異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~   作:鬼怒藍落

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第57話:後始末

 外に出た俺は、ソルを呼び出して俺の魔法を溶かして貰い被害の拡大を防ぎ――そのまま、新宿にある政府の建物へと大和さん達と転移して、談話室へと案内された。

 

「……まずお爺ちゃん、なんであのダンジョンにいたの?」

 

「いや、あれだぜ? あのダンジョンに武者修行に行くって伝えただろ?」

 

「……それは聞いたよ、だから初仕事に丁度良いと思って霊真君を派遣したから――でも、それならちゃんと伝えてほしかったんだけど?」

 

 肩程まで薄緑の髪を伸ばした彼女は、圧倒的な圧を纏いながらも……大和さんに対し問い詰める。一見すると一切悪びれる様子の無いように大和さんは見えるが、少し……というか、かなり冷や汗をかいているし彼女に対して弱いのかもしれない。

 

 ……俺に矛先が向いてないからそうやって他人事のように観察できるが、それが終わった後は多分――。

 

「それで、霊真君……」

 

 俺に来ますよね、矛先……うん、分かってた。

 

「ほんっとうにごめんね! ――まさかSランクのダンジョンにいきなり向かわせる事になるなんて」

 

「――え? 説教じゃないんですか?」

 

「まぁちょっと言いたいことはあるよ? Sランクのゴライアスを倒すためとはいえ、ダンジョンの外に被害出しちゃったらしいし――でも、お爺ちゃんの報告聞くに仕方なかったんでしょ? それほどの相手に手加減なんて出来ないだろうし」

 

 そう言って俺にお茶をくれながらも言ってくれる相手に対して湧いてくるのは罪悪感。違うんです、ちょっとテンション上がって魔力をダインに注ぎすぎただけなんです……とは言える雰囲気ではないので、ひたすらに申し訳なさが出てくる。

 

「とにかく、お疲れ様――お給料に関してはあとで口座に入ると思うし、何よりあの地方の皆を守ってくれてありがとね?」

 

「――それは、どうも」

 

「ふふ、この前ここで会ったときも思ったけど、霊真君は褒められるの慣れてないね――強いんだし、もっと誇ってもいいじゃないかな?」

 

「考えときます?」

 

「……はぁー本当に、他のSランクの子達がこうだったらいいのにな……いや、綾音ちゃんとか五郎君はまともだからいいけど、皆くせ強くて」

 

 そこで思い出すのは、俺が会ってきたSランクの面々。

 大和さんは戦闘狂だし、椿さんは……同じだし。ラウラは天然で突っ走るくせあるの知ってるし、あの江奈に関してはなんかもう、うん……説明不要。

 

「ごめんね、急に愚痴ちゃって――うぅーこの後の仕事面倒くさいよぉ」

 

 この人、前に会った時も想ったけどかなりの苦労人体質だよなぁ。

 まだ出会って二週間も経ってないが、俺が欲しいっていった資料もすぐに送ってくれるくらいには優しい人だし、労いの言葉ぐらいは贈った方が良いだろう。

 

「ほんとうにお疲れ様です紗綾さん、今度なにか奢りましょうか?」

 

「ありがとぉー……でも大丈夫だよ、私はAランクとはいえ霊真君より大人だもん――むしろ私が奢らせて? すっごく世話になってるんだから」

 

「……何かしましたっけ?」

 

「色々あるけど、一番は政府に送ってくれた魔物の資料かなぁ、あれのおかげで攻略情報が進んだのもあるし……あと一つは、これは個人的なのだからいいかな?」

 

 思い返すようにそう言った彼女は、改めてと言い俺に礼を伝えてから……大和さんの方にまた視線を送り……。

 

「お爺ちゃん、それ霊真君用に持ってきたおかしだから食べちゃ駄目だよ」

 

「……やけに霊真の坊に肩入れしているが、惚れたのか紗綾? 確かにそいつはあり得ないくらいに強いが、もうちょっとお互いを知ってからの方がいいぜ? それこそ手紙で何度かやり取りして、しっかりと――ぶべっ」

 

 そこまで大和さんが言ったところで、紗綾さんの魔力を纏った手刀が彼の頭に突き刺さった。現代最強から出たのはかなりの鈍い音と情けない悲鳴。それに加えて机がへこんだ。

 

「お爺ちゃんは黙ってて、ごめんね霊真君――この阿呆老人は後で説教しとくから」

 

「あの大和さん、生きてます?」

 

「このぐらいで死ぬようなお爺ちゃんじゃないし大丈夫だと思うよ」

 

「なら……いいですけど、動きませんよ?」

 

「え――あ、お爺ちゃんちょっと起きて!」

 

 とにかく紗綾さんは怒らせないようにしようと、そんな事を思いながらもとりあえず帰っていいとのことなので、建物を後にして自宅へ帰ることにした。

 

――――――

――――

――

 

「先に行った婆さんに蹴っ飛ばされたんだが?」

 

 談話室に残るのは、草薙大和と同じ姓の草薙紗綾。

 お茶を嗜みながらも、霊真が出て行って漸く復活した大和は額を擦りながら恨めしそうにそんな一言を呟く。

 

「自業自得だよ、茶化すのが悪い」

 

「いや、普段はそこまでキレんだろう……まじで惚れてんのか?」

 

「うーん……憧れが近いかな?」

 

「何があったんだ?」

 

 自身の孫の珍しいその様子に好奇心が抑えられないのか、そんな事を聞く大和……対して紗綾は暫く考えながらも、霊真にだけは言わないことを条件に話は始めた。

 

「ほら渋谷のカースダンジョンあったでしょ? 私もBランクの時に要請されて行ったんだけど、その時助けて貰ったんだ」

 

「そりゃあ、初耳だ――礼を言わないとな」

 

「だから伝えないで? 私はあの時に助けられた中の一人でしか無いから、それにね――覚えてないっぽいし、いまの支える関係が嬉しいのもあるしね」

 

「こりゃあ重傷だな、にしてもあの堅物のお前がなぁ……というか、本業の方に支障は出ねぇのか?」

 

 しみじみとそう呟きながらも、彼女の裏の顔を知っている大和は祖父としてファン第一号としてそう言った。

 

「活動の方でしょ? それこそ霊真君興味ないみたいだし、絶対に言わないでね!」

 

「あいあい、わぁーってるよ。でもどうするんだ? 祭りでらいぶ? するんなら、バレるんじゃねぇか? 迷窟高校に通ってるらしいし、祭りの手伝いに来るだろ?」

 

「ふっふふ、そこは大丈夫だよお爺ちゃん。私のメイクは完璧だし、それに公私混同はしないから!」

 

「ならいいが……紗綾だしなぁ」

 

「……それ、どういう意味?」

 

 そんなやりとりが霊真のいない談話室で交わされたが、彼はとっくに帰っているので伝わることはなかったのであった。

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