異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~   作:鬼怒藍落

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第115話:対抗戦終了GG

 ヴリドラに飲み込まれたのは射線上にあった全て。

 建物は喰われ大地は抉れ、後方の壁で止まったものの――その光景は悲惨。

 堕ちた隕石によって穴は空いているし、この場所の原型など残っておらず、改めて彼女の力を再確認した。

 

『――対抗戦終了! 魔石が完全に消失したから霊真君達は暴れないでねー!』

 

 ダンジョン内に響き、聞こえるアナウンス。

 今回の司会という仕事をこなしてくれてるようだが、少しこの光景を見て引いているのか声は明るくない……というか司会席の表情を見ると顔が引き攣っていた。

 瓦礫なんかも全て飲み込まれているので、残骸なんて残っておらず。シャクラは……いいけど、逢魔さんが無事かどうか心配だが。

 

「おいシャクラ、どうせ無事だろ」

「くはっよく分かってるな、これで死んでたら吾ではない!」

 

 結構どころじゃないボロボロ具合で現れる金髪赤瞳の男。

 予想はしていたけどあの技を受けて耐えられるのはやっぱりおかしいと思うんだ。いや、分かってはいたんだけどこっちの最高火力を平然と耐えるのはやばい。

 

「はぁ、まじで変わらないなお前……」

「馬鹿は死んでも治らぬという言葉があるだろう?」

「自分の事を馬鹿って言うなよ」

「くははははっどう見たって吾は戦馬鹿だ。久方ぶりの闘争、楽しかったぞ?」

 

 バンバンと俺の体を叩きながらも、笑う戦友。

 見た目が違うからではあるが、少しの違和感……でも、このやり取りは懐かしくなんというか心が軽くなる。

 崩壊しきったダンジョンで、俺とシャクラが話していると……この場所に結界に守られていた泉華さん達がやってきた。

 

「えっと、逢魔?」

「む、ヒーラーの娘か。ん、変われ? おい逢魔まだ吾は……いや、仕方ないな」

「……大丈夫?」

「大丈夫だ。気にすんな泉華……それより、俺等は負けたわけだが何か要求とかねぇのか?」

 

 逢魔さんへと戻り、彼はそんなことを伝えてきた。

 この対抗戦の勝利条件は魔石の破壊、射線上にあったせいで今頃それはヴリドラの腹の中だろうが、アナウンス通りなら一応破壊したっていう判定らしい。

 

「私としては霊真君を守れればいいだけど……ね、逆に何かとって欲しいの?」

「了解だ。じゃあ今回の詫びとして賠償金は払うしイリーガルは解散だな」

「――え? 解散って、どうして?」

「元より俺がギルマスするの向いてねぇし、今回は迷惑かけすぎたからケジメだ。あーでもよ、ちょっと助けてくれないか? 流石に今のギルメンを放置はやべぇし」

 

 トントン拍子で進む話。

 カメラに写ってない場所で話しているから視聴者に伝わることはないけれど、この情報は爆弾ではあるだろう。

 

「えっと、なんかすっきりした?」

「まぁな。色々知れたし、分かったこともある――だからこそ、悪かったな【召英殿(ヴァルハラ)】いやちげぇか。迷惑かけてすまん」

 

 そうして、俺を真っ直ぐとみてまた謝られる。

 最初出会った時は粗暴な人だと思った。

 だけどこうして関わって、そういう人ではなくシャクラの事を知ってる人だと知った。それに真面目だし、強い人という事も。

 

「でもあれだな、惜しい奴もいるし。そうだそっちに龍牙をいれてくれないか?」

「龍牙って、あの? ――大丈夫なのかな?」

「俺が保証する。あいつは強くなるんじゃねぇか?」

「なら、いいけど……まとめること沢山だよぉ、ちゃんと手伝ってね?」

「はいはい流石にな」

 

 頬を右手でかきながら、そう言う彼と泉華さんの仲は分からないが……少なくとも仲は良いんだろう。

 二人を見ながらも、俺はその場に座り込む。

 俺を労ってかヴリドラが龍形態で頭を撫でてきて、疲れているだろうメルリが急に抱きついてくる。

 

「ちょメルリ!?」

「疲れたー精気頂戴! あとまさぐらせて血も頂戴!」

「いや、今ほぼ魔力ないから止めてくれ?」

 

 そう言うが抵抗する気力なんて残ってないので、抱きつかれた上で首を噛まれて色々吸われる俺。その光景を見て何を思ったか知らないが、黙っていた綾音がメルリに攻撃した。

 

「ちょ幼馴染ちゃん!? 急な攻撃は私も避けられないよ!?」

「普通に避けてるくせに何言ってるの?」

「私だからね!」

 

 その時の綾音の表情は、微妙というか呆れ半分怒り半分と感じられるようなものだった。メルリ師匠のテンションに慣れている俺はいいが、【ヴァルシア】の皆が明らかに引いているので、少し自重しろとは伝える。

 

「じゃあ、第二戦だぞ戦友」

「疲れたからやだ。あとナチュラルに変わらないでくれ馬鹿」

「まあそうだな、吾も瀕死だ。というかこのままだと逢魔の小僧が死ぬ」

「――ちょ!? 誰か分からないけどそれ早く言ってくれない!? ほんといつも無茶するんだから馬鹿逢魔ァ!」

 

 

――――――

――――

――

 

 周りには、死体しかなかった。

 吾が殺した敵の山。原形を留めないほどに全部を破壊したのは覚えているが、そもそも視界が霞んでいるので本当にそうかは分からない。

 

『はぁ、くはは……これが終わりか』

 

 原典を持って生まれて二十五年。

 将軍としてアルディアに仕えて、戦に身を置き生きてきた。

 殆ど戦う一生ではあったが戦いは好きであり、充実した人生だったとは思う。だが、ここ三年間は楽しかったなとそんな事を思えるんだ。

 きっと、それも全部。あの極度のお人好しである馬鹿に出会ったからだろうが……あぁ、自分がこんな風に思うなんて前までの己では分からない事。

 

 異世界から喚んでしまったあいつは、この世界のために命を賭して何度も何度も誰かを救い……そのたびに強くなって、吾に並んできた。

 はじめは戦も知らぬ一般人、だけど日を追うごとに成長し……今や、世界を脅かす魔王への脅威となった。そして、今この瞬間に魔王を倒すために進んだのだ。

 

 死ぬことに後悔はない。

 何故なら、吾は奪ってきた側だからだ。

 そんな吾が死にたくないなんて言えるはずもなく、受け入れるしかないだろう。そもそもこの数の魔物を倒して託せたのだから。

 

『――だが、もう会えないのだな』

 

 でも、たった一つ。

 あいつに、あの馬鹿に、レイマにもう会えないのは少し嫌……だった。

 あいつはずっと吾を――シャクラを、インドラという者の現し身ではなく吾としてみてくれた。

 

 きっとそれがどれだけの救いになったのかは気付かないだろう。

 礼を言ったこともなく、それを伝える気などはないけれど……ただ、あの馬鹿の行く末を見守れないのだけは、残念で。

 

『あいつの道が、輝かしいものであるように。祈っているぞ……戦友』

 

 どうせ死ぬのなら、願いを託したって、我が儘を言ってもいいだろう。

 あぁ、どうか――あのお人好しが、馬鹿が、仲間達が笑える世界になってくれ。

 

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