異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~ 作:鬼怒藍落
今回の祭の開催期間は二日。
最終日に花火が打ち上げられるらしく、俺達はその間滞在することになっている。
前の世界ではあまり来たことがなかった江ノ島。祭二日目である今日の午前は、観光することを決めており、俺はかなり楽しみだった。
「今日は観光なんだが……その人が助けてくれた人か?」
「あーうん、昨日迷った俺を助けてくれたレヴィさん……ここら辺詳しいらしいから案内してくれるって」
「それは助かるんだが……なんで親友は早速迷ってるんだよ」
「人混み凄くて……」
昨日戻るのが遅れたせいでかなり心配された俺が使った手段。
それは呪いとも言える方向音痴を言い訳にしたこと。それを使えば、レヴィさんに助けられたという体にして一緒に回れると思ったからだ。
皆に呆れられはしているものの納得はされたようで、式達はレヴィさんに各自で礼を伝えている。
「じゃあ早速出発です行きますよー」
いつものメンバー六人に彼女を加えた七人での観光。
先導されながらも、江ノ島の観光名所や甘味処をまわりながら買い食いして進み、俺達の荷物が少しずつ増えていく。
ダンジョンがいつ生まれるか分からないこの世界。
前の世界ではなかったような冒険者用の建物や、ダンジョンの入り口などがあり、やっぱり感じるのは疎外感。
「……あ、団子美味いな」
「確かにこのみたらしが絶品でござるな、霊真殿これもおすすめでござるよ?」
「珍しいな、ずんだ」
椿さんから手渡されるのは白い団子に緑の餡が乗ったずんだ味の団子。
あまり見ない種類のそれを受け取って食べれば、優しい甘さが広がり枝豆の風味を感じることはが出来た。
気になることとしては、レヴィさんが団子を食べる俺をまじまじと見てきたこと……食べたいのか? と思い買って渡せば。
「え、いいんですか?」
「そりゃ案内してくれてるわけだし、それに気になってるっぽいしな」
「あ、ありがとうございます。食べたことなかったので気になってたんです」
あれ、レヴィさんは地元の人なんだよな?
まぁでも、地元民だからって観光地の食べ物を食べるかは分からないし、むしろ食べないという事の方が多いのかもしれない。
色々見てまわった後、一度江ノ島から出て近くを探索。案内役のレヴィさんは手に持っている計画表のような物を見ながらも、次の目的地を口に出した。
「次はー……よし、お化け屋敷ですね」
「へぇーいいね、私賛成だよレヴィさん」
その瞬間に流れる冷や汗。誰よりも早く反応する綾音に、待ったをかけようとした瞬間のこと。
「最近出来たというとびっきり怖いというお化け屋敷だろう? 我も気になっていたぞ! センスが良いなレヴィさん」
「お化け屋敷か、そういえば椿ちゃんが行きたがらないので入ったことはないな」
あ、椿さんも怖いの苦手なんだ。
――だがどうする? 綾音は当然乗り気でカイザーも目を輝かせている。ラウラも初めてらしく行く気満々で、椿さんに関しては……
「……せっしゃこわいのへいきでござるー」
涙目で、棒読みで、虚空を見つめてそう言ってた。
「え、本当に平気か椿さん?」
「だいじょうぶ、だいじょうぶでざるよ霊真殿ー。皆が行きたいならどこまでも拙者は逝けるでござるー」
「なぁ止めようぜ? 俺はともかく椿さんが不味そうだぞ」
普段の活気のある椿さんからは想像出来ない程に死んだ声音。
やっぱり棒読みだし何故か眼を合わせてくれない。
そんなに嫌そうなのに何故行こうとするのか分からないが、こうなってしまえば断る理由が消える。
「……なぁ、これ本当にお化け屋敷か?」
逃げることなど出来ずに、やってきたのは水族館の横のお化け屋敷。
淵海学校……とか言うみるからにやばそうで馬鹿でかい建物の中からは、ありとあらゆる阿鼻叫喚を詰め込んだような悲鳴が聞こえてくる。
きゃーやぎゃーは序の口で、やだ来ないでとか……嫌だ死にたくないやら挙げ句の果てには、発狂してるかの様な声まで……。
「まじで入るのか? 注意書きとか終わってるぞ?」
入り口付近にある注意書き。
そこには【このお化け屋敷は精神と心に多大なるダメージを与えますので存分に愉しんでください】という文言が。
「愉しみだねー」
「どうする綾音、これ最大三人までしか入れないっぽいぞ?」
「どうするくじ引きでもするか?」
「俺と椿さんが入らない選択肢はないのか?」
「だーめ、せっかくなら皆で共有するよ」
「たのしむでござるー」
……そっか。
終わるんだ……俺。
正直滅茶苦茶に嫌ではある。だけど、ハイライトの消えた目で逝こうとしてる椿さんを見ると断るのは悪い気がして、俺はスマホのくじ引きアプリでくじを引き、決まったメンバーが。
「あ、詰んだ」
「霊真殿、一蓮托生でござるよ」
「三人でお化け屋敷ですか……この二人の反応は面白そうですねー!」
人数的に三人の組ができる手筈であり、見事椿さんにレヴィさんを加えた三人組になった俺の目は死んだ。
「むぅー……まあいいや、レヴィさん後で二人の反応聞かせてね?」
「はーい了解です!」
俺等を置いて進む話。
あぁ、世界って残酷だなとか思いながらも……俺と椿さんは死んだ目で列に並んで、地獄に送られる亡者の気分を味わった。