異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~   作:鬼怒藍落

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第130話:説教そしてバーベキュー

 ダンジョンから出て森の中、視界の中に正座する男達の姿がある。

 式は「俺が発端です」と書かれたプラカードを首からかけていて、逢魔に関しては「俺が煽りました」というものが、そして、最後の一切悪びれてないシバルは正座しながらも「吾が暴れました」という札が……。

 

「で……弁解は?」

『こいつが悪い!』

「……よし説教追加だ」

 

 流石に色々言ったからちょっと心配ながらも聞いてみれば……帰ってきたのは完全に息の合った一言。指を差し合ってそう言われたせいで、温情は消え去りカイザーが帰ってくる前に詰める事に決めた。

 

「一応ちゃんと確認するが、どっちが多く倒せるかになって? シバルが参加して、あぁなったって?」

「そうだな、この馬鹿共が言い合いを始めたからその形に吾が落ち着かせた」

「それは助かる。で、獣化するまで必要だったか?」

「仮にもインドラの原典持ちと、レイマの親友だ――それ相応の対応が必要だろう」

 

 二人が彼に評価されているのは嬉しいが、洞窟のほぼ全ての魔物が壊滅して消えたことを考えると、なんか素直に喜べない。

 素材に関しては集められたら、ラッキー程度だったから言わないが、多分剥ぎ取れる希少な素材の殆どがバラバラで……。

 

「……ボスの素材は残ってるんだよな?」

「まぁ、な。うん、今回のは洞窟型だから世界の声から素材が渡された……ろ?」

「ならいいけど、困惑されたの覚えているからな? 流石に二回目だけど、あれに関してはそうそうあっていいことじゃないだろ」

 

 ダンジョンから出る直前のこと、発された世界の声らしきものはこう言ってた。

 

【魔昆虫の森林が攻略……され、ました。復旧に一ヶ月ほどください――帰れ】

 

 結構無機質な声の筈なのに、殺意すら滲んでいたその声。

 限界生活三日目の声質にすら感じたし、なんかもういたたまれなかったのを覚えてるし、ダンジョンに同情するっていう珍事すら起こった。

 入り口から絶対に入れないように塞がれたし、まじでなんだ? と思うほどには、やばい事態。これ、本当にどう報告しようか迷う。

 前にダインスレイブで凍らせたときの報告書とか、紗綾さん後で愚痴ってたし。

 

「……なぁ、暴殺雷鬼(カーネイジ)逃げたい」

「俺もだよ、ガキ」

「よし、一斉に散で行こう。お前が気を引け」

「カスかよ、お前がやれ」

「もっかいハリセン食らいたいなら言ってくれ、構えてるから」

「……なぁ親友。本当になんだそのハリセン。めっっちゃ痛かったぞ」

「え、異世界産ハリセンだが?」

 

 異世界で結構初期に作られ、俺と二年半ほど旅をしたツッコミ専用のハリセン。

 なんか進化しまくって、相手にたんこぶを作るという概念を付与された神器と言っても過言ではないこの道具は、振る時の速度にバフまでかかっており、シャクラの速度にすら追いつける優れものだ。

 

 もはや、シャクラ専用と言っても過言ではないこれ。見せた瞬間に二人が震えたのを見て流石の性能に息をのむ。

 

「知らない痛みが……変に頭に過る」

「シャクラはよくやられてたからな、それだろ多分」

 

 あいつナチュラルにぼけるから、本当にツッコミの機会が多かったなぁとそんな事を思いながらも、俺はハリセンをしまって一回聞くことにした。

 

「それで……なんかあったんだろ? 大丈夫だったのか?」

「……ただ競っただけだ霊真、それ以上はねぇよ」

「ほんとかシバル?」

「あぁ、そうだな。ムキになったこの二人が競い合っただけだ。心底うるさかったから仲裁するためにあぁやって判断した」

「よくないけど……そうだな、深刻じゃないならいい――のか?」

 

 真相は分からない。

 ……監視役を頼んだシバルがそう言うのなら信じても良いだろうが。

 

「まあそろそろカイザー帰ってくるし、終わるけどさ」

「そういえば五郎はどこ行ってんだ?」

「買い出し、肉と魚をバアルと一緒に買いに行ってる」

「……なんでだよ」

「そりゃあ、喧嘩の後は飯だろ」

 

 割と暴論に近いだろうが、親睦を深めるのなら一緒に飯を食うのが一番。

 せっかくの夏という事だしバーベキューでもした方が楽しいだろうからの判断なのだが、親友にはツッコまれてしまった。

 あれでも、二人が妙に遅いなと思っていると……。

 

「ふはははは霊真よ! めっちゃ良い肉を安く手に入れたぞ!」

「主ー! ダンジョン産の鮭とか魚が売られていたので沢山買い足しましたー!」

 

 阿呆みたいな量の肉と魚を抱える二人が笑顔で帰ってきた。

 めっちゃ上機嫌というか、料理するのが楽しみな二人。買い過ぎだろと思ったし、その量をバーベキューで消費するとなるとキツくね? と思った俺は、バーベキュー好きなメンバーを制限を死ぬほどかけて喚ぶことにした。

 

「【デュアルサモン】ディアベル・サタン、ベルフェ・フェニックス」

 

 交流ある中で、こういう宴が好きなメンバーを上げるならこの二人。

 普段は俺の魂の世界の奥底に引きこもっている憤怒の悪魔と、火山の中でずっと眠っている怠惰な不死鳥。

 そんな二人だが、騒ぐのがわりと好きだしあまり会う機会もないから確認をとって喚んでみれば……ベルフはナイフとフォークを持参して現れた。

 

「久しぶり、僕を喚ぶなんて珍しいねレイマ」

 

 明け方の空みたいな髪色をした寝惚け目の女性。だぼっとしたTシャツにはひらがなで「ふぇにっくす」と書かれていて、凄くやる気が無さそう。

 初めて見る装いに困惑しながらも、別の方に目をやれば……そこには黒い髪を雑多に生やす同じく「おそろしあくま」と書かれたTシャツの上に革ジャンを羽織る龍の角が生えた男性が。

 

「契約者……酒持ってくるために戻っていいか? 寝起きで忘れていた」

「第一声それかよ……まぁでも、逢魔もいるし一旦頼むかも」

「っしネクタル辺りを持ってこよう」

「おい、それは止めろ。マジで止めろ、冗談じゃなくて持ってくるな」

 

 飲んだ者を回復させたり不老不死にする可能性すら秘めている神饌。

 種類としては蜂蜜酒(ミード)とされ、俺の魂の中で超厳重に保管されている禁忌神物の一つ。己の快楽に従い飲みたがるのはディアベルらしいが、本当に止めて欲しかった。まぁでも流石に冗談だろうから次の言葉を待つ。

 

「じゃあハオマか? どうせアジが貯蔵してるだろう?」

「……喧嘩なるから却下で、あいつが大切にしてるの知ってるだろ」

「ならインド勢からソーマでも強奪してくるか? マモンでも誘えばいけるだろう、それにインドラの原典持ちということを考えればそれが妥当なはずだ」

「……確かに。それで、今の管理担当は?」

「ヴリドラだな」

「それ、残ってるか?」

 

 無類の酒好きであるヴリドラ。

 ……それにだ、逢魔に振る舞うと知ったら意地でもその場で飲み干して、全部飲んだから無くなったとか言いそうである。

 

「酒なら俺が用意するわ……良い店知ってるぜ、ディアベルとやら」

「そうか、貴様が言うのなら信じよう。シャクラとは飲み仲間だったからな」

「ねぇーレイマぁ、お腹空いたけど一緒にお昼寝しようよぉ。僕疲れた」

「まだ何もしてないだろ……とりあえず、家にテレポートするか」

 

 森でバーベキューとか普通に危ないので、そのままこの大人数で家に帰った俺達は、庭でバーベキューに興じる事になった。

 

 

 

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