異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~   作:鬼怒藍落

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第156話:自覚して

いつの間にかルミアに抱えられて船の上にいた俺は、心配そうに顔を覗き込んでくる皆を見て声をかける。

 

「えっと、おはよう?」

 

 どういうわけか魔力は全回復。周りに魔物の気配はないし、皆は疲弊しているのか疲れが顔に出てる。ルミアに至っては原典解放しているし、なんかバアルはいないしで割と混乱状態。

 

「ご主人が喰われた後、暴食が蠅になって、その暴走を止めた所だよ」

「ムカつくからって、伝えないのだめだよルミア」

「…………ほんと屈辱です、ぼくは駄メイド……ふふ」

 

 簡潔に説明してくれたと思ったら、ベルフェに補足されていじけ始めるルミア。

 出会った頃の口調に戻ったかと思えば、捨てないでねご主人とぶつぶつと呟きながらもハイライトを消している。

 

「なぁまじで何があったんだ?」

「ベルゼブブになったバアルさんが、霊真の呪いを解除したらしい……なんか他者に嫉妬しやすくなるとかいうやつをだってさ」

 

 とりあえず降ろして貰った後で、こういうときに頼りになる式の方を見て聞いてみれば……困ったような顔をして親友は答えてくれた。

 そう言われて考えてみれば心当たりというか……気づけたことが一つ。

 具体的に言えば、ずっと燻っていた嫉妬心というか江ノ島に来た期間でこの世界の霊真に対して思ってしまった事を自覚した。そして、それと同時に大切なことにも。

 

「気付かなかったんだけどよ、親友は大丈夫だったのか?」

「えっと……うん。でも待ってくれ、マジでハズいから一旦掘り下げないでくれ」

 

 今までも彼等と過ごすうちに感じていた想い。

 確かにそれは認めるているし、皆のことは大切だ。

 だけど、それは今までの俺だったら気にしないようにしていたこと。

 出さないようにもしていたし、いつかがあるから出来るだけ考えないようにしていた。だけど、江ノ島に来てからそれが抑えきれていなかったのだ。

 

「まじかぁー……あぁーほんっと、会った時問い詰めるからなレヴィさん」

 

 大罪の悪魔達。

 それらの存在は魂の世界に五柱いるからその特性をよく知っている。

 彼等の魔力の影響を受けると冠する罪に対する感情や欲が膨れ上がるのだ。暴食だったら腹が減り、色欲だったら興奮するし、怠惰だったら眠くなるしやる気が減ってしまう感じ。つまり嫉妬を司るレヴィアタンの影響を受けてしまえば――。

 

「ねぇ霊真、ずっと聞いてなかったけどさ……霊真は、どうして私達のために戦ってくれるの? 優しいのは知ってるよ、責任感もいっぱい持ってるし、でもそれだけじゃ、ないよね」

 

 綾音の瞳が俺を射貫く。

 微かに揺れてるその赤は、嘘を許さないという意思と共に怯えや心配が含まれていた。それを問われて、俺は答えに迷ってしまう。

 

「話さなきゃ、駄目か?」

「うん、どうしても知りたいんだ」

 

 それは言わないといけないが、ずっと話さないようにしていた事だったから。召喚獣の皆にも言ってなかったことだし、何よりもそれを話してしまえばきっと止めようする奴がいるだろうから……でも、これはいままでのツケだ。

 

 ……皆に話そう。

 自覚した今だから、皆が大切だって思えた今だから。

 これは言葉にしてちゃんと伝えないといけない。

 

「――召喚獣の皆と、こっちの俺のためだったよ」

 

 最初は、驚きがあった。

 死んだと思ってこの世界に来て帰れてないことを知って、でも俺の知らない大切な二人がいて、家族がいて。旅を共にした召喚獣の皆がいてくれて、皆を守らなきゃなと思った。だから平和に暮らそうと思って、その後で――こいつの、この世界の狩谷霊真の努力を知って、体を返さないとって……そう思って。

 皆を霊真を言い訳にして、自分が消えるのを正当化しようとしていた。もう死んだ存在から、それにこっちの俺にだったら召喚獣を託せるはずだからって。

 

「……だった? 今は、違うの?」

「あぁ、そうだな。体を返して消えなきゃなってずっと思ってた。だって、俺はもう死んだ存在だから。でもお前達の事を大切だって思えてやっぱり一緒にいたいって知ったから、召喚獣の皆とずっと一緒にいたいって改めて思えたから」

 

 そこで言葉を一度切った。

 本当だったらこれは、召喚獣の皆にも伝えないといけないから、今度言葉には出すが、今は皆に……この世界で仲間になった皆にこれを伝える。

 

「体を返すのも、皆を守るのも、そして、俺が生きれる道を探したい――それにさ、帰れないとあっちの綾音と式が寂しがるだろうし」

 

 帰るのは正直諦めていた。

 ……でも、それはもうやめだ。

 全部叶える……そのためにも、俺は全力で今を生きなければならない。

 

「今なら言えるよ、俺は全部を諦めない……だから、俺と一緒に戦ってくれ」

 

 そう俺は伝えて皆の答えを待った。

 ……不安だし、怖い、というか恥ずかしい。

 今まで話してなかったことを伝えたわけだし、何よりちゃんと話せたかも怪しいし。それから少しの間が出来て、余計に心配になって。

 

「あのぉ……皆?」

「はぁーほんとうに霊真は変わらない、どっちの霊真もクソボケだね」

「まぁ、話してくれただけ進歩だろ。言いたいことは多すぎるけどよ」

「拙者、改めて霊真殿を一人にするの不味いの分かったでござるよ」

「我が友らしいと言えばそうだが……それは今更だろう」

 

 あれ、なんか反応が違うような?

 疑問に苛まれながらもその中で、一人だけ反応を示さないラウラを見る。

 助け船というか……なんか弁解して欲しいなと思って、彼女の方を見て……。

 

「なぁ、おい馬鹿」

「――馬鹿ァ!?」

「あぁ、馬鹿だ貴様は本当に馬鹿だ……消えるつもりだった? 自分は死んだから? あまりふざけるなよ? いいか馬鹿、何が戦ってくれるかだ? 私達をあまり舐めるな。覚悟なんてとっくにしている、だから、もっと自分を認めろ、レイマ」

 

 そこで胸ぐらを捕まれて、ラウラが至近距離でこう続ける。

 

「私はお前と一緒に過ごすために、お前が大切だから一緒にいるんだ! 私の憧れを、私を救った奴を貶めるのならいくらお前でも殴るぞ! ごちゃごちゃ悩んでる暇があるのなら、狩谷霊真らしく馬鹿正直に突っ走れ!」

 

 そう彼女に言われて、皆の方を見てみれば……皆が笑っていて、それにルミアとベルフェも呆れたような顔でこっちを見てて。

 

「ご主人、もう分かるだろうけどここにいる皆を信じていいよ、誰一人として君がいなくていいなって思ってないんだからさ」

 

 それを言われ、俺は力なく座った。

 ほんと、敵わないなってそう思って……こいつらと召喚獣達の皆がいればどこまでも戦えるって、信じれたから。

 

「なら改めてよろしく、みんな」

 

 あのとき、目覚めたときに久しぶりに笑えて信じれたと思ってた。

 でも、この瞬間だからこそ思える事がある。

 

「絶対、勝とうぜ」

 

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