異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~   作:鬼怒藍落

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第148話:目覚めて

 ……長い長い夢を見たような気がする。

 あの黄昏の世界で見た、二人の姿。それに自分の体の中から感じる増えた魔力に、なんというか安心感? というより、少し吹っ切れたような感じだ。

 

「……おはようメルリ? なんでいるんだ?」

 

 目が覚めて少し周りを見渡せば、そこには考え込んでいるメルリがいた。

 そんな彼女と目が合って、暫しの無言が続く。めっちゃ凝視され、固まったかと思えば彼女は立ち上がり……。

 

「流石の私もね、今回は藪蛇は突かないでいたいんだ。とりあえず私は君が目覚めた現場にはいないし、何も話していないよ……いいかな?」

「あ、ちょ……メルリ?」

 

 そういって自分の召喚を解除して、この場から消えていく俺の師匠。

 彼女にしては珍しいなと思いつつも、俺はそれを見送った。

 

「……まじで何だったんだ?」

 

 頭に幾つもの疑問符を浮かべながらそう呟いて周りを見渡せば、俺がいる部屋には幾つもの回復用の札が張られて結界が敷かれていた。

 体を見れば傷がない。この状況を見るにずっと治療されていたようだ。一応不調がないかを腕を上げたり、首を回したりと色々試すが、問題はなかった。

 

「今まで通り魔法使えるか?」

 

 あれだけ傷を負い、何より無茶をしたんだからと……少し難しい氷の魔法を使って試すことにした――のだが。

 

「えぇ……なんでだよ」

 

 とりあえず二段階の変化を意識して、周囲に漂ってる魔力を凍らせたのだが――それの範囲がエグく、部屋全体が凍り付いた。

 あまりに凍力にドン引きしながらも目覚めた事を伝えるために俺も部屋から出て皆を探すことにした。

 

「……なんか結界あるんだよな、そっちか?」

 

 俺が寝ていたのは民宿のようで、出て見れば山の中。

 少し離れた場所にかなりの強度の結界があるようで、向かってみればそこでは皆が鍛錬していた。

 話しかけれる雰囲気ではなかった。それに入ってきた俺に気づいてないようだし、どうやって声をかけようかと迷ってしまう。

 

 おはよう? 久しぶり? いや、どれも違う気がする。

 そもそも起きたとはいえ空を見れば暗いから夜だし、何より久しぶりと言うには何日寝てたかなんて分からないから。

 頭を振って考えを切り替えることにしたとりあえず悩んでも仕方がないからだ。

 ひとまず目覚めたことを伝えねば、始まる話も始まらない。驚かせないよう、出来るだけ気を使いながら声をかける。

 

「えっと……皆? つい今さっき起きたんだけど―――今どういう状きょ」

 

 言い切るより前に自分に魔力が向いている事に気がついた。

 それどころかさっきまで互いに戦い合っていた皆が一斉に魔法を構えていることにも。あれ? と考える間もなく、身体が反射的に回避行動を取った。

 

「ちょおい、皆!?」

 

 焦って思わずそう言って、俺はなんとかしようとしたのだが……その前に彼等は俺に向かって必殺技を手向けてくる。

 

「……とりあえずおせーぞ親友」

「悪いな我が友。ヴァルドラゴスピア」

「……神去流――無明常世断(むみょうとこよだち)!」

 

 あ、やばい。これ防御しなきゃ死ぬ。

 何で? なんて疑問を考える暇などない――とりあえず何? 防がなきゃやばいし、失敗したら多分逝く。まじの絶対絶命で、冗談じゃすまないぞまじで。

 

「【アイギス】!」

 

 本能が警鐘を鳴らし、俺は瞬時に魔力を練る。

 そして――放たれた攻撃を全てを防ぎ、なんとか事なきを得た――だけど、その技を放つ面々の中に綾音とラウラがいない事に気づき、咄嗟に彼女達を探し衝撃に備えたが、いつまで経っても何も起こらず、代わりに前後から二人分の温もりを感じた。

 

「えっと、二人とも……動けないんだけど?」

「遅いよ、霊真」

「……寝過ぎだ、馬鹿者」

 

 普段なら絶対に有り得ないような、二人の行動。

 絶対に逃がさないという意思を感じさせるように強いその抱擁。抜け出そうにもそんな雰囲気じゃないので受け入れれば、一分ぐらい二人に抱きつかれ解放される。

 

「えっと皆、俺どのぐらい眠ってた?」

「五日だよ、お寝坊さん」

「え、まじか。それで今どういう状況なんだ?」

「それを話すのはこれからだ……その前に、言うことがあるだろう?」

「……あーそうだな。ただいま、皆」

 

 そうして目が覚めて、貸し切りだという民宿に戻ってきた俺達。

 とりあえず、改めてどういう状況かを聞くために、俺は皆の前に座った。

 

「えっと……やっぱりレヴィさんがオケアノスで待ってるって?」

「うん、私はそう聞いた。嘘はないと思う」

「……まじか、やっぱり戦うしかないのか」

 

 確認するようにそう言った。

 ……彼女の狙いは、多分俺だろう。ディアと戦ったときにもそう伝えられたし、何よりそうじゃなきゃ今までの行動が説明出来ないから。

 それに、あの力を前にした俺だからこそ分かる。

 彼女は規格外であり、相当な無茶をしなければ倒せないだろう。

 この世界で俺は、霊真の大切な者を守りたい……だからもう少し頑張ろうと決めたし、何より目覚めたわけだから。

 

「なぁ皆、レヴィさんの狙いは俺だ――あとは俺に任せて」

「あぁ、そうだな――だから俺達は霊真が目覚めるまでの間に死ぬ程鍛えたぞ」

「――は?」

「メルリ……さんの情報が確かなら、相手はミソロジアにすらいなかった規格外。格も存在も異常な最強種……戦うことが間違いで、俺達は霊真に任せればいい」

 

 あぁ、そうだろう。

 正直言えば式達では実力が足りず……死ぬ可能性があるのなら戦ってほしくない。だから俺は皆を守るために俺と召喚獣達だけで戦うつもりだった。

 でも、親友は……式は、そこまで言って言葉を切って。

 俺の目を見てこう告げる。

 

「だからこそ言うぞ、俺達を舐めんなよ親友。理不尽を知った。無力さを知った……お前の歩んだ軌跡の一端を見た。お前を一人にしないために、俺達は鍛えたんだ」

「今まで何してたんだとヘコんだでござるが、少しでも追いつきたいのでござるよ」

「メルリ殿に、死ぬほど鍛えられた我等だ。少なくとも足を引っ張るつもりはない」

 

 式は笑った。

 椿さんはそう言って、微笑んで。

 カイザーは……ニヒルに笑い、任せろと言った。

 それは俺が予想してなかった言葉で、何よりこんな俺に追いつこうと一緒に歩いてくれようとしてくれる彼等が眩しくて。

 

「そういうことだよ、霊真は一人じゃない。私達がいるんだ」

「今も昔も背負いすぎだ……だからもっと頼れ」

 

 最後にそうやって言ってくれる二人に、俺はなんて伝えればいいか分からなくて。

 ……何より、それを嬉しいと感じてしまう俺がいて。

 俺って、弱いなって心底思った。

 いつも強がって、守るって決めたのに、こんな簡単に絆される。本当に変わってないっていうか、とても弱いなって――でも、今は弱くていいなってそう思えたから。

 

「いいか狩谷霊真、自惚れんなよ――ここにいる誰もがお前に守って貰うなんて考え持ってないんだよ。お前の仲間はな、お前といるために、並ぶためにここ三日死ぬほど鍛えてきた。お前と帰って笑うために頑張ったんだ――だから、勝つぞ」

 

 ずっと強くなって皆を守ると決めていた。

 そのために頑張ってきた――でも、俺は式の言うとおり自惚れていたんだ。一人で出来ると、仲間を友達を守らないとって――でも違った。

 皆は俺なんかのために戦ってくれる。俺と一緒に未来を変えてくれるというのなら――俺は生き残らないと。

 

「式の言うとおりだ――いつの間にか皆のこと守らないとってずっと思ってた」

「実際お前に任せたことが多いからな――でも今回は違うぞ。絶対に皆で帰るんだ

「そうだな――なぁ皆、一緒に戦ってくれるか?」

 

 答えは聞くまでもなかった。

 皆が笑い、そして頷き……俺はその時、笑えたんだ。

 

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