異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~ 作:鬼怒藍落
「霊真よ霊真よ! でっかいカブトムシだぞ!」
「そうだな、マジデカいな――いや、デカすぎないか?」
洞窟部分を抜けて暫く森林を探索していた俺達は――巨大なカブトムシやクワガタに遭遇した。男の浪漫を詰め込んだような巨大昆虫に目を輝かせるカイザーは彼らしく、倒すのが忍びないようだ。
「しっかし、昆虫の魔物の報告例って少なかったよな?」
「そうだな、希少な魔物の筈で防具などに加工されることが多い」
「なら出来るだけ傷つけず倒した方が良いだろうが……そうなると剣は駄目だよな」
良い防具が作れるのならば出来るだけ市場に流した方が良いだろうし、せっかくなら傷つけず倒したい。そうすればだが他の冒険者の命を守ることにも繋がるし、そこはしっかりとやっておこう。
魂の世界に素材自体は保管出来るし容量を考えると溢れることはないだろうから。それにカイザーもいるわけで保管に関してはバッチリだ。
「【ウェポンサモン】ヤールングレイプル」
本来の用途は違うが、この籠手なら堅い甲殻を持つ昆虫の魔物も危なげなく倒すことが出来る筈だ。それに色々な効果も乗っているし、この昆虫戦ではかなり適した? 装備にはなってくれると思う。
「それはトール神の籠手か?」
「よく分かったな」
「そういえば我が友はどうやって揃えているのだ? ただ名を借りただけの武具ではないだろう?」
「うちの鍛冶担当が神話ベースの武具を作るの得意で用意して貰ってるんだよ」
鍛冶を司る蛇である召喚獣が俺の中にはおり、武器や防具に関してはそいつに揃えて貰っている。日本神話に関わる物の方が得意なあいつだが、流石と言うべきかどの神話の武具も素材さえ揃えば再現してしまう。
ミソロジアという世界の特性を考えると、素材は揃えやすくなんなら素材を分けてくれる召喚獣もいるので比較的楽……というのが彼女の談。
「鍛冶担当? ……うーむ、どの神話の者だろうか?」
それを聞き頭を唸らせるカイザーを見て、やっぱり勉強熱心というかカイザーらしいなとそう思う。
「まあいつか会うと思うぞ? 本人はインドアだから出たがらないと思うけど」
召喚獣の中には原典と性別が変わっている者がいるし、そこはちょっと分かりづらいだろう。カイザーは自分で答えを見つけたいようなので、ここはちょっと黙っておいて、たまにヒントをあげるくらいにしよう。
「そういえば式達は大丈夫……だよな?」
「嫌な予感はするが、そこまで問題は起きぬだろう――多分だがな!」
「多分って言わないでく……れ? あれ、なんか急に魔力ごっそり減ったんだが?」
この感覚は召喚獣が獣に戻った時の感覚だ。
だけど、今出しているのはシバルだけだし、そんな事はないはず……と思った矢先のこと、遠くを見ればそこにはさっきまでいた昆虫が可愛く見えるほどの巨大すぎる蝙蝠の姿が……。
「えぇなんでだよ」
「……あれは、凄まじいな」
「カイザーあっちに急ぐぞ、何があったか確かめる」
「了解だ――というか、ボスがいるなら保つのか、これは」
「……多分、無理」
シバルは殲滅戦最強の強さを持っている。
……だからといって単体が弱いわけではなく、というか殲滅戦の方が得意かなぁぐらいの能力だ。このダンジョンのボスはまだ分からないが、あのシバルに対抗できるとはどうしても思えない。
――――――
――――
――
「ふざけろマジで!」
「流石はシバル……って言ってられねぇー」
空中で繰り広げられるのは、大怪獣と巨大昆虫の戦争。
獣となったシバルが羽ばたき、その影に触れた者が悉く切り裂かれ――その巨体故にヘイトを集めてるせいか、こっちに魔物が一切来ない。
「言っとくが、これお前のせいだからな? 霊真の説教受けるとき前に出ろよ?」
「はっもしかして
一番霊真を知っているだろうこいつは、煽ろうとしたらしいが自分でもその説教の内容を思い出してか青ざめた。
「受けたことねぇけどよ、淡々と正論ぶつけられて呆れられるんだろ? マジで嫌だぞ、それは――しかも目が死ぬ程冷めてるらしいし」
「なんで知ってるんだって疑問はいいが――これ、どうすれば回避できる?」
「ボス倒して、謝る。それでなんとかするぞ、ガキ」
「……すげぇ嫌だけど賛成で、一応洞窟型だしまだボス出てこないよな?」
ボス部屋があるはずだからとにかくそれを目指すのだが、道中に馬鹿ほど魔物が湧かないと今の時点で俺達は互いに情報共有する事になる。
「群体系のボスであってくれ……それか、雑魚沢山出す奴で」
「そうだな――っと避けろ軍師、鎌が来る!」
「……は?」
三日月のような巨大な鎌。
それを構えたシバルの奴が、一気に振り抜けば――大地は切り裂かれて大量にいたはずの昆虫の群がバラバラに切り裂かれた。
しかもそれは、ボス部屋まで届いたのか……地中から八メートルはあるヘラクレスオオカブトが現れて。
「あれ、どう見てもボスだよな?」
「あぁ、そうだな」
「このままいけば狩られるよな?」
「そう……だな」
「一時共闘だ
「はぁ……これで全部狩られましたはな。了解だ――背中預けるぞ」
仕方がないが、そうなってしまった。
だから俺は、バフがかけられるのを待ち……受けた瞬間に宙に浮いて、シバルに向かうヘラクレスオオカブトに突撃した。
「へぇ、属性付与できるのか、あいつ――少しはやるな」
体の中に感じる――太陽の様な焔。
それを引き出しながらも、俺は一節の魔法に炎と雷を乗せて。
「
こっちに気付いていないその魔物の体を、一撃を以てして消し飛ばした。
「っし、これで大丈夫だろ」
「なわけあるか、馬鹿逢魔!」
その瞬間の事だった。
無駄に威力のあるなにかを受けて、俺は地面にたたき落とされたのだった。視界の中にはシャクラの記憶の中で何度も見たハリセンを振り抜いた霊真。
落ちていく直前、下を見ればそこにはたんこぶを作る軍師がいて……。