異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~   作:鬼怒藍落

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第158話:母なる海と地震を司る男神?

 彼? 彼女の言葉を一瞬俺が理解できないでいると、舌なめずりを目の前のポセイドン(仮)がしたかと思えば……俺を抱えて跳躍した。

 そしてそのまま周りの海水を操ったかと思えば、瞬く間に水で壁を作って俺を閉じ込める。

 

「――あ゛?」

  

 外から発されたあまりにもドスが効いたルミアとベルフェの声。

 瞬時に魔力の高まりを感じ爆破する音と水が一気に蒸発する音が聞こえたが、無限に供給される海水に破壊が追いつかないようだ。

 俺も俺で抜け出すために抵抗したのだが、単純に膂力がやばくて抜け出せず――なんか色々終わる覚悟をしたのだが。

 

「安心しろ大丈夫だ、確かこういうときは天井のシミを見せればいいんだろう?」

「馬に蹴られて死ねよ、カス神」

 

 外からの魔力反応とは別、圧倒的な殺意が込められた斬撃が海水の壁を両断した。そしてその隙を見逃さず俺はラウラに救出され、皆が呆気にとられてるポセイドン(恐)に殺気を向けている。

  

「ふむ……乙女の邪魔する方がディーノス達に喰われた方がいいと思うぞ、しかも今の余の体では初めてはあるし、そこの所はどうなのだ?」

「お前は乙女じゃねぇ、大和撫子なら椿がいるし、他の嬢ちゃん達の殺気考えろ」

「ふむ、余の今の体は女であるぞ?」

「中身が下半神だろ、小碓(おうす)に聞いてんだぞこっちはよぉ」

「……とにかく、なんで女なんだ? あんた、原典由来じゃないだろ」

 

 大和さんに救われ、なんか綾音とラウラに守られならがらも、俺はなんとか平静を保ちつつ、ポセイドンに気になっている事を聞くことにした。

 これは俺が気になっているというより、魂の世界にいるポセイドンの被害者を名乗るアルゴルからの質問なんだが、流石に意味が分からないから。

 

 原典を持ってるとも違う、圧倒的な神威。

 原典を持ってるだけなら、語られる存在との性別の乖離はあるのは分かるのだが……この神はどう考えてもそれに準ずるものではなく、存在感が異常。

 例を挙げるなら【星の大海】で戦ったペルセウスのような……。

 

「余は原典ではなく本霊そのものだからな、ギリシャ神話に語られる神であるぞ」

「……なら尚更なんでだよ」

「英雄よ、余も最初は男のまま顕界しようと思っていたぞ? だが、依頼主曰くこの世界では様々なギリシャの神が女体化されているのだろう? 故にそれに則った!」

 

 ばーんと演出のように、背後の海水を噴き出させるやばいことを言うポセイドン。

 あまりの思考に関わっちゃいけない感が溢れ出ていて、俺は無意識に後退る。

 

「馬鹿かよ」

「む、馬鹿なのは人類の方だろう? しかし、人間の癖と業を受け入れるのもまた神だ、そもそも母なる海という言葉があるだろう? なら余が女でもセーフ――それにまだ女の快楽は知らなかったので丁度良かったからな」

 

 神話の記述では知っていたし、脳みそが下半身に付いているといっても過言ではないというのがアルゴル談だったけど、確かにこの神はやばい。

 なにがやばいかと聞かれれば答えたくないのだが、とりあえず終わってるし、なんなら女性陣が凄く変な顔してる。

 

「えっと、そういえば師匠? はなぜオケアノスに」

「元々俺が調査に行くって話し合ったし、不思議じゃないだろ」

「それはそうでござるが、外じゃ師匠行方不明扱いでござるよ? それに……なんか若いでござるし」

 

 ずっとツッコもうと思っていたことを代弁してくれる椿さん。

 改めて俺等の先頭に立ち守ってくれる大和さんを見てみれば、そこには十八歳ほどのイケメンの姿が……薄緑の神に切れ長な目、整った顔立ちをしていて面影はあるがまるで別人の彼。いつもは感じない原典の気配に、それ由来だとは分かるが……。

 

「それも全部この頭下半神が悪い、このダンジョンの最奥行ったらなんかいるし、勝負しかけてくるわ入り口ねぇしで、ずっとやりっぱなしだ使う気のねぇ原典解放まで使わされるしで……何度殺そうと思ったか」

「照れるな、ここまで戦ってくれた例に貞操を許してもいいとは思ったが、生憎余の興味は廃棄世界の英雄のみだ……すまんな英傑」

「なんで俺がフラれてるみたいになるんだよ、やっぱ殺した方がいいだろこの阿呆」

 

 珍しくというか初めて見るくらいに悪態をつく大和さん。

 出会って数分だけど、納得も共感も理解も出来るからなんの異も唱えない。とりあえずどうすればいいのだろうこの神とか思いながらも、気になったことを口に出す。

 

「ん、このダンジョンに元々いた?」

「あぁそうだぞ、元よりここは我が担当するダンジョンだった。だがサボってたら、やべぇ蛇に乗っ取られたのだ」

「…………えぇ」

「流石の余でもあの蛇は無理だ。ぼこぼこにやられたし、彼奴の近くでは海の権能奪われるしで、勝ち目がなかったな!」

 

 ふははと笑う駄神。

 ……なんかもう色々残念だが、どこまでも語られたとおりのその存在。なんかここまで来ると清々しいし、何より考えない方が頭痛が少ないので受け入れた方が早い気がする。

 

「まああれだ、余の目的は廃棄世界の英雄を見ることだったからな、もうそこの英傑と戦う意味はない……というわけで、オケアノス観光ツアーと行こうか」

「…………やっと、終わるのか。来てくれてありがとな、坊」

「そのお疲れ様?」

「でででん、でんでんでん……ぽせいどんが仲間になったぞ」

 

 そんな効果音を口ずさむ神を見て……大丈夫かなぁと心底心配になった。




コミカライズ発売したので投稿再開とりあえず四幕終わりまで二本投稿です
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