異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~   作:鬼怒藍落

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第66話:夜の語らい

闇夜に沈む森の中、昼頃にバアル君との戦いで使われただろう訓練場で、私とルナはラウラと対面していた。

 

「……で、何を聞きたいのラウラ?」

 

「……夜のことだ。お前達がぼかしたことを聞きに来た」

 

「まあ君なら気づくよねー……うんうん、流石は吸血鬼の姫、勘が良くて感心だ――でも手短にね、レイマは眠らせたけどルナを無理矢理出すのは私でもキツいんだ」

 

 特殊な手段でレイマの中に居着いている私が出る分には問題が無いけど、そもそもレイマと正式に契約しているルナを喚び出すのは私でもキツい。

 そのせいで制限時間がつきまとってしまうんだよねー。

 

「分かっている――でだ本当にアルディアの国がレイマを処刑したのか?」

 

「そだよ? ……なんかあの国の王様がレイマの力を使って他の国を侵略しようとしてさー……レイマは当然断ったけど、気にいらなかったっぽくてねー」

 

 あの時の出来事を思い出すかのように、魔力で小さい箱庭を作りながらもその時の流れの説明をする。当時のことを正確に再現しながらも人形遊びを続けたんだけど、それだけでもラウラの表情は曇っていった。

 

「……で、王国は残った仲間を盾にレイマを脅した――君ならどうなるか分かるだろう? 馬鹿ほどお人好しなレイマはそれで抵抗を止めたんだ。そして、彼は反逆者の濡れ衣を着せられた……あ、ちなみにこれ内緒ね? 召喚獣でも知ってるのは極少数だし」

 

「……何処までも、変わらなかったのか? ――ずっと、私達に恩を返そうと?」

 

「まぁね、君が死んだってのもあったけど……それから余計に酷くなったかなぁ? 絶対に仲間を死なせないって、私達を守るためにより強さを求めて無茶をした」

 

 ……覚えてるけど酷かったなぁ、この子が死んだ後のレイマって……魔力を増やそうと無茶するし、身の丈に合わない魔法や技術を覚えようと殆ど眠らずに修行ばっかに明け暮れるし……何よりもっと英雄に近くなっていった。

 

「後は簡単さ、疲れて擦り切れて最後の希望の帰還も奪われて、何処までも優しいあの子は私達と仲間の皆を守るために死を受け入れて――全部に恨まれ死んでった」

 

 ずっと、もっと良い方法をと思考して……助けた人からの慣れない敵意に晒されて、ただただ自分の力不足のみを恨んで死んだ愛しい私たちの英雄。

 そんな彼だからこそ、私達怪物を救うことが出来たのは分かるけど……そんな、どこまでも自分を考えられない彼だからこそこういう結末を辿ったと分かる。

 

 私の原典は……英雄を作ったキングメーカー。

 ……だからある王様のことを知っているが、彼はそれと同じくらいの英雄病だ。

 生粋のお人好しで……人のためになら全てを捧げられる大馬鹿者……凄く大好きで、大事で、私の様なロクデナシにすら手を差し伸べて一緒に時間を過ごしてくれた――そんな大切な一番弟子。

 

「……メルリ……辛いなら私が話すよ?」

 

「いいや、最後まで話すさ……彼の物語の語り部として、見届けた者として――それは私の役目だから。まぁ――それで理由は分からないけど、こうやってレイマはこの世界に来たわけさ! 私が語れるのはこれだけど……ルナには何の用だい?」

 

「……あの時の決闘の訳を聞こうと思ったが……メルリの説明で理由は知れた。あぁ――なんで、私は死んでしまったんだ?」

 

 ……この子も、本当に変わらない。

 種族を守るために一人で旅に出て、誰も信じられないときにレイマに救われた。私たちと同じ境遇のお姫様。彼と同じで優しい子だから、きっと今後悔しているだろう。

 

「……なぁルナ、私ともう一度戦ってくれないか?」

 

「なんで……ってのは野暮だよね。うん、いいよ――その代わり手加減しないから」

 

「――あぁ、私の我が儘に付き合ってくれ」

 

 結界を用意しないとなぁと……そんなことを思いつつ、私は語り部として彼女らの物語を見届けることにした……ねぇレイマ、君はやっぱり大事にされてるんだよ? 

 だから……どうか、これ以上自分を犠牲にしないでほしいな。

 

――――――

――――

――

 

 妙な胸騒ぎを覚えて、俺は目が覚めた。

 ……それになんか周囲が凄く寒く風邪を引きそうになる程の気温であり、夏頃なのにおかしいなって……とにかく何が起こってるかを確かめるために外に出れば、下の方にある開けた訓練場の方から莫大な魔力と結界の気配を感じた。

 

「メルリの結界? ……それにこの気配はルナとラウラか?」

 

 急いで別の服に着替えて……そのまま魔力で体を強化して、そこへと向かえば――結界の中には異界が広がっていた。

 

 氷が結界内を埋め尽くし……血だらけのラウラが果敢にルナへと攻める。

 完全に殺し合いのような状況の中、それをメルリが見守っていて……止めなければこのままラウラは死ぬだろう。

 

 それほどまでに深い傷を負っており……極寒の世界で白い息を吐きながら、彼女はそれでもルナへと挑む。

 

「……二人とも何やって――」

 

 だけどその声が最後まで発せられることは無かった。

 ……メルリが魔法でパンを出して俺の言葉を遮ったのだ。

 

「ごめんねレイマ、これだけは見届けないといけないんだ」

 

 そう言われ、事情は分からなかったがメルリの声音に俺は見届けることを選ぶ。

 それから約五分ほど、ルナによる蹂躙が続き……ボロボロなラウラが地面に倒れたところで、

 

「――ねぇ、ラウラ満足した?」

 

「あぁ――私は本当に弱いな」

 

「それは当然、魔王を倒した私たちと途中でいなくなったラウラじゃ差がある」

 

「……そう、だな。ほんと――私は弱い、どうしてこんなに弱いんだ……」

 

「まぁまぁお二人さん――主役も来たし、ちょっとお話タイムだ。レイマは血を分けてあげてね――流石にこれで放置はラウラ死んじゃうし」

 

「分かってる……とにかく、何があったか聞かせてくれよ」

 

 とりあえず今は治療。

 ……話を聞くためにも、彼女を助けるためにも……俺は首を差し出して彼女に吸血された。暗闇の世界で、首に牙を突き立てられて……ごくごくとそんな音が響き渡り、微妙な快楽に襲われながらも彼女の傷が癒えるのを待った。

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