異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~   作:鬼怒藍落

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第125話:英雄の存在証明

 ダンジョンに静寂が満ちる。あれほど激しかった雷の音は消え、俺達の荒い息が少し聞こえるだけ。

 完全に消失したデミ・ニャルラの肉片は残っておらず、 再生の気配はない。

 倒すために殆どの魔力を注いだせいか、ルナとバロールの原典解放(オリジンバースト)を維持出来ず、二人が元の姿に戻る。

 

「ますた!」

 

 その場に座り込んだ俺に抱きついてくるルナ。

 バロールは反動故に動けないようで、俺達の事を優しく見守り……シバルに関しては冷静に周りを見ていた。

 

「っと、冷たいから落ち着けルナ」

「落ち着かないよ、心配だもん。ねぇバロ-ル回復お願い」

「了解いたしました……ルナも治すので動かないでいただけると助かります」

「むぅ私は後でいいから」

「駄目です、大人しく回復されてください」

 

 一応……というか、シスターであったバロールは回復魔法を覚えている。

 その腕は、俺や仲間であったルフェルに届くほど。

 とりあえず、俺よりダメージを受けているルナとシバルを優先して回復して貰おうと思って――そんなことを言える雰囲気じゃなかったから黙って治された。

 

「おい逢魔、こっち来いって――あれ、どうした?」

「いや……終わったんだって思ってな」

 

 噛みしめるようにしてそう言う逢魔。

 彼とアレの間に何があったかなんて正確には分からない……だって俺が知っているのは、彼の少ない記録のみだから。

 

「とりあえず立てよ霊真、帰ろうぜ?」

「……おう、お疲れだ」

 

 そうやって、彼が差し伸べた手を掴んだときだった。

 何か特大の魔力の気配を感じて、俺達は一気に警戒する。

 

【浸略者デミ・ニャルラの神滅を確認――ダンジョンの脅威度が上がります】

 

 聞こえるのは、世界の声とされる物からの情報。

 どこまでその声が届いているか分からないが、その情報は明らかな厄ネタで――何より、俺達の身には余る爆弾だった。

 

【神滅者に報酬をそして更なる試練を与えましょう】

 

 一方的に告げられるその内容。

 情報を咀嚼する間もなく続けられるそれを頭に叩き込みながらも続きを待つ。

 

【ミソロジーダンジョン、終末海域(しゅうまつかいいき)オケアノスを解禁します】

 

 直後感じる特大の地震。

 ……何が起こったなんて外の様子が分からないから言えないが、この声を信じるのならダンジョンが出現したってことでいいだろう。

 

【――そして、現インドラ赤影(せきかげ)逢魔(おうま)及び――我等が英雄、狩谷霊真に称賛を贈りましょう。よく亜神を倒してくれましたね】

 

 そこでようやく消える魔力の気配。

 与えられた情報は大きいもの、これを政府に渡すかは俺達次第だが……あまりにも考えることが大きすぎてか頭が痛い。

 

「どうする……逢魔?」 

 

 その直後のことだった。

 ……急にダンジョンの空間に穴が空いたと思ったら、中から異常な数の宝石に素材や武器が落ちてきたのだ。

 魔力を帯びたそれらの物、武器の殆どがボロボロで……年季の入った物ばかり。

 

「これ、は――」

 

 落ちてきた武器の中でも一際目立ち、業物だと思える両刃剣。

 黒い刀身のそれを見た瞬間に、逢魔がそんな声を漏らした。

 

「ッなんで、残って」

「……なぁそれは?」

「親友の、あいつの武器だ。あぁそうか、残ってたんだな……」

 

 逢魔の初めて見るような晴れた顔。

 どんな感情を浮かべているかは分からないが、少なくとも悪いものではない。そんな彼になんて声をかければいいか分からないが、よかったなとそう思えて。

 

「今度こそ、帰ろうぜ逢魔」

「あぁ――そうだな帰ろうか」

 

 

――

――――

―――――― 

 

 英雄なんていない。

 俺は昔そう結論づけた。

 何故ならそんな者がいれば、俺は失わなかったから。

 誰の命も亡くなることがなかったから。

 

「なぁ、霊真……助かった」

 

 ……転移陣の上、俺は彼に話しかける。

 仲間であろう召喚獣達と笑い合う彼に、ずっと思っていた感謝を述べる。

 

「……ん? どうした急に?」

「いや、なんでもねぇよ。ただ伝えたかっただけだ」

 

 英雄はいないと、そう思っていた。

 ……いなくていい、いたら恨むと、そう自分に言い聞かせていた。

 何故俺を助けてくれなかったんだ、なんで俺達を救ってくれなかったんだって。

 

「まぁ、なんだ――これからも頼るかもしれねぇからよろしくな」

「おう? ……それはこっちもだし、頼むわ」

 

 でも、俺は知ってしまったんだ。俺が憧れた英雄がいたってことを、夢じゃなくて現実だったってことを。

 かつての憧れは、虚像ではなく――ここに英雄はいる。

 

(なぁ親友、俺はこいつの力になる。俺が憧れた英雄を助けれるように、支えになれるように、頑張るからさ――どうか、力を貸してくれ)

 

 手に持つ黒剣に力を込める。

 覚悟をするように、そう願い――俺は。

 

「ありがとな、英雄」

 

 そう言って、

 笑う事が出来たんだ。              

 

 

 

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