異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~   作:鬼怒藍落

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第37話:決着ペルセウス

 その光景は、まさしく神話の再現だった。

 黒ローブ……いや別の世界での霊真の本気の一端だろうそれは、あまりにも理解の範疇を超えていて――それに至った彼の旅路を想像させる。 

 

 挑む瞬間に聞こえたミソロジアの英雄という単語……それが何を意味するかは分からないが、きっとあの霊真もナニカを救ったのだろう。 

 

「……ははっかっけぇな」

 

 ただ思うことは……格好いいというそんな感情。

 召喚獣を操り……英雄だろう相手に挑み、全力で俺等のために戦う彼の姿は昔皆で憧れた英雄そのもので――。

 

「……えっと、これはどういう状況なのだ?」

 

 その瞬間のことだった。

 ペルセウスの奴の石化の効果が切れたのか、カイザーの奴が最初に目を覚ました。そしてそいつは、霊真の戦闘を目にして――心底驚き、俺にそう聞いてきたのだ。

 

「……黒ローブというか、霊真がサモナーとして戦ってる感じだ。相手はまあさっき戦ってたペルセウスだな」

 

「……何も分からないぞ?」

 

「俺も正確には知らんからあとで聞こうぜ? ……綾音起きてるか?」

 

「うん、まだ体硬いけど……霊真は?」

 

「あそこ――まあ説明してくれるだろうから、以下同文で」

 

 俺は今はただ――あいつの戦いを見届けたい。

 ……別の世界での親友の本気を――あいつがずっと恐れていた力を解放したこの姿をただ一人の人間として、あいつの友達としてちゃんと見るんだ。

 

「――決まるでござるな」

 

 鎌を構えた霊真から魔力が溢れ出す――そして、放たれたその一撃は、相手の体へと斜めに傷を刻み込んだ。

 

――――――

――――

――

 

「――見事だ、英雄」

 

「そっちこそな、すげぇよペルセウス」

 

 会話はそれだけ……この人は英雄だった。

 俺という化け物と対峙してここまで生き残ったまさしく神話の英雄だった。そんな彼に致命傷を与えた俺は、静かに武器を魂の中にしまって――皆の気配が近づいてくるのを待った。

 

「お疲れだ――霊真」

 

「我が友、力を隠してたのなら言ってくれ驚いたではないか!」

 

「そう単純な話だとは思わぬでござるが……ありがとうでござるよ霊真殿」

 

「その……お疲れ霊真?」

 

 皆が俺に駆け寄ってそんな風に言葉をかけてくれる。

 ……でも、その反応は俺が思ってたものとは違うもので――なんというか、凄い微妙な顔をさらしてしまった。

 

「おい、どうした親友チベットスナギツネでも踏んだか?」

 

「いや、こんな場所でどう踏むんだよ……なぁお前等、怖くねぇのか?」

 

「む、何故怖がる必要があるのだ? どうして我が友が力を隠してたかは知らぬが、その力のおかげで我等は石化から逃れ、攻略できたのだぞ? そこに感謝こそあれど恐れなどないわ!」

 

 何を当たり前の事を……と、心の底からそう思っているのかカイザーはそう言った。本当に俺の力を気にしてないようで、何より俺自身を認めるようにいつも通りの此奴で。

 

「その通りだぜ霊真、お前のおかげで俺等は生き残ったんだ――本当にありがとな」

 

「聞きたいことはいっぱいあるけど……助けてくれてありがとね」

 

「というか、そんな力あるなら手合わせを願いたいのでござるが……今度予定空いておらぬでござるか?」

 

「空気読めよ戦闘バカグラ」

 

「それは禁句だと約束したでござろう!?」

 

「語呂良いよねーそれー」

 

 流れる空気はいつものもので、なんというか安心感すら覚えてくる。

 そんな光景を見て、俺は守れて良かったなと……戦って良かったなと思えたのだ。皆が固まってる中、一歩引いていたそんな俺に……ルナ達が近づいてくれて。

 

「よかったね、ますた」

 

「何々レイマ~泣きそうなの~? くふっ泣いてもいいんだよ~?」

 

「お疲れレイマ、ゆっくりあとで休もう」

 

 そして俺の異世界で仲間になってくれた皆が、そうやって労ってくれて……妙な感傷に襲われた。怖がられなかったと、俺は少しでも認められたんだとそんな思いに。

 で、そして皆の元に向かおうとしたときのことだった――なんか、凄い慌ただしい通知音がこのダンジョンに響いたのだ。

 

『同接が百万人を超えました!!! 偉業ですよ綾音様!』

 

 可愛らしい声で、雪ん子の様なデバイスが俺等の周りを飛び回り……そんな事を伝えてくる。

 

「あ、そういえば配信切れてない……」

 

「まじ?」

 

〔皆石なってたし見る暇ないよね〕

〔お疲れ様ー!〕

〔攻略だよね? 攻略だよな!〕

〔日本最高記録更新おめ!〕

〔えっと、霊真君強すぎるgg〕

〔相手何だったんだよ〕

 

 そして今まで見てなかったコメントが一気に溢れ出す。

 集まっている人数故か、死ぬほどバカみたいな速度で流れ続け……マジで終えないくらいにコメントが速い。

 

「どこから映ってる感じで?」

 

「多分……最初から?」

 

「まう……」

 

 石化逃れてたんだそのデバイスと思うと同時に、『まじか』と『おう』が混ざり合い、そんな言葉となって出てきた。

 

「えっとアイアム黒ローブあゆーおけー?」

 

 とりあえず、もうバレてるだろうし自己紹介をと思って、そう言ったのだが……なんか変な空気になった。

 

〔もう皆理解してるぞw〕

〔えせ英語過ぎる〕

〔中身が残念だなぁ〕

〔えっと、さっきの格好いいの返して?〕

〔召喚獣が同じの時点で分かるわ〕

〔俺等を助けてくれて、ありがとう!〕

 

 そして……コメント欄でも恐れられる気配はなく、ただ純粋な賞賛と俺への労いが贈られる。それがむず痒くて、何を言っていいか分からなくて、少し言葉に迷ってしまう。

 

「あー盛り上がってるところ悪いんだが、報酬渡したいから……来てくれるか?」

 

 そして、コメントが加速する中で英雄は……ペルセウスはそう言った。

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