異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~   作:鬼怒藍落

38 / 169
第38話:――英雄打倒の報酬は

「しゃーじゃあ報酬渡すぞー!」

 

 ペルセウスが、そう言って立ち上がると……一瞬だけ濃い魔力が放たれて、綾音のデバイスが強制的にオフにされた。

 まだこんな力が残っていたのかって思ったが、彼の満身創痍の姿を見ると……それが最後の行動だったのだろう。

 

「……軽くないでござるか? 拙者達、貴方のせいで死にかけたのでござるが……」

 

「生きてるからいいじゃねぇかよ、命のやりとりなんてそんなものだろ?」

 

「そうでござるが、なんかこう……もうちょっとないのでござるか?」

 

「ないな! 俺を倒した英傑にはフレンドリーにいこうっていうポリシーだしぃ?」

 

 何処までも軽く、だけど俺等を認めた彼はそう言って笑う。

 ……英雄らしく格を落とすこともなく、あのいつ死んでもおかしくない傷で俺等と言葉を交わしてくれる。

 

「じゃあとりあえず俺が与えられるのは情報だ……あとはちょっとしたハルペーを英雄に、そこの氷使いにはタラリアを――黒髪の別嬪さんには、隠れ兜渡したいんだが、これ似合いそうにねぇからまぁ渡す気はねぇな」

 

「我にはないのか!?」

 

「盾でもいるか? 龍騎士目指してるのなら、合うだろうぜ?」

 

「英雄の盾を貰えるなど感無量だ! というか本当にいいのか?」

 

「あぁ、これからくる試練に役立つだろうさ――じゃあ情報なんだが、これから先俺と同じように神話の英傑が神が罪人が……そして異世界からの化け物が、もっとこの世界にやってくるだろう――それが試練となってお前等この世界の人類を襲う」

 

 与えられたのはそんな無情な情報。

 ……彼が嘘をつく性格ではないと分かっているからこそ、その話は真実味を帯びていて……俺達の顔を曇らせた。

 

「……まぁ、でもなんだ。俺を倒したんだ……生半可の奴にやられんなよ? 俺だって格ってものがあるからよ……だからまずお前等にはお疲れ様を、ペルセウスである俺の祝福を贈ろう」

 

 俺等に向かって暖かい魔力が手向けられる。

 ……それの効果は分からないが、そこに籠められた暖かい何かはきっと悪いものではないのだろう。

 

「この加護は、きっとお前等を守ってくれる……バカ親父が来た場合だが、資格となってくれるだろう」

 

「……貴方の親父とは、まさか」

 

「まあ俺からするとただの浮気クソ野郎だが、強さは本物だしな――資格がなければ相対することすら出来ないだろうぜ? だからそのための贈り物だ、お前等に俺を一度だけ召喚する権利をやる――だけど一回だ。誰が使うかよく考えろよ?」

 

 破格すぎる報酬に誰もが言葉を失うも……この人から告げられた脅威に息をのむ。

 ……そして彼は、限界が来たのか一度血を吐いて……俺等に言った。

 

「さぁ英傑よ、我を降した英雄よ! ……汝等にペルセウスである俺からの言葉を贈ろう! この先、幾万の試練が襲おうとも我が保証する――人間は勝つぞってな!」

 

【ミソロジー・ダンジョン、【星の大海】が攻略されました! 攻略者を地上へと転移させます】

 

 そんな言葉が響き渡り、俺等に武具が贈られて……一人ずつダンジョンから消えていく。式からカイザーそしてカグラさんに綾音が消えて、最後に俺が残された。

 

「……あれ転移しない?」

 

「お前には言いたいことがあったからな、ちょっと時間貰うぜ?」

 

「別に良いけど……あんたは大丈夫なのか?」

 

「まっきついよな! お前遠慮なさ過ぎだぞ?」

 

「手加減したらキレるだろあんた」

 

「それはそう――まあ、なんだこれはお前の事を知ったときから言いたかったんだけどよ、よくミソロジアを救ったな――すげぇよ」

 

 そういえば、戦いに夢中で忘れていたが……この人はあの世界のことを知っているんだったな。

 

「全ての神話の悪と称された怪物や邪神が蔓延る……完全無欠の神話世界、それを救った大英雄……どんな馬鹿かと思ったが、まさかあの世界の者達を仲間にするって――まじでイカれてるぜ」

 

「む……知ってるとは言え、俺の仲間の悪口は止めろって」

 

「いや褒めんてるんだよ……特にそこのメドゥーサ! 性格違うのは分かってるけど、よく仲間になったよなお前基本的に人間嫌いだろ?」

 

「まぁな、レイマ以外の人間なんてただの餌だしオモチャだしな」

 

「変わってねぇな……というかそんなの配下にして従えるのお兄さん的にはちょっとびっくりだぜ? 英雄」

 

 ……まぁそれはそう。

 出会った時なんてこの世の全てを見下してるような奴だったしアルゴルって……でもまぁ、今はちゃんと助けてくれるし大切な仲間の一人だし。

 

「じゃあ、最後だ……お前はなんて名前なんだ? 俺を倒したお前の名前を聞かせてくれ」

 

「…………霊真だ。狩谷霊真だよ、ペルセウス」

 

「そうかならお疲れ様だ。英雄として一つの神話で語られた者として、霊真に言葉を贈ろうか」

 

「……なんだよそれ」

 

「いいから……はぁ――お前は英雄だよ、誰がなんと言おうと俺が認めてやる。だからもうちょっと人間ってものを信じていいぞ?」

 

 それが……彼の伝えたかったことなのだろう。

 ……そう言った後、彼の体は半透明になって消えはじめる。

 満足したかのように笑って、俺に言葉を残して……そして俺の頭を撫でて屈託もない笑顔で。

 

 金髪碧眼の彼は神話の英雄は……くしゃっと笑みを浮かべて、俺を認めたのだ。

 

「じゃあな霊真、次会うときは一緒に仲間として戦おうぜ!」

 

 そしてそれを最後に俺の番が来たのか転移魔法が起動して、俺は気づけばダンジョンの外に――。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。