異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~   作:鬼怒藍落

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第76話:決着

 グラムの姿が消えていき、それと同時にこの場所が元に戻る。

 俺自身への負担を考えてか、自分から俺の中に戻っていった彼女は、寂しそうに微笑んで。

 

「またね……今度はゆっくり話そう?」

 

「あぁ、そうだなグラム」

 

「皆も任せたよ?」

 

 そう言って完全に消えたグラムを見送って、その直後にあまりのキツさに俺は血を吐いた。駆け寄ろうとしてくるルナとバアル……メリルもグラムを召喚した反動でキツそうだし、俺を治せそうな奴はいなかった。

 

「霊真!?」

 

「魔力器官ボロボロだぞ!? おい、親友!」

 

 駆け寄ってくる綾音に式。

 親友は俺の体の状態を確認し、あまりにも悲惨な状況に驚いているようだ。

 体の状態を確認する魔法すら使えない状況だが、その酷さはなんとなく分かる。それこそ、魔力を使うための器官が悲鳴を上げ、呼吸するだけで苦しいぐらいには。

 

「……また貴様は無茶をして、本当に変わらないな」

 

「退いて、私が治すから」

 

 そうやって、倒れる俺の元に……やってくるのはクシナダさん。

 何をするかと思えば、彼女は祈るように言葉を紡ぐ。

 

「高天原に神留坐す――彼の者に、癒やしを与えたまえ」

 

 完治とまではいかないが、彼女のおかげで幾分か楽になった俺の呼吸は安定する。

 立ち上がれるくらいには治ったので感謝を伝えた後に、俺はグラムの一撃を受けて今にも消えかかっているヴォルニュクスに声をかけた。

 

「なぁ聞かせろヴォルニュクス、お前を喚んだのは何者だ?」

 

「それは契約で言えないが、そうだな……ダンジョンとは言っておこう。それより、私を気に掛けてくれるのか? 相変わらず優しいな」

 

「……やりづらいから止めてくれ」

 

「本心だから仕方ないだろう? 貴様は優しく、また私を終わらせてくれた。だから本当にありがとう」

 

 前と同じやりとり。

 ……かつて異世界で倒した時も、彼女は俺に感謝を伝えて消えていった。

 あんだけ酷い勝ち方をしたというのに、こいつは礼を告げて……俺に褒美を渡したことを覚えている。

 

「しかしだ。あのカスを倒したんだな、やはり凄いぞレイマ」

 

「……思えばめっちゃ嫌われてるよな魔王って。三人目の狂信者以外嫌ってたし」

 

「まぁそれは当然だろう? あれあり方が気に食わない」

 

「はっ俺も嫌いだからいいけどさ。なぁ、やっぱりお前は倒すしか無かったのか?」

  

 それは異世界で彼女を知ってからずっと思っていたことだ。

 ……彼女は大地の精霊であり、大地に愛された化身。ミソロジアという世界が生み出したあの世界の意思そのもの。

 人々を見守り続け、ある理由から滅ぼすしか選択肢を選べなかったそんな奴。

 一度目は戦うしかなく、対話する時間もなかったが……今この瞬間なら、これを聞ける。

 

「ヴォルニュクス、俺と契約しないか? 俺は、このままお前が消えるのを許せない。ダンジョンとの契約を切れば、残れるだろ?」

 

 そう聞けば召喚獣達とラウラ以外が目を見開き、俺の言葉に驚いたようだ。 

 だけど、俺からすると彼女をこのまま悪役にするのが嫌で。

 

「くは、本当に変わらないな……異世界で会った時もそう誘ったのを覚えているぞ」

 

「あぁ。で、どうだ?」

 

「魅力的だな――だが、私はもう破壊者になると決めていて、お前に倒されるつもりでいた。もう、何かを壊したくないんだ」

 

「そうか……なら、しょうがないな」

 

「寂しそうな顔をするな、らしくないぞ英雄。いや、貴様らしいか」

 

 そんな顔をしてるだろうかと疑問に思ったが、心情的にそう思われても仕方ないだろう。ならちゃんと見送らないといけないなと、そう思った俺は消えていく彼女に近づいて、

 

「さよなら、ヴォルニュクス。ゆっくり眠れよ」

 

「あぁ――だけどな、最後に」

 

 そう彼女が言った瞬間、俺の手は取られて引き寄せられて。

 凄い至近距離に顔が近づき。

 

「ふふ、私の初めてだぞ? ありがたく受け取るといい」

 

 照れたように笑った紅い髪の美女は、それを最後に消えていった。

 俺もなんだが!? と口に出せないまま、一瞬だけ周り全てが固まる。

 そして次の瞬間に、ベヒーモスが契約したときとは比べものにならない殺気がこの場所を支配した。

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