異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~   作:鬼怒藍落

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第113話:因果応報

「なぁ、今のってさ龍牙も巻き込むつもりだったよな?」

 

 自然に、そんな言葉が漏れた。

 会ったのは二回だけ。俺に挑んできたこの人は、何故か助けてくれて爆破に巻き込まれて意識を失った。

 

 そもそもだこんな狭い場所で爆破という手段を取るなんて正気の沙汰じゃない。

 ギルドの仲間がいるはずなのに、なんで……こいつは。

 爆破の余波で俺が使っていたカメラが壊れている。それほどまでに強力だったのだろう爆発を躊躇無く人に向ける精神が分からない。

 

「それはそうでしょう? ここまでの者達は、貴方を倒すための犠牲ですよ。まぁ、貴方を庇うなんて予想してませんでしたけど」

「……仲間じゃ、ないのか?」

「仲間? 今も昔も私の仲間は逢魔だけです」

 

 カメラが壊れているのを良いことに、好き勝手言う相手。

 こっちの様子を見て笑みを深めて、己の心中を暴露し始めた。

 

「所詮今のイリーガルは代用品、あの日失った仲間の替え玉。逢魔の名前に釣られただけの、ただの屑共です――そもそも倒したのは貴方でしょう? 大人しく倒されればよかっただけですよね?」

「……そうか、お前。終わってんな」

「おや、貴方が言いますか? あれだけの魔法を人に使っておいて、どの口が」

 

 ……感情が冷める。

 思考が凍り付き、無意識のうちに剣を握っていた。

 こいつは泉華さんの情報を頼るならAランクの上澄み。Sランクに迫る実力者であると聞くし、油断は出来ない。

 

「まぁいいです、カメラがない以上……どれだけ痛めつけても問題ないでしょう? さぁやりますよ、逢魔――そして、イリーガルをより盤石な物に!」

「そうだな――死ねよ、一樹(いつき)

「は?」

 

 その瞬間の事だった。

 一樹という男が叫び、逢魔の気配を感じた途端――極大とも言えるくらいの魔力が迸り、雷を纏った拳が目の前の男を貫いた。

 

「へぇ、案外堅くなってんな。まあお前、努力家だったしそうか――ほんと、これも俺が放置したのが悪いよな」

「な、逢魔!? な、ぜっ私を!」

「人が聞いてれば、カスみたいな事を言い続けるのが悪いだろ。カメラ壊したしぶっちゃけるけどな――お前、うぜぇよ。だからもう一回食らっとけ金剛杵(ヴァジュラ)

 

 雷による攻撃は、相手をそのまま貫いて意識を完全に刈り取った。

 冒険者という魔力を使える者だから、生きてはいるだろうが……しばらくは絶対に動けないと思える。

 

「でだ、【召英殿(ヴァルハラ)】。今回は悪かった」

「お前、何考えてるんだよ」

「ケジメだケジメ、お前に迷惑をかけたのと今まで放置した清算しないとだからな。これが終わったらイリーガルは解散する。だがな、その前に――お前を試したい」

 

 その時のこいつの視線はどこまでも真っ直ぐで、目を合わせ――何より真摯に俺と向き合い言葉をかけてきた。

 

「大和さんが認めたお前の実力を試したい――何よりあれだ。ミソロジアで共に戦った馬鹿と、どうしても俺はまた戦いたい」

 

 そこで初めて、俺はこの男を本気で警戒した。

 大和さんが話したとは思えない、それなのに俺の事を知ってるのはあり得ないから。こいつは何者だ? なんで、あの世界の事を知っている?

 

「知りてぇんだよ、あの世界を救った筈の英雄の力を。お前と会ってから俺の原典(インドラ)が疼くんだよ、お前を試せって、お前を守れって。シャクラが、前任が――叫ぶんだよ」

 

 そこでこいつが浮かばせるのは一冊の本。

 今言ったインドラの力が記載された――ミソロジアに存在していた原典の一つ。

 気のせいだと思った。だってこの原典の持ち主を俺は知っていたから、だから二冊目だと勝手に割り切って、別の側面である帝釈天の原典だと信じ込むことで俺は。

 

 でも、シャクラ……という名前を聞いた時点で、その可能性はなくなった。

 こいつが持っている原典は、アルディア国の将軍で俺と異世界で――ミソロジアで何度も戦を共にしたシャクラ・デーヴァの物だから。

 

「戦えよ。()が散ったその後のお前の力を見せてくれ! 頼むぜ、戦友!」

 

 逢魔の瞳が赤く染まって、雷が迸る。

 それだけで周囲の建物が余波で壊れて、一気にこの場所が解放された。

 こいつは、いや――逢魔とは本気で戦わないといけない。それも、手加減――いや、そんな事すら考えるな。

 

 魔王との最終決戦で散ったシャクラの力を持ってる人相手に、俺一人で戦えるわけがないのだから。

 

「【デュアルサモン】! ――オティヌス・アンブロシウス・メルリヌス、ヴリトラ・アスラ・ヴェーダ!」

 

 周りを守るのはメルリに任せて、俺はメインの戦力としてヴリドラを召喚する。

 今の俺の魔力は全盛期の五割ほど、サポートも考えて制限も掛かるが今こいつと戦う手札を考えると彼女が最善だ。

 

 生命力を対価に、俺は無理矢理彼女たちを喚び出す。

 何重にも制限をかけてこれ――やはりこの二人を喚ぶのは重いけど、それでもやらなきゃいけないから。

 

 聞きたいことは沢山だ。

 それに、話さないといけないことも――でも、あの人に戦えと言われたのなら。俺は、本気で答えるしかない。

 

「レイマ!? 今の魔力で私とヴリちゃんは――ってなんでシャクラが!?」

「今は気にする余裕はないのう。しかし、勝手に死んだ奴とこんな所で再会とはなぁ――くふふっ蹂躙しがいがある」

 

 三人称のカメラで写る以上、会話は一瞬。

 すぐに念話でメルリに指示を飛ばして、何よりヴリドラを龍に戻して――俺達は建物の外に姿を現した。

 

「それが、ヴリドラ……俺の宿敵か」

「――手加減無しだ。その代わり、後で話聞かせろ」

「お前が勝てたらな――だからこいよ戦友(レイマ)ァ!」

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