイム・)魔の遺産(ダーインスレイブ)

 

 開幕ブッパこそ――至高の手段であると。

 

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