異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~   作:鬼怒藍落

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第35話:その時、君は何を選ぶ?

「――どうする親友、奴さん俺等を探してるぞ」

 

 ……あの魔法が放たれた瞬間、耐性を持っていた俺と離れていた式を除く前衛に近かった三人が石化した。式のバフのおかげで、あの場所から離れられて、今は俺達はアトラースの山の中に隠れられてるが……あいつ相手だと見つかるのは時間の問題だ。

 

「あいつって何だと思う?」

 

「まあ十中八九……ペルセウスだろうな」

 

「……英雄だったっけ?」

 

「そうだな、蛇神殺しの神から最も多くの祝福を得た――チート級の怪物」

 

 ペルセウス……それは今言ったとおりに、メドゥーサを殺したギリシャ神話の中でも最上位に位置する英雄だ。なんであんな異形の姿なのか分からないが、あれは神話のペルセウスそのもの。

 

 俺が異世界で使った隠れ兜の原典を持ち、不死殺しのハルペーとヘルメスから授かったタラリア――そして女神アテナから贈られた反射の盾を持つ反則級の英雄。

 

「……で、どうする? 奴さんは俺等を倒したら地上向かうらしいぜ?」

 

「勝つしかないだろ……皆を助けないといけないし」

 

「お前らしいな……なぁお前は――狩谷霊真なんだよな」

 

「そう、だけど――急になんだ?」

 

「……俺はさ霊真、お前が記憶喪失なのおばさん達から聞いたんだよ……で、それを教えられると思ってた。でも学校でのお前はまるで俺を知ってるかのように接しただろ?」

 

 どくんと……心臓が跳ねた。

 ……式は、なにを言った? ――記憶喪失なのを聞いていた? ……それじゃあ、俺が記憶あるのを演じたのは不味い。

 

「だからその日からお前の事を観察することにした。何者かが霊真を乗っ取ったんじゃないかって、だから接するときは一個の違和感も逃さないようにな」

 

「……式、俺は」

 

「でもさ――お前は霊真だったんだよ。俺が……俺と綾音が憧れた皆を救おうとする英雄……行動も性格も考えも全部霊真と同じで……偽物だなんて思えなかった」

 

 そこで……親友は言葉を切った。

 今までの事を思い返してなのだろうか? 少し微笑み、悲しそうにこう続けた。

 

「なぁお前は誰なんだ? ……俺が知ってるあいつじゃないのに、どこまでもあいつで俺等の事を助けてくれるお前は――俺を親友と呼ばないお前は、何者なんだ?」

 

 それに対する答えなど言えない。

 ……ここで霊真じゃないと言ってしまえば……どう思われるか分からないから。やっと会えた親友に、異世界でもう二度と会えないと思った奴の一人に……そんな事を言うのは。

 

「お前もさ霊真なんだろ? 俺の知らない俺を知ってる狩谷霊真」

 

「――何を言って」

 

「ほら一応聞くが、黒ローブはお前だろ? 隠してるつもりだったけど、語彙とセンスがあまりにも霊真過ぎたし」

 

 ……それでバレるのか? と思ってしまったが、茶化すように続ける式を見て……言葉を聞こうと思った。

 

「お前がなんで、こっちの霊真の中にいるかは知らない――隠すならそれでいいし……きっと事情があるはずだから――でもさ」

 

 そこで式は、親友は言葉を切った。

 …………そして、覚悟を決めてかのように口を開く。

 

「お前が、狩谷霊真だっていうのならさ――全力で戦ってくれないか? 本当は別のお前に任せるのは違うっていうのも分かるけどよ――頼む、俺の仲間を助けてくれ」

 

 ……それが、式の願いだった。

 俺を責めるわけでもなく……ただ俺をちゃんと霊真として見てくれた。

 そしてそれは、自分の仲間の為に頭を下げるような、元の世界で俺がどこまでも格好いいと思えた親友のままで――。

 

「悪いな……お前が何を経験したか分からないし、同じ霊真にまた何かを背負わせたくないけどよ――あいつらは大事な仲間なんだ。だから――頼む」

 

 ……そう頼まれた俺には選択肢が与えられる。

 サモナーとしてあいつと戦うか、式が言ってくれたように力を隠すか――そんな、あまりにも重い二つの選択肢が――。

 

 配信が続いてるかは分からないし見られるかもしれない……それに、誰かの前で素顔を晒して戦うのは怖い。

 ……だって、また恐れられて、裏切られるかもしれないから――でも、俺の魂が、本能が――この選択肢しか選べない。

 

「――なぁ親友……俺からも頼みがある、怖がらないでくれよ? お前にそう思われたらヘコむわ」

 

 そして俺はこの世界で初めて式を親友と呼び……そう言って笑った。

 

 

 

 

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