異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~   作:鬼怒藍落

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第28話:VS陸の魔獣

 魔法陣から現れるのはあまりにも巨大な生き物。

 いや……まさしく魔獣とも呼べるような、厄災が形になった怪物だった。

 俺達から離れた場所に現れたものの、目測だけでも25メートルは超えてるそいつ……その存在が咆哮する。

 

「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」

 

 鼓膜が破けそうになる勢いで放たれたそれは、音の壁となって俺達の体を揺らす。

 吹き飛ばされなかったものの、この咆哮だけでいかにこの存在が常識から外れてるかを理解できる。

 

 そんな中、俺は異世界での事を――あの世界で思い知ったある絶対的な事実を思い出していた……それは、

 

「来るぞ、お前等! 防ぐから離れるな!」

 

 ――デカいというのがどれほどまでにも強いということだ。

 腕が迫る……ただ振るわれるだけのそれは、周囲の全てを破壊しながらも俺達を壊そうと向かってくる。

 

「ッ【アイギス】!」

 

 使うのは俺が覚えている中でも最上級の防御呪文。

 その魔法で受ける事は出来たものの、あまりの破壊力に魔法が破壊された。

 ……これ、破壊力なら異世界の魔王種級だな。自嘲気味にそんなことを思いながらも、こいつが地上に出るのだけは不味いと判断した。

 

 迫る二撃目、ただ腕を振るだけの攻撃だが――その脅威度を理解したこの場の者達は、すぐに行動に移った。

 

「式殿!」

 

「――任せろ! 【強度上昇】【攻撃力上昇】【耐久値上昇】!」

 

「合わせるぞカグラぁ! ヴァルキュリア、必殺だ!」 

 

「……補強は、任せて」

 

 綾音が氷で壁を作り――式が全力のバフをカグラさんとカイザーへ、そしてそれによって放たれるのは両者の必殺であろう技。

 魔力渦巻き……この場に可視化できるほどに力が具現する。

 

「――神去流(かむさりりゅう)奥義――無明(むみょう)常世断(とこよだ)ち」

 

「――我等が最奥を喰らえ! 【ヴァルキュリアカタストロフ】!」

 

 その二つの攻撃……大きく腕を傷つけてその豪腕をはじき返したのだが、逆に言えばそれだけしかダメージを与えることが出来なかった。

 

「ッ弾くだけでござるか! あれ拙者の奥義なんでござるが、へこむでござる……」

 

「弾いただけよしであろう! ……むしろ毎回これはキツすぎるぞ!?」

 

「そもそも魔力足りなそうでござるよなぁ」

 

 俺も俺でルナ達に指示を飛ばすも、相手の皮膚が厚すぎるのか二人の魔法が届かないようだ。こういう相手にはリコリスが最善の働きをしてくれるのだが……。

 

「……毒耐性持ち、それに私とは別種の毒持ちだと思う。気配的に」

 

 いつの間にか人形態に戻っていたリコリスがそう報告してきたので、状況が悪いことしか分からなかった。それを聞いた上での俺の判断は――。

 

「えっと、カイザーにカグラさん――っとそこの氷結少女組! お前等逃げろ、俺が時間を稼ぐから!」

 

 配信もされてるらしいし、此奴相手にするのには他の召喚獣も必要な可能性がある。このレベルの相手をするのは久しいし、何処まで出来るか分からない。

 ただ単純な暴力であろうこの怪物、倒すだけなら出来るかもしれないが……遠慮が出来なくなるだろう。それに綾音達を巻き込むことは出来ない。

 だからそう伝えたのに――皆は、大声でそれを否定した。

 

「――くはっ馬鹿か、黒ローブ?」

 

「……貴殿が強いのが分かるが、拙者達の事舐めすぎでござるよ」

 

「貴方みたいなタイプは無茶するの知ってるからね、それに――私達はちゃんと強いよ。これ地上出したら不味いでしょ?」

 

「任せるのが正解だろ……まぁ、お前等ならそういうと思ったけどさ――おい黒ローブ、さっきの口振り……お前はこいつを倒す術があるのか?」

 

 だけどこいつらは……恐怖を一切感じさせずに、そんな事を言い放った。

 まるで、俺一人に任せないように……何より、この脅威にわくわくしてるのか好戦的な笑みを浮かべて。

 

「一応ある……な。だけど隙がでかいし、何より効かなかったときが不味い」

 

「っしあるんだな、お前等それなら作戦は時間稼ぎだ!」

 

「了解でござるな――一応斬れるなら戦えるでござるよ!」

 

「私相性悪いからサポートだね、あの銀の狼の手伝いがいいかも」

 

「我は空中からの牽制だな――動きを見るにまだ我等を敵だと認識してないらしいぞ、ムカつくな」

 

「……えっと、こんな訳分からない黒いローブの言葉信じるのか?」

 

 自然とそんな疑問が口から出た。

 ……こんな相手に一人で挑もうとする俺に懐疑の視線を向けるのではなく、ただ言葉だけで信じようとする彼等の考えが分からなかったから。

 

「そりゃあ信じるだろ、お前敵じゃなさそうだし……それに、逃げようとしなかったのが大きいな」

 

「黒ローブ殿はさっきみたいに率先の自己犠牲を選ぶような大馬鹿様でござるよ……悪い奴ではないでござろう?」

 

「同じサモナーとして、あれほど召喚獣に信頼を置かれてる貴様を信じないわけにはいかないであろう? それに、センスが我好みだ」

 

「…………馬鹿なんだな、お前等って」

 

 ぽつりと……そう呟いて、俺は覚悟を決めた。

 生き残ろう……絶対にこいつを打倒する。

 

「【ウェポンサモン】――レーヴァテイン」

 

 そして俺は、愛用する杖を呼び出して……地上に進行するベヒーモスを見ながらも、作戦を説明した。

 

「勝負は一撃、この武器で打てる最高峰の神滅魔法で決める――魔力を練る時間と合わせて詠唱に五分、それだけ稼いでくれ――あと動きを止めてくれると助かる」

 

「無茶振りだな……でもまぁ、倒すにはそれしかねぇか……」

 

「足を刎ねて動き止める感じでよいでござるか?」

 

「私は氷の壁で進行妨害するね……えっと機動力欲しいから、あの銀の狼に乗ってもいい?」

 

「……まぁいいぞ、頼んだわルナ」

 

 ……すっごく不服そうだったが、そういう場面ではないと分かってるからか素直に頷くルナだった。

 

「……というか、さらっといるこの美少女様は?」

 

「あーさっきのヒュドラだ。ただの人形態だろ?」

 

「……なんか此奴と話してると常識どうにかなりそうだから、これ以上は聞かないでおくわ」

 

「えっと……?」

 

 それはどういう意味だろうかと思いながらも、俺は……いや俺達はそのまま作戦を開始した。

 

「絶対勝つぞ!」

 

 そして式がそう叫び、命がけの戦闘が始まった。

 

「【刀刃修羅宿し】――これ使うのは久しぶりでござるなぁ」

 

「【全身龍化】それはそうだろう、こんな冒険はそうそうない」

 

 カグラさんの体には紅い紋様が刻まれ、続けるカイザーはその体を龍へと変えた。

 

「二人とも全力だね……えっとルナちゃんよろしく?」

 

「…………ふんっ」

 

 ……大丈夫かなぁ、ルナと綾音。

 そう思いながらも、俺は俺の準備のために魔力を練り……ベヒーモスを倒す準備を進める。

 

 ベヒーモスに向かう綾音達。

 そんな彼等は己の全力でベヒーモスと相対し、その進行を妨害する。最初は進むだけの怪物だったが……攻撃に苛立ったのか、足を止めて何やら魔力を集め始めた。

 

「ッ来るぞ――!」

 

 口元に溜められる魔力の塊、それはカイザーへと向けられていて……咄嗟に防御魔法を使おうと思ったんだが――。

 

「いらぬ、集中しろ黒ローブ!」

 

 その言葉で――俺は魔法の発動を止めて、カイザーの事を見守った。

 ベヒーモスの口から放たれる魔力弾、追尾しながらカイザーにそれは迫ったのだが、空中にいるあいつはそれをヴァルキュリアに乗って回避し続けた。

 

「ッ――カグラァ!」

 

「任された決めるでござる」

 

 そしてその攻撃が終わって出来る隙。その隙を逃がさないように相手の足下に陣取ったカグラさんが……刀を構えて――。

 

「神去流奥義――一刀千風天津(いっとうせんぷうあまつ)!」

 

 その巨体を傷つけるためか圧倒的な魔力を纏った嵐のような乱撃を放った。 

 それは――相手の足を刎ね飛ばし、その巨体を地面に晒す。

 

「黒ローブ!」

 

「任された――存在解放」

 

 皆が戦ってくれた時間、その間に溜めた極大の魔力。

 それを一気に俺は解放するために、言葉を紡ぐ。

 

「灼熱の空、堕ちる世界、全てを灰へと戻そうか。これはそう、世界を断ち斬るスルトの剣」

 

 そして詠唱を終えた瞬間、世界に終末の炎が溢れ出す。

 この一撃は……俺がいた異世界で暴れに暴れたスルトの巨剣の再現、一つの王国すら一撃で滅ぼせるその攻撃が今――目の前の存在にへと放たれる。

 

「――ムスプルヘイム・レーヴァテイン!」

 

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