異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~   作:鬼怒藍落

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第120話:Sランクダンジョン【天華】

「――ッ湧きすぎだろ流石に!」

 

 バロールと一緒にルナに乗って洞窟型の迷宮を駆ける。

 縦横無尽に迫る植物の蔦や根。毒性のガスや食虫植物のような魔物からの攻撃が、四方八方から俺達に迫る。

 ルナが冷気を発するおかげで動きは鈍っているのと、ルナの速度があるから避けられているが――確かにここがSランクというのは納得だ。

 

逢魔(おうま)、そこトラップ!」

「了解だ――というか、まじ凄いな霊真(れいま)

 

 魔力による不可視の糸。

 踏んだ瞬間に何が起こるか分からないが、明らかな罠に告げれば逢魔は宙に浮いてそれを回避した。

 

「ここに出るモンスターって、確か植物系だよな?」

 

 逢魔に付いて行く形で進みながらも、このダンジョンに詳しいだろう逢魔にそれを聞く。一応植物系のモンスターがいるとは聞きはしたが、詳しい分布を聞いてなかったし……。

 

「いるのならマンドラゴラにドライアド、あとはキノコみたいな奴が多いな」

「それに加えてダンジョン自体が自動で俺達殺しに来るのか……えぐいな」

「炎も使えないしな、基本耐性があるから逆にカウンター喰らう――それにだ、下手に炎魔法使うと燃え広がって酸素足りなくなる」

 

 あまりの糞仕様。

 俺が挑戦したSランクダンジョンはこれで三つ目なのだが、全部毛色が違うしどれも鬼畜なのばっかりだ。

 

 洞窟の全体を植物が覆っており、全てが敵。

 なんなら足場となってる地面からも食虫植物のような……もっとわかりやすく言えば、巨大ハエトリグサが俺達を食おうとしてくるし――休まる暇がマジでない。

 感覚的にソルを頼らなかったけど、それは正解だと思える。

 あいつの破壊力と炎を考えると、俺達の方が危なくなっていたわけだし。

 

「――ルナ、逢魔に耐性付けるから冷気を増やしてくれ。一気に進む」

 

 Bランク以上の洞窟型の特徴。

 それは中腹と最深部にボスがいること。

 今回は攻略に加えてその終刈屋(エンドリーパー)の調査があるって考えると、急いだ方が良いのは確かだろう。

 まだ俺は終刈屋(エンドリーパー)の特性を知らないが、殺し尽くす災害という事を考えると――。

 

「ッ――ドライアドが来るぞ、息吸うな!」

「大丈夫だ【睡眠耐性付与】」

 

 ドライアド――ギリシャ神話ではドリュアスと呼ばれる木の精霊。

 気に入った者を見つけては誘惑し夢を見せて、木の養分にするというそんな種族。

 この世界のドライアドは、眠香(みんこう)という特殊な香りを用いて相手を眠らせて命を吸い取るらしいので、耐性を付与するだけで対処は出来るだろう。

 

 俺の中にいる彼女と比べれば、なんて優しいんだろうと思ってしまうが……普通に考えれば吸った時点でアウトというのはかなり強い。 

 

「時間ないし悪いな【スペルサモン】――ラディーレン・ソル!」

 

 だからこそ、最大限の敬意を持って――時間制限をつけた上で圧縮したソルの技を相手にぶつける。

 迫るのは数秒で消える小さな太陽、一直線に進路上を飲み込んだそれはドライアドに向かっていく。消失の陽焔(ようえん)という絶対に人には向けてはいけないこの技。植物の体という事もあってか、それを受けたドライアドは消え去った。

 

「これが連続するとキツいが、どう思う逢魔?」

「一応こいつが中層のボスだからな。キツくなるが――今の分だと問題はなぇな」

「ならよし、あとルナを強化するからもう一度冷気の耐性付与しとくわ」

「助かる、今更だが本来お前はサポート職なんだよな」

「……まぁそう」

 

 ここからよりキツくなると言われるこのダンジョン。進んでみれば今のバロールのセーブした破眼を耐えるのも出てきたし、単純に厳しくなってきた。

 リソース……つまり魔力の温存を考えるのはここまでにして、本格的に進むのを考えた方がいい気がする。

 

 先に進んで――あったのは崖。

 下を見れば、そこには洞窟型にあるまじき光景が広がっていた。

 ぱっと見の体感はジャングル。見える範囲には世界一臭いとされるラフレシアに似た植物があるが、絶対にそれではないと思えるし――なんなら植物に寄生された死体が沢山。

 

「……エグいな」

「整備されてなかった時代の冒険者達だ――ダンジョン自体も俺等殺す気らしい」

「解放しよう」

「……しゃあねぇな」

 

 ここはダンジョン。

 それも洞窟型とはされているが、ほぼ異界に近いこの場所。植物という事もあるし、殆どが魔性植物であるならば遠慮はいらないだろう。

 

「もっかい力借りるぞソル」

 

 別に良いよーと魂の世界から返答があったことで……魔力を高める。

 俺が借りれる中のソルが使える最上位の技を使うために――言葉を紡ぐ。

 

「神殺しの陽焔は終末の角笛と共に訪れる。破壊を謳うその神威、魔狼の赫は浄化のために堕とされた――【スペルサモン】、ラグナロク・ロストソル」

 

 本来の彼女の技に比べたら五割は落ちた出力と規模。

 太陽を落とすという単純明快な力業は、俺がいる場所から下層によって手向けられ。ダンジョンの植物を完全に焼き払った。

 

「ッ――ぐっ、やっぱりキツいなこれ」

「おい、大丈夫か霊真?」

「一応、これなら一気に進めるだろ?」

 

 そう言いながらも、軽く心の中で敬礼を。

 このダンジョンで散った者がどうか安らかに眠れますようにと……そんな事を心底願って、俺は逢魔とルナと共に更地になった下層へ降り立った。

 

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