異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~   作:鬼怒藍落

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第165話:終末蛇は恋を知り

「なぁレヴィさん……聞かせてくれ。なんで、あの時に俺に声をかけくれたんだ?」

 

 投げかけたのはそんな問い。

 それは、このオケアノスに来たときからずっと聞こうと思っていたことであり――ある意味今回で一番の目的だ。

 

「……えっと、答えなきゃ駄目ですか?」

「無理強いはしないけど、答えてくれると助かる?」

「なんで疑問形なんですか……あはは、まぁいいですよ」

 

 ベンチに腰掛ける彼女の顔を見る。

 少し恥ずかしそうに、何よりちょっと迷っているのか頬をかいて……その後で決心したかのように、言葉を続ける。

 

「霊真さんの事を知って、見て、少しでも笑って欲しいなぁって思ったからです」

  

 えへへと……少しはにかむようにして伝えられたのは、そんな事だった。

 自分で言ってから恥ずかしくなったのか、顔を伏せる彼女。

 

「本当はですね、私は顕現なんか出来ませんでした。知ったのも偶然で、終末機構の中にあった貴方の事を読んだんです」

 

 懐かしむようにして……彼女は足をぶらぶらさせながら嬉しそうに笑う。

 

「ずっと、ずっと……誰かの為に頑張った男の子。その姿が眩しくて、格好良くて、面白くて、仲間の皆と一緒に色んな子達を救って助けて、宙を終わらせた英雄」

 

 大切な自分が見た物語を思い返しながらも語る彼女。

 表情を何度もコロコロ変えながら、俺の今までの冒険を慈しむようにして大事に紡ぐレヴィさん。

 

「結末は裏切りで、悲劇とも言えるそんな貴方のミソロジアでの物語……そんな結末を迎えた貴方に、私は少しでも笑って欲しくて、自分を認めて欲しかったんです」

 

 変ですよねと、彼女は言った。

 傍観者でしかなかった自分が、読み手でしかなかった自分が、そんな事を言う資格はないと言って――でも、それでもと。

 

「頑張った貴方が報われて欲しかったから止まれなかったので来ちゃいました」

 

 ゆっくりと立ち上がり、彼女は俺に目線を合わせてまた笑う。

 どやぁと誇った顔で、何よりちょっと格好付けるように腰に手を当てて。

 俺は、そんな彼女の言葉を聞いて本当に真面目で優しいんだなと……そう思って。

 

「実はですね、凄く悩んだんですよ? 最初から魔王ムーブでやろうか、それとも蛇の姿で宣戦布告しようか……とかとか。だけど、夜の海で俯く貴方がいたから、ちょっとずるをして、聞き出してみたり?」

「あーそこに関してはめっちゃ文句言いたいぞ」

 

 思えばあのときから嫉妬の魔力の影響を受けたんだろうし、色々皆に言えたけど恥ずかしいのは変わりないので、ちょっと複雑だ。

 

「仮にも私は魔王ですし? でもでもそんな事は置いといて、その後は知っての通りいつか正体を自分から明かして私を倒してみてくださいと! それで自信を復活させようかなの適当作戦的な」

 

 短いけどその中で知った彼女らしいそんな答えの数々。

 シエルと少し似てる感じの脳筋作戦だけど、そこには彼女の優しさが詰まっていて……俺を助けようとしていた事が分かった。

 今にも消え入りそうな儚げな表情。この世界に目を向ければ少しずつ消えて行ってるのが分かるので、もう時間がないのだろう。

 

「まぁ、ぶっちゃけ一目惚れですよね」

「――――まッ!?」

「あはは、やっぱり鈍いですよねぇ霊真さん。という事ではい、私は貴方の事が好きです。最初は憧れで、読む度に知りたくなって、そんな貴方に逢いたくて、世界を超えちゃった系女の子なんですよね」

 

 ちょっと感情が整理できない、重くないか? というか、急すぎてびっくりというか、それにどう返せばいいのかが分からない。

 

「もう言っちゃったんで、何度でも言いますけど、好きです大好きです――そして、どうせなら、もっと一緒にいて遊んで過ごして、貴方と居たいです」

 

 抑えきれない感情を伝える彼女。

 誇らしげに何より直球で伝えてくる嫉妬の魔王様。助け船が欲しくてシエルを見れば、ジト目でこっちを睨んでいるし助けてくれそうにはない。

 

「私が憧れたのは、普通の女の子。力なんてなくて、好きな人と過ごすようなそんな普通に憧れて――ずっと恋がしたかった。けど、それはもう叶ったから」

 

 世界が急激に変わってく。

 レヴィさんの姿が薄くなり、それこそ自分の維持が出来ないのかあのときのペルセウスのように消えていくのだが――。

 

「さよならです――私の大好きな英雄。もしも次出会えるのなら、また貴方に恋をさせてくださいね!」

 

 締めくくるようにして、笑顔で消えようとするレヴィさん。

 ここで別れれば、きっともう会えないというのは分かってる。

 だって、彼女はいるだけで世界を滅ぼし押し流すのだから、これがきっと最善の結末で、彼女のやりたかったこと――だけどさ。

 

「そんな結末は認めねぇよ」

「――え?」

「俺を知ってるんだろ、なら俺の頑固さも知ってる筈だ」

 

 目に映る範囲の者達が、笑顔でいてほしかった。

 俺の目に映る範囲の人には楽しい時を過ごしてほしい、少しでも笑っていてほしい。傷付いてほしくない、泣いてほしくない……というそんな願いを俺はずっと持っていて――それが始まりだったから。

 

「今泣きそうなあんたを送るなんて俺には出来ない、だからさそんな結末は覆す」

 

 消えかけているこの世界。

 それがレヴィさんの魔力で出来ているのならば……あのとき、ベヒーモスにやられたことをやればいい。

 

「――知ってるか、レヴィさん。俺さ、我が儘なんだよ。全部拾いたくて、諦められそうにないんだ。何かを捨てなければ強くなれないなんて進めないなんて、したくない。全部拾って、笑える未来が好きだから」

 

 魔力を解放する。

 今の俺の全魔力で、パスを繋いでレヴィさんと契約するための魔法を編む。

 

「バカですか? アホなんですか? そんなの、世界が許すわけ――」

「うるさい、俺がいやだって言ってんだよ。それだったら世界だって倒してやる。というか後はそっちの意志だけなんだ。どうする? 俺と来るか?」

 

 初めてやる自分からの無理矢理の契約。

 異常に魔力を持っていかれるし、何より魂が悲鳴をあげるが……そんな事は最早どうでもいい。あとは彼女の言葉を待つだけだから。

 

「……私、すっごく重いですよ?」

「知らん、というか俺の仲間もめっちゃ重いらしいから変わらん」

「嫉妬深いですし、面倒くさいですし、構ってくれなきゃ泣きますよ?」

「全然いい、そんなの今更だし。嫌だったらこんなこと言わねぇよ! ――ッ」

 

 一気に負荷がかかる、彼女と契約しようとするとナニカから干渉されるようにして、魔法の発動が邪魔される。

 

「ますたーここはシエルちゃんに任せて? 手伝うから」

 

 頼もしい終末魔獣。

 そういえば彼女は無理矢理に俺と契約した側だからその時のモノを使ってか、一気に楽になる。シエルの魔力が俺に流れ、今の魔法を補強して。

 

「ねぇレヴィ、一緒に居よ? ますたーの中楽しいよ、賑やかで」

「そういうことだ、どうするんだよレヴィさん?」

 

 そこまでいって、彼女は笑った。

 ……本当に心の底から涙を流し、凄く嬉しそうに何より吹っ切れたように笑顔を浮かべて、俺の出した手を取った。

 

「あぁ――もう。凄くずるいです、そんなこと言われたら断れないじゃないですか! さいてーな英雄様ですね、ほんっと」

 

 そうして手を繋ぐ彼女と契約が結ばれる瞬間。

 ……なんか顔を寄せてきたと思ったら。

 

「……責任とってくださいね?」

 

 あれ、逃げられなくねと。

 

「ふふ、えへへ。じゃあ、よろしくです。私の大好きな、霊真さん!」

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