異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~   作:鬼怒藍落

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第21話:洞窟型ダンジョンでの検証

 認識阻害でお馴染みの黒いローブを羽織り、俺が今度こそやってきたのは黒塚のダンジョン。初心者用のダンジョンらしく、分類として洞窟型とされるそれに入り、見つからないように最速で駆ける。

 

 あれほどネットで話題になったわけだし、知られてる可能性もあるからの判断。

 ……未だにその人気の規模が把握できてないのは、多分元の世界の価値観が残ってるからだろう。

 

「ここまでくれば大丈夫だろ……多分最深部だし」

 

「レイマ、ここで何するの?」

 

「ある程度の強さの把握だ……だから見守ってくれると助かる」

 

「わかった……無理しないでね」

 

「分かってるよ。まぁやばかったら助けてくれ」

 

 霊真のノートで知ったダンジョンのこと。

 洞窟型とされるダンジョンは、俺が最初に潜ったとされるダンジョンとは違って至るところから魔物が湧く特性を持っている。

 

 深さによって出てくる魔物が変わるという、RPGゲームみたいな仕組みになってるらしい。他にもダンジョンには階層型というローグライクゲームみたいな仕組みのものがあるようだ。

 

「えっと他の洞窟型の特徴は……魔石を落とすんだっけ?」

 

 異世界でも魔物が落としていた魔石。

 それは洞窟型と階層型でしか手に入らないらしく、基本的な冒険者達はこの二つに潜っているらしい。

 

 理由は主な稼ぎがそれだからという事らしい、魔力が溜まってる魔石には様々な使い道があるらしくこの世界の技術を支えてるからだそうだ。

 

「っと湧いてきたな【ウェポンサモン】」

 

 今回俺が呼ぶのは直剣。

 この世界がどうなのかは分からないが、サモナーに適性を持つ者は自らの魂に契約した召喚獣を住まわせる事が出来る。そしてそれの応用で武具やアイテムをしまうことが出来るのだ。

 

 欠点としてはしまうときと出すときに結構な魔力を使うのと、召喚する物に宿る魔力が多いほどに消費魔力が多くなる事だろう。

 

「じゃあ、やるか」

 

 相対するのは全身が銀色の毛に覆われたゴリラのような魔物。

 異世界だったらシルバーバックと呼ばれていたそれが湧いたので、俺はそれと戦うことにした。

 

 ……そして戦いながら思い出すのは、霊真の攻略ノート。

 それには当然此奴のことも書かれていて、霊真なりの攻略法がとても詳しく書かれていたのを覚えてる。

 

「特徴は長い両腕。己の武器であり異常発達したそれは破壊する事に特化しているが……」

 

 口に出しながらも俺は相手を観察する。

 知識を裏付けるために、何より霊真が残した努力を確かめるために。

 そして俺がその魔物に近づけば……。

 

「その体躯からは大振りの攻撃しか放てず、懐に潜られた際に弱い」

 

 あいつの経験と知識に合わせて俺の異世界での経験。

 それが合わさってか、魔法による支援をせずにおれは魔物の懐に潜り込めた。

 異世界で戦い続けた俺は、技術を極めるよりもあげ続けた魔力量と覚えた魔法による補佐によるゴリ押しが主な戦法だった。

 

 だけど、この世界は未知に溢れているから、それがどこまで通じるか分からない。

 だからこそ、この世界のことを、魔物のことを、ダンジョンのことに関して努力し続けた霊真の知識を借りるしか無い。

 

「そして弱点は魔石のある左胸部――」

 

 最後にそう言葉を出して、俺はそこを直剣で貫いた。

 すると簡単にシルバーバックは絶命し、その体を無に還す。そして魔石を落としたのを確認した俺は、警戒しながらも周りを見渡す。

 

「っと、湧いてきたな」

 

 一気に湧いてくるのはヘルハウンドと呼ばれる黒犬と、それの主とされるシャドウヒューマンという人型の影。

 両者の特徴はヘルハウンドの方が火炎の魔法を使い、シャドウヒューマンは人間と酷似した容姿とは掛け離れた鋭い爪だ。

 

 

 それから約一時間ほど、俺はダンジョン内で戦い続けそろそろ帰る事を決めた。

 理由としては疲れたからとかでは無く、このダンジョンで湧く上位の魔物を全部倒したからだ……あとは普通にそろそろ親が帰ってくるから、帰らないと不味いし。

 

「……一匹しか出なかったが、ミノタウロスってレアなんだな」

 

 俺が今いる黒塚のダンジョンに湧く上位の魔物は六種類。

 シルバーバック、ヘルハウンド、シャドウヒューマン。

 そしてレッドパンサー、キラー・リンベラ……で、一匹しか遭遇しなかったミノタウロス。

 

「レイマ何か来るよ。足音三人分と、大きいのが一つ」

 

 今まで見守ってくれていたリコリスが姿を現してそう言った。

 

「……了解」

 

 そして、その足音の主達がこの最深部にやってきた。

 いるのは三人の冒険者。男が一人で女は二人のそのパーティーは最深部にいた俺に慌てて声をかけている。

 

「ソロ!?」

 

「逃げてください!」

 

 それから数秒足らずで、冒険者達の後ろから現れるのは……ミノタウロス。

 俺がさっき倒した茶色い毛とは違う、青い毛をしたそいつは……明らかにさっきの奴より強い。

 

 この状況、俺ならすぐに逃げれるだろう。それに人に見られた以上話題にならないように戦うのは悪手……でも。

 

「……見捨てるのは、な。おいこっち来いお前等!」

 

 見た限り、配信するためのデバイスは浮いてない。

 なら……拡散される心配は無いだろう。

 

 時間は無い。でも、リーダーだろう男の冒険者は、ちゃんと判断してくれるようで……すぐに俺の元まで走ってくる。

 

「偉いな――じゃあ任せろ【ウェポンサモン】」

 

 流石にただの直剣じゃ分が悪いし、結構消耗してる。

 だから俺が呼ぶのは別の武器。

 

「来い、リコリス・デスサイズ」

 

 彼岸花の装飾が成された……巨大な鎌。

 毒が付与されている上に魂を蝕む効果を持ったその鎌……リコリスが異世界で俺に贈ってくれたそれは、一撃必殺に特化している。

 

 棍棒を持ったミノタウロス。

 ……そいつは、明確な脅威と分かる鎌を持つ俺を見て敵と認識したようだ。

 ミノタウロス……それは、人間を逸脱した身体能力を持ち、特に筋力が高い牛面の魔物。特徴は力任せの攻撃でシルバーバックと被ってる部分があるが、人間に近い体故に小回りがきき、技術を持ってる個体もいる。

 

 今回持ってるのは棍棒……あいつの怪力で放たれるそれがどれほどの威力になるかは分からないが、受けるのは不味いと理解する。

 

 地面を蹴って俺へと接近し、棍棒による大振りの攻撃が放たれた。

 ……それを避け、俺はそのまま棍棒を蹴り上げてカウンターを見舞い、そして一瞬視界が外れた時に相手の死角に回り――。

 

「――終わりだ」

 

 確実に倒すために頭からミノタウロスを両断し、その命を奪った。

 ……訪れる静寂、とりあえず冒険者の方に視線を向ければなんかすっごく目を輝かせた男がこっちを見ていた。

 え、なんだ? と思いつつも、俺は声をかけようとしたんだが……それより前にその男が一言漏らした。

 

「――格好いい! あ、あの僕は燐って言います! えっとサインください!」

 

「まずはお礼でしょ燐。すいません、助けてくれたのにこの馬鹿が……」

 

「いや、いいんだが……怪我とかないか?」

 

「ないです! あの、使った魔法的にサモナーの方ですよね? どうしたらそこまで強くなれるんですか!?」

 

 興奮しっぱなしの燐。

 少し俺が押され気味になっていると、それまで黙っていたもう一人の少女が口を開いた。

 

「貴方……その姿、黒ローブ?」

 

「あ、まず――【サモン】!」

 

 知られてたのかよ、と判断した瞬間に俺はすぐにルナを呼び……念話で指示を出して、そのまま最深部から逃げ出した。

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