異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~ 作:鬼怒藍落
「……帰っていいか?」
俺はいたたまれない気持ちを感じながらも、そう言った。
暇だから構えーというメッセージを受け取り、綾音の家に行った俺を出迎えてきたのは、ラウラに椿さんに綾音。
用件を聞けば女子会だそうで、なんで俺が呼ばれたか本気で分からなかった。
「駄目だよ霊真、逃がさないから。それにね敗北に繋がるよ」
「いや逃げていいだろ、なんなら負けで良いわ」
「霊真らしくないね、とりあえずいて?」
頑なに俺を留めようとする綾音。
ぬいぐるみがいっぱいでメルヘンなこの部屋で、俺一人という現状。
絶対何があっても帰りたいし、議題とか話題とかどうでもいいから逃げたかった。
「女子会なら俺呼ぶなよ」
「私、正論嫌いなんだよね」
「女子会という文字に謝れ、俺男子」
「手強い。あ、ねぇ名案なんだけどさラウラ、霊真を女子にすれば問題なくない?」
「……それは流石に迷案でござるよ?」
「呼べと行ったのは私だが、それは流石に止めとけ。暴動が起きる」
「そんなぁー」
どんだけ俺を留めたいんだよ――というツッコミはしても意味なさそうだから、喉元で留めて、そろそろなんで呼んだのかを聞くことにした。
一応理由を聞いて納得できれば……もっと断りやすいし。
「この私達Sランク女子会も今回で十六回目ぐらい、最近ははくのんが外国行ってるからこのメンツで固定だし……そろそろ刺激が欲しいの、故に呼んだ」
「全く納得できねぇから、帰っていいか?」
「やだー構って、出来れば議題と話題頂戴!」
「駄々こねるなよ……」
多分綾音の退屈メーター的な物が、限界に達しせいだろうが……流石にこの女子だらけの空間で長時間過ごすのは気まずい。
「で、他二人。俺帰っていいよな?」
「む、なら服選びに付き合え。今度女子会雑談配信を望まれていてな、その時の服が決まってないのだ」
「………………帰らせてくれよ」
「絶対に駄目だ貴様の意見が欲しい、こういう機会も稀だろう?」
「綾音殿、ラウラって霊真殿に重くないでござらん?」
「ちょっと思うけど、ツッコむのは野暮だと思う」
ラウラに真っ直ぐ見つめられて確固たる意思を込めて言われ、慌てる俺の横でなにか小声で話している綾音と椿さん。聞こえはするが、マジでそっちに気を回す余裕はなく、微笑む彼女の珍しい頼みに白旗をあげた。
「三十分だけな」
「よし、なら軽くファッションショーだな」
「見せるだけにしてくれ」
「着なければ分からなくないか?」
「それだけは譲らないからな、いちいち部屋出るの面倒くさい」
「そうか、なら仕方ないな――で、誰から行く?」
「私ー!」
待ってましたと言わんばかりに、一番乗りに手を上げる綾音。
今思えば彼女の横には買ったばかりであろう服が収められている紙袋があった。
そして綾音は黒い帽子と白いワンピース、そしてそれに羽織るようなジャケットを取り出して俺に見せてきた。
「ふっふふー最近流行ってた気がする夏服だよ、動きやすさ重視。どう、霊真ー!」
「いんじゃね?」
「……え、他は?」
中学生の時のノリでそう返したら、一気に部屋が冷えてジト目を三方向から浴びせられた。綾音がどんな服でも似合うのは知っているし、他の感想とかはあまり出てこないが、足さなきゃ命が危ないと思った俺は……。
「珍しいな?」
「……椿つぎー」
「拙者もでござるか!?」
「買ってたよね?」
「そうでござるが……まぁ、こんな組み合わせでござるな」
そこで出されたのは黒いキャミソールに青のホットパンツ。
普段は和の物ばっかりで露出が少ない椿さんにしては、珍しく感じるような服装に自然とこんな感想が口から出た。
「へぇ新鮮だな、椿さんもこういうの着るのか」
「たまには洋服もって思ったでござって、似合いそうでござるか?」
「椿さん美人だし、似合わないなんて事ないと思うぞ。それに視聴者目線? も普段の着物と違うからやっぱり新鮮だと思うしな。あとは、活発な椿さんのイメージに合ってるしぃ……あーそういや、雰囲気がいつもの綺麗だなって思えるのと違って可愛い系だなぁって」
「ふぇ、素面? ……これが、素面? 待ってほんと霊真殿、止まるでござる」
「ん……あぁ、すまん?」
もうちょっと言おうと思ったら、急に止められたので謝ってから黙る。
でも、前にダンジョンで恥ずかしい思いさせられたわけで、ちょっと仕返しだ。
「……むぅー! 次、ラウラ!」
「この流れだと仕方ないが、こいつの特性忘れていた私が悪いな」
そして紙袋から出されるのは、いつも思うけどどこで買ってるか分からないゴスロリ……というか、童話の中の少女のような白い服。
少し小さめのラウラの身長と合わさっていて、本当に童話の中から飛び出した……みたいな雰囲気を感じるし儚げながらも可愛くはあるだろう。異世界でも見慣れているから他には特にこれといった感想は無く、出てきた言葉はこんなもの。
「いつも黒だけど白って珍しいな」
「それだけか?」
「え、ん……そうだけど」
「なあ綾音、案外……ムカつくな」
「ほんと、ほんとに。ほんっとうに喧嘩」
「霊真殿、修行するでござるよ
……あれ?
なんか凄くアウェイ?
「召喚獣の皆も喚んで貰って詰める?」
「ありだな……三十時間ほど恋愛映画でも見せるか? ルナとソルとリコリスと他には誰がいいだろうか?」
「とにかく竹刀いるでござるか?」
「暴力は、駄目かなぁ」
「じゃあ……縛るでござるよ。乙女に恥ずかしい思いをさせた報いは受けるべきでござる……ほんと男性に褒められた経験などあまりないのに……」
「これは罪が深いな、なぁ綾音?」
「多い方が良いね、バロールさんとかも?」
どんどんエスカレートして、意気投合していく中で物騒になっていく会話。
命の危機を感じてきたので、俺は視線がずれた瞬間に窓を開けて自分の部屋に逃げ出した。数秒後、突撃してきた綾音と鳴らされまくるチャイムに悪手だとも。