異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~ 作:鬼怒藍落
「ようバロール、元気か?」
「……レイマ様? 元気ではございますが」
とある休日……というか夏休み真っ只中の事、俺はバロールのことが気になって、教会へと足を運んでいた。相変わらず祈っていた彼女は、俺が来るなりすぐに中断して俺の元に目隠ししながらも向かってくる。
「っとと、すいません急に立ち上がったもので……」
「いや大丈夫だ。それより、俺がそっち行くわ」
「悪いです……あ、やっぱりはやいです」
とりあえず俺は出来るだけ足音を出しながらも彼女の近くに向かって、ちゃんと前で止まってからすぐに後ろに回り込んで。
「ちょっと目隠し取るぞ」
「え、それは――危なくないですか?」
「いや皆に相談して今は全員に耐性付与中だから安心しろ」
「……何故でしょうか? それに全員となると、魔力消費が」
「気にすんな、俺がやりたかっただけだし」
そう言って、彼女の瞳を封じている目隠しを取った俺は久しぶりに彼女の瞳と向かい合う。今の瞳はアメジスト色、つまりは死眼の方だろうが……やっぱり彼女の瞳は綺麗である。
「うん、傷付いてないな? ずっと目隠ししてるから心配なんだよ」
「それはその方が安全なので……それより、何をする気なのでしょか?」
「いやさ、改めてお礼と……散歩? こないだ結局色々あって二人で過ごせなかったし、たまにはな」
「……それは、嬉しいのですが。私だけ貰いすぎではないでしょうか?」
「えーこないだ頑張ったじゃんお前? 他の奴らとは時間取るって約束したからさ――それにやっぱりバロールには色々見て欲しいし」
普段はずっとこの教会にいて、出来るだけ他者とは接さないようにしてる彼女。
自分の瞳が危険なのを知ってるからだし、彼女の優しさ故だろうが……それはあまりにも寂しいだろうし、せっかく賑やかなこの世界でそれは違うだろう。
「ってなわけで探索だ……どこ行く?」
「私なんかが、いいのでしょうか?」
「なんかじゃねぇよ……いつも思うがちゃんと自信持て」
「レイマ様には言われたくないです」
「…………それは、まぁ……」
「貴方様が私にそう言うなら私もちゃんと伝えますからね?」
……むぅ、やりづらい。
彼女と出会った時では考えられないやり取りだが、こうしてしっかりと自分の意思を伝えるようになったのは良い成長ではあるだろう。
だけどだ。それほどまでに色々な俺を見ているって事だろうしで……むず痒いというか? なんだろうか?
「まぁいいや、せっかくなら普段見れないのとか見ようぜ」
「……私は何があるかは知っていますが、殆ど見てませんね」
「じゃあ全部か、何カ所あるんだろ……」
俺の召喚獣達が過ごしやすいように改造されにされまくったこの世界。
普通に世界樹とか火山とか海とかもあるし、広さはマジで把握できてない。というか、持ち主である筈の俺が一番分かってないことすらあるだろう。
「エリアとしては、北欧やギリシャがやっぱり多く占めてたと思いますよ?」
「インド勢とか悪魔勢は……基本適当に生きてるしな、日本勢はこの世界に四季まで再現してる程に……まじで自由だし」
日本人としてはあのエリアが過ごしやすくはあるが、あまりにも自由すぎる面々にちょっとドン引きしてる。
それでやってることは酒盛り戦闘そして宴会。二日に六回は酒飲んでる奴らばっかりだし、ただでさえ日本勢の中には酒嫌いの鍛冶師がいるのに、そんな事お構いなしに飲んでばっかり。
「基本お酒臭いですよね、あそこは……たまに散歩に行っては絡まれます」
「…………自重しろって言っとくか?」
「いいえ、楽しいので大丈夫ですよ? だって、賑やかで皆さん笑っているので」
「ならいいか……あーじゃあ、せっかくだし桜を見に行こうぜ?」
「桜ですか? 確か、レイマ様が住んでいた国の植物ですよね? 和国にもあるとは聞きましたが、あるんですか?」
「それが、めっちゃ巨大なのがあるらしい……さっき知った」
「流石に自由ですね……」
メルリ辺りもそこでお花見しているらしいし、何よりそこが最近宴会場になってるらしく……耐性を付与しに行った時に見てめっちゃくちゃ驚いた。
しかもかなりの
それを伝えれば、確かに彼女の目は見開かれて……それならばと一緒に向かってくれた。
「そういえば、レイマ様覚えてますか? 私達すっごく変な出会い方をしたのを」
「……えっと、確か俺がベルグから落とされた先で出会って……なんかめっちゃ喧嘩したよな?」
「えぇふふ、そうですね。眼を潰そうとしたことを怒られて、勝手に私の瞳を褒め始めて……覚えてますよ? そんなに綺麗な宝石みたいな眼を――って」
「あれ、そんな恥ずかしいこと俺言ってたか?」
「えぇ一言一句覚えています。私にくれた貴方の言葉は全部です」
やばい、色々言った覚えはあるが……それだけ記憶されてると流石にはずい。
あれ、他に何かやばいこといってないよな? ちょっと聞いただけでわりと恥ずかしいんだが?
「……ふふ、顔が赤いですよ?」
「いやだって――あぁもう、はやく向かうぞ」
「えぇ、貴方のバロールはどこにでも」
――――――
――――
――
ゆっくりと景色を見ながらも、彼から瞳を外さない。
決して私の力では死ぬことのない、大事な人。運命なんて言葉で片付けたくないほどに、出会って嬉しくて、私に勇気をくれた人。
「レイマ様、私は貴方に出会えて幸せです。私を認めてくれて、私に言葉をくれて、私に居場所をくれて――私を仲間にしてくれて、本当にありがとうございます」
「急になんだよ――そっちこそ恥ずかしいこと言うなって」
「言葉というのは伝えないとですからね……レイマ様今日は顔が真っ赤ですよ」
普段見れない彼の顔、真っ赤に染まる彼を視て私は笑みを深める。
私はこれからも彼のために殺すだろう。敵は許せないから、彼に与えられるはずの死を歪めた者達を許せるわけがないのだから。
「ねぇレイマ様、私は貴方の力になれて嬉しいんです」
死というのは、全ての物に与えられる残酷で最悪でとても酷く優しい物だ。別れとなり、終わりであり、もう二度と覆せない結果。
――だけど、それは。
人が終わりを迎えて、安らげる優しくて尊くて一度しか訪れない休息だから。
「いつか貴方が眠るとき、私はきっと祈るでしょう。だからそれまでずっと、よろしくお願いします」
別れは寂しい、彼と別れるなんて思いたくない。
だけど、それは――彼の安らぎを奪うから。
だからどうか祝福を、いつか安らぎ眠る貴方を想って――大好きですレイマ様。