異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~ 作:鬼怒藍落
「どうしたの霊真?」
心配そうに上目遣いでこっちを見てくる我が幼馴染み。
不味いな、ずっと意識してないようにしてるのに、普段と違う装いに……何より、こてんと首を傾げる無邪気な姿が。
「ねぇ霊真、お祭り楽しも?」
楽しそうに妖艶に笑う綾音。
その表情は、獲物を前にした捕食者のようで、今まで一緒に過ごした中で一切見たことのない表情に。
「……分かった」
そうやって言うことしか出来なかった。
二人っきり祭りを回ること数分、食べ物の屋台で食べ歩きをしていると射的の屋台が見えてくる。その屋台はここら一体では一番の賑わいを見せていてちょっと気になってしまう。
「あ、射的だね霊真」
俺の視線が向いていた先を探ってか、何を見てたか気付いただろう綾音はこう続けてくる。
「もしかしてやりたいの?」
「そうだけど、いいのか?」
「うんいいよ、私も気になるし……何より初めてだから、やってみたい」
それなら最初は綾音にやって貰おう。
射的の屋台に近付いた俺達。
とりあえず綾音のお金を払って遊んで貰う事にする。まず六発分の弾と銃を受け取った俺は、綾音用の弾を装填し彼女に手渡した。
「自分で出来るのに」
「いいから、楽しめよ綾音……というか、どれ狙うんだ?」
「あれ……かなぁ」
あれ、と綾音が指を差したのはぬいぐるみと書かれた木の札。
よく見ればこの射的では大きい景品は札になっているようで、他にも色々な物が用意されている。
俺はその中に特に欲しいのはないが、目を引くの札が一つ。
明らかに倒れる様子のない鉄の札、それにはシークレットと書かれており、俺の興味を引いた。思えば、他の客はこれを狙っていたようだし余程いい物なんだろう。
綾音の番が終わったら俺もそれを狙おうと思ったので、お金を用意しつつ彼女の勇士を見守る事にした。
でも、ああいう木の札の景品って落としづらいし手伝うのもありか? とか思っていたが、俺は忘れていた。
「あ……取れた」
綾音が戦闘に関する物の天才だと言うことを。
たった三発で木の札を倒した綾音は、見事大きいだろうぬいぐるみをゲットした。
もう遅いが、射的というのは奥が深い。
銃の角度や癖を見極め、威力や発射速度を計算しなければ景品には当たらないようになっている。出来なければ教えようと思っていたが、この様子だとそれは無駄な考えだったらしい。
「……初めてだよな?」
「勘でいけた」
「……流石綾音」
「ねぇ霊真、欲しい景品ある?」
「ないが、気になるのはシークレットだな」
「なら、取るね」
俺の一言でメラメラと闘志を燃やす綾音。
いや、残る弾数では流石に無理だろと思ったが、的確に鉄の札を撃ち抜き惜しいところまで持ってった。
「……むぅ取れなかった魔力無しは厳しいね」
「そりゃそうだ。だけど後は任せろ」
ここまで彼女にやって貰ったのだ。
取らない訳にはいかないし、何より他の客に取られたら悔しい。
だから俺は店主に代金を渡して、射的に挑戦する事にした。
「二撃必殺」
一発目を中心にそれで銃の癖は把握した。
それに、速度は他の客と綾音を見て大体予想が付く。
あとは風のタイミングを待って吹き終わったところで引き金を引けば。
「よし、完璧」
宣言通り二発で落とした。
「まさか落とされるなんてね。はいこれ、彼女さんにあげるといいよ」
「彼女じゃないです」
射的屋のお姉さんにそう言われるが、俺は綾音とはただの幼馴染みなので否定することにした。
「そう? 仲良さそうに見えたけど、じゃあ尚更これが使えるよ。頑張ってきな」
渡されたのは黒いケース、あまりの高級感が溢れるそれに一瞬気圧される。
試しに開けてみれば、そこには銀色の椿の花があしらわれた金串の簪。あまりの高級感溢れるそれに、本当にこれ祭りの景品か? と思ってしまう。
「私簪職人でね、今日は祭りにとっておきを持ってきたのさ」
「貰っていいんですか?」
「そりゃあ取られたからね。またね男前、詰まってるから行った行った!」
背中を叩かれ、綾音の元に戻される。
「あれ、霊真……景品なんだったの?」
「えっと――ちょっと待て」
「む、教えてよ」
そこで思い出した事がある。
簪って何か送る意味があった事に。詳しい意味は分からないが、結構恥ずかしい意味だった気がするし、これはこのまま渡していいのか?
「ゲームだったよだから家でやってみる」
「へーお祭りの景品にしては豪華だね」
「……そうだな」
俺が持っていても意味ないし、綾音にはあげたいが……流石に意味を知らずに渡すのは愚策。これで変な意味だったら綾音にも悪いからだ。