異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~ 作:鬼怒藍落
「これ貸し切りって凄いね」
「綾音の運は相変わらず凄いよな」
今回の江ノ島遠征を計画した時に試しに綾音が花火の特別席に応募したら偶然当たったらしく、浴衣に戻った俺達六人は貸し切りの展望台に足を踏み入れていた。
「……せっかくだしレヴィさんも来れば良かったのにな」
「そうだね、今日一緒に居て楽しかったし」
エレベーターで上へ向かいながらも、綾音と話して辿り着くのは最上階。
あと十分で花火が始まるという状況。久しぶりに見る花火を楽しみにしながらも、俺は皆を見守った。
カイザーを少し煽りながらも言い合う式。
そんな彼等を呆れて見守るラウラと買い溜めた食べ物を頬張る椿さん。
俺の横で皆を楽しそうに見守る綾音は、堪えきれずにそっちに向かって輪に入る。
――あぁ、常々思う。
俺は異物だと、本来ならこの場所にいたのはこっちの霊真で、あの世界で処刑された俺がいるのはあり得ない幸運だと。
日ごとに増してくダンジョンの脅威。
皆を守るためにはもっと強く、それこそ全盛期の力を取り戻さないといけない。
今の魔力では喚べない奴もいるから、無理してでも魔力を戻さないといけなくて――でもそれは、こっちの霊真を犠牲にするかもしれないから。
いつか俺は消えなきゃいけない。
死んだ俺が、いつまでもこの世界に居ていいはずがないのだから。
でも――あぁ、ずっとこの世界で生きていたいと思うのは、それこそこうやって一緒に過ごしてくれる仲間が居るからで。
「ん、霊真殿? こっちくるでござるよー!」
「あと五分で始まるぞ! 我の隣に来るが良い、ここの見晴らしは最高だ!」
「……うるさいぞ五郎、静かに見させてくれ」
空を見上げる彼等の横で、俺も座って時間を待つ。
横に座るのは昨日と同じで黒い浴衣の綾音。最初にいた世界で見ることのなかった大人びた姿。見る機会なんてないと思っていたその装いに、俺はやっぱり――と。
「そうだ、ルナ達にも見せたいんだがいいか?」
「そんなの当然だろ? 貸し切りだし見られる心配もねぇしな」
「それもそうだな……【トリアサモン】ルナ・マナガルム、ソル・スコル――リコリス・ヒュドロス」
呼ぶのはいつものメンバー。
このやってきた平行世界でずっと助けてくれてる仲間達。
俺を見て少し悲しそうな顔をした彼女らだが、追求はせずに俺の後ろに陣取った。
ミソロジアの和国にも花火はあったらしいが、見る余裕などはなく存在だけ知っていた彼女達。きっと綺麗だろうし楽しんでほしいなと思っていると――次の瞬間に、空に火の花が打ち上がった。
「ますたの中で見るのと同じぐらい綺麗だね」
「……まってくれ俺の中って何?」
「日本神話勢が打ち上げてるんだよレイマ……最初は五月蠅いから嫌いだったけど、慣れると綺麗で定期開催されてるんだー」
「…………今更だけどさ、俺の体の中どうなってるんだよ」
最早完全に把握できない俺の魂の世界。
流石にミソロジア程は広くないが、絶対に頭おかしい広さはしてる気がする。
始まった花火より、今知った情報に頭を痛めながらも……皆が楽しそうにしてるならと笑って……やっぱり守らないとなと。
「ねぇ霊真、今楽しい?」
「……うん。楽しいよ」
綾音にそう問われて、俺は少し悩んで答えた。
この気持ちは絶対に嘘じゃないから、皆と過ごせてまた召喚獣の仲間達と一緒にいられる中で楽しくないわけがないのだから。
――ごめん霊真。
俺はまだ――皆と一緒に居たいよ。