異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~   作:鬼怒藍落

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第118話:対話

「どうしたんだ【召英殿(ヴァルハラ)】食わねぇのか?」

「いや……食うけどさ、急になんだよマジで」

 

 ソルと休日を過ごした次の日の事だ。

 父さん達がデートに行ったので、今日は暇だからと家でゲームしていたら……急に来訪してきた逢魔(おうま)さんが俺を攫って東京のとあるタワーに放り込んだ。

 連れてこられたのは個室のある店。

 

 見るからに高そう。

 いや、最上階に位置する店という事もあってか絶対高いと思える。まだ価値観が前の世界の俺からすると……え、大丈夫? とは思ってしまうが、これは多分慣れそうにない。

 

「ほんと聞いたとおりの性格だよなお前、異世界でも慣れなかったんだろ?」

「……慣れるものじゃないだろ、場違い感的に」

 

 シャクラから俺の事を聞いている故にだろうが、一方的に知られているというのはちょっと違和感がある。なんか対面する感じの好感度も高いせいかやりづらいし。

 

「それで何の用だよ、急に攫うし連れてくしで……せめて連絡入れてくれ」

「悪いな、結構急な用事なんだよ。飯食う時間はあるが、それ以外が惜しくてな」

「……はぁ、ならしょうがないけどさ」

「受け入れるのかよ、やっぱお人好し過ぎるだろ」

「理由あるんだろ? ならいいし、シャクラのこと世話になってるっぽいしな」

 

 初対面というわけでもないし、会うのは三回目ぐらいではあるが……俺がここまで相手に態度を崩すことはあまりないと思う。

 逢魔さん相手に畏まるとか敬うのが必要ない訳じゃないけれど、なんかこの人には自然体で良いと思えるのだ。

 

「言ったであろう逢魔? この馬鹿は、気にせんとな!」

「出るなよシャクラ……個室だからまだ良いけどよ」

 

 逢魔の側に半透明の人型が浮かび上がる。

 それは彼に似ているが、金の長い髪をしている赤目の男。

 野性味溢れるというか、殆どの衣服を纏ってないそいつは……俺と目線を合わせるなり豪快に笑う。

 

「くはは久しぶりだな戦友よ!」

「そっちこそな。変わってなくて安心だよシャクラ」

 

 異世界で俺を召喚したアルディア国の将軍であるシャクラ・デーヴァ。

 インドラの原典を持っているどこまでも戦を愛した戦闘狂。火力に特化し、幾度の戦場を渡り歩いたミソロジアの実力者。

 そして……魔王戦で俺達を送り届けた大事な友達。

 

「――お前も、そんな顔で笑うんだな」

「……? どういうことだよ」

「いや、なんでも……それよりだ本題に入るんだがいいか?」

「いいぞ、そのために呼んだんだろ」

 

 多くの料理が揃う中、酒を飲む逢魔さんがそう切り出してきたので、俺は彼の言葉を待つことにした。わざわざ俺を呼ぶ理由を考えると、かなりの事ではあるだろうし心して聞いた方が良いだろう。

 

「まぁ、なんだお前にSランクダンジョンの攻略を頼みたい」

「なんで俺に? あんたの実力なら下手なダンジョンで負けることないだろ」

「普通のだったらな、この阿呆の力を借りれば負けることなんかねぇよ。だけどな、今回行くのは別格だ。いや別格になる可能性があるって方が良いな」

「……ミソロジーか?」

 

 彼が苦戦するダンジョンと考えると、必然的にそのダンジョンが頭に過る。

 ペルセウスが語った神話の英雄が試練として現れるダンジョン。それがまた出現したとなると逢魔さんが要請されるのも分かるからの言葉だった。

 

「いや、ダンジョンとしては政府が管理してる五年前に出来たSランクダンジョンだ。洞窟型で植物系の魔物が出る立ち入り禁止のものだな」

「洞窟型で立ち入り禁止のSランク? そんなに危険なのか?」

「危険度で言えば中の上……問題は五年前に出来たって点だ。なぁお前は、ダンジョンの消失について知ってるか?」

「えっと、ちょっと待ってくれ?」

 

 ダンジョン関連の知識は、霊真のノートを起点にして色々調べてはいる。

 それに当てはめると……なんだったっけか? 彼の顔を見ながらも頭の中の記憶を掘り起こし、俺はまとめるようにして口に出していく。

 

「確か異界型は攻略すれば消えて、洞窟と階層は何年か周期で消えるんだよな?」

「あってるぞ。で、その消える方法はなんだ?」

「……あーそこらへんは知らん」

「まあ公開されてねぇしな、基本的に消える前に立ち入り禁止措置取られるし」

「……おい、なんで聞いたんだよ」

「聞いただけだ……まぁそれで消える方法なんだが。それには終刈屋(エンドリーパー)って呼ばれる奴等が関わってくるんだよ」

 

 今逢魔さんの口から語られたのは初めて聞く単語だ。

 奴等という言葉を考えるに、複数の存在だろうが……単語だけで考えるのなら終わりを刈り取る者って事にはなるだろう。

 

「……どんな奴なんだ?」

「泉華から聞いたがお前もあった事あるはずだぞ」

 

 聞いてみれば、返ってきたのはその言葉。

 泉華さんの名前を出されたので、関連する記憶を探ってみれば……心当たりはたった一つで、あのAランクダンジョンだった。

 

「キメラみたいな奴か?」

「何のキメラかは分からないが、大体合ってるだろうな――あいつらはモンスターの混ぜ物だし……で、周期的に今回向かうダンジョン【天華】はあいつらに刈り取られる。だから今回の目的は、今後のためにその調査……そして終刈屋の討伐だ」

「……ダンジョンを消すのを阻止するのか?」

 

 疑問に思ったのはそれだ。

 ダンジョンを消すという役割を持った存在。

 それは端から聞く分には増え続けるダンジョンを管理する存在のように見える。それを考えると下手に介入するのは――。

 

「確かになダンジョンを消してくれるなら確かに害はない。だけどな、あれは消すべき害だ。生者を全て殺し尽くす災害。遭遇した者に絶望を与える怪物だ――俺はな、あいつが何かを奪うのが許せないんだよ」

「詳しく聞かせてくれ」

 

 そこまでの会話で思ったことは、昨日見た逢魔さんの記録。

 ……あの彼が全てを失った一端に関係があるとするのなら、それをどうしてか知らないといけないと思ったから。

 

「まぁくだらない話だけどな。馬鹿な奴らが奪われたってだけの、ただの復讐だよ。でもな、あんな思いも誰かに俺はしてほしくねぇ」

 

 彼は過去を想ってか、そのまま言葉を続けていく。

 何を考えてるか、それを理解できたなんて言えない。そこには彼の今までの軌跡があるからだ。

 

「エゴなのは分かる、死ぬのは自分の能力不足だったと言われればそうだ――だけどさ、だからって失っていいわけがない。あいつらを殺す俺だから言える、あれは殺すのを楽しんでいるんだよ――どこまでも身勝手に理不尽に命を奪うそんな機構」

 

 殺意が滲んでいる。

 彼の魔力に呼応してか少し痺れてしまう。

 それほどまでに、彼は怒りを抱いているんだろう。

 ……それほどまでに、彼はそいつらを殺してきたんだろう。誰かのために、仲間を奪われた怒りを持って。

 

「なぁ、頼む【召英殿(ヴァルハラ)】。あいつらのことを知るために、あれがもう誰かを殺さないために――俺に、力を貸してくれ」

 

 そこで今一度、彼は頭を下げてそう頼んできた。

 それに対して、俺が出せる返事なんて一つしかない。

 

「そんなに畏まらないでくれ。元より断る気はないけどさ、それを聞いて思ったんだ――あんたの力になりたいって。だからさ、存分に俺を使えよ。生憎、俺の仲間はお人好しばっかりだからさ」

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