異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~ 作:鬼怒藍落
すぐに喚び出すはレーヴァテイン。
相手が何を出来るか分からない以上、付与する耐性が分からないが――あの相手は、何かがおかしく警戒しないとやばい。
あまりに原典に触れた俺だから、原典の気配というのは分かるつもりだ。
だからこそ覚えるのは、継ぎ接ぎのような感覚。
幾つもの力が混ざった様な、そんな気味の悪い感覚に――俺は、すぐに指示を飛ばした。
「シバル、ルナ、バロール! ――全力で討伐するぞ」
……強いとは、思えない。
今までの経験的に対峙して感じるのは、厄介さ。
前遭遇した敵に合わせるのなら、こいつらは原典から出力される力に耐性を持っているからだ。故に選ぶは皆を強化して、長引かせずに倒す道。
それにだ。
この場には逢魔もいる。
彼ならば大和さんと同じように、俺のサポートにも耐えれる筈……いや、そもそもシャクラの後任だという事も考えるなら遠慮なんかする必要はない。
「――なンて、幸運! 原典が原典が、三つ沢……山? エ、多くナい?」
「知らねぇよ、とにかく死ね――クソニャルラ」
逢魔が技を放つ寸前に、彼の魔法を二段階は強化する。
そして、ルナ達の魔法も強化して――シバルに関しては、その攻撃の貫通性能と切り裂くという概念を強化して突撃させる。
雷撃に絶死の冷気――魔法を受け凍って砕かれたそいつは、更に追撃としてシバルに切り裂かれる。
肉片というか、黒い塊に変わるニャルラと呼ばれたそれ。普通に考えればこれで倒したという事になるが、俺の経験が警戒を止めない。
「――呆気ないが、まだだろ」
「よク分かッテるネ! 僕ネ、ぼクね! 死ねないの!」
ごぽごぽと脈打ち泡立って形を取り戻す、その化け物。
気色悪いという感想を浮かべてしまうが、復活した瞬間にそいつの圧が上がっていた。体感だから定かではないが、強度が上がっているような気がして止まない。
「ますた――凄いアレ嫌だ」
「不快であるな、盟友……どうする?」
「この手合いは……死天タイプな気がするからな、一旦殺し尽くす」
不死というのは異世界でも何回か戦っている。
今まで遭遇したタイプは命のストックがあるタイプか、攻撃に耐性があり殺せないタイプ、それか――単純明快な不死。
相対する上ではそれが一番最悪で、倒す方法が限られる。
「バロール、任せたぞ」
「はいレイマ様。その命、しかと受け取りました。逢魔様でしたっけ? ……出来るだけ相手を削ってください」
「何かあるんだな、なら――やるぞ」
――そして、戦闘再開。
魔力を解放し、ここら周辺全てを使ってサポートする。
不可視の足場を用意して、ルナのサポートをしメインの火力となるカマソッソに対してバフを集中させて、バロールの補佐のために魔力を送る。
戦場を後ろから見ながら、何が起こっても良いように最悪のみを想定する。
相手は未知数の上に発言を信じるなら不死。躯を変化させながらもルナ達に対応する相手に舌打ちする。
このダンジョンの大きさを考えると、巨大な仲間は出せない。
それに植物に引火する可能性を考慮して、炎に関する召喚獣は選択肢に上がらず――人型も今の作戦を考えると不可能。
一体多数……強くないのに、多彩なせいで俺達に対応するこいつは俺達に殺される度に耐性を得てるのか、殺しにくくなっていた。
これを考えると、殺し続けるのは悪手の可能性もあるが……まだ使われていない上一切変化しない爪を見ていると、ずっと本能が警鐘を鳴らしている。
「――ますた! 避けて!」
思考を回した一瞬、ルナのことを聞いたかと思ったら――足下に落ちていたそいつの破片から触手が伸びてきて、避ける俺を掠った。
その瞬間に感じるのは……魂そのものが、魔力がごっそり削られる感覚。
どんな攻撃よりも苦しい、存在その物を削る攻撃に……精神が揺さぶられる。
「ッ――は?」
ぐらりと視界が歪む、体に寒気が走り……頭の中で、俺の死の間際を幻視する。
トラウマを強制的に抉られて、吐き気に目眩といった精神異常を浴びせられて、正常な判断が――。
俺を責める声が聞こえる。
殺せ殺せと声がする――裏切り者だと、俺を殺せと、処刑しろと。
「おい霊真!」
目の前にいつの間にか、爪を振り下ろす瞬間の敵がいた。
あの触手を喰らっただけであれなのに、明らかな爪を喰らった瞬間など想像したくない。不味い――そう思って、受ける覚悟をした時だった。
「――あと、任せたぞ」
俺は誰かに突き飛ばされて――目の前には、爪に切り裂かれる逢魔がいた。
その時見えた彼の顔は、どうしてか悲しいほどに笑顔で――とても寂しそうで。