異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~   作:鬼怒藍落

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第96話:侍女子は華より探索

 休日のこと、その日は図書館に寄ってから家に帰り……借りた本を読んでいたときだった。一件のメッセージが届き、送り主を見れば珍しい相手からで。

 

「……椿さん?」

 

 送られて来たメッセージはダンジョンに潜らないかという簡素な物で、送り主のことを考えると妥当な物。

 だけど、普段連絡を取ってないという事もあり返すメッセージに迷ってしまう。

 とりあえず少し悩んでから、問題ないという事を送れば……すぐに返事が返ってきて住所が送られる。

 

 集合時間は今から一時間ほど後。

 自分が住んでいる場所からだとあそこまでは四十分ぐらいなので、今からでれば間に合いはするだろう。

 

「っと、装備を整えて……あとは軽く昼食用意して」

 

 口に出しながらも装備に着替えて、荷物を持ち魂の世界にしまう。

 そのまま母さん達にダンジョンに行ってくるというメッセージを送ってから家を出て、電車に乗って目的地へ。

 

「おっ霊真殿、お疲れ様でござるー!」

 

 集合場所は喫茶店。

 入ったのは和風のカフェっぽい場所で抹茶を嗜む椿さん。

 穴場の時間なのか、椿さん以外は殆ど客がおらず多分穴場的なところなんだろう。

 俺を見つけて喋るまでは物静かで、それこそ窓際の令嬢のように見えたが、喋り出すと元気なもので笑顔で迎えてくれた。

 

「お疲れ様です……急な誘いでしたけど、どこのダンジョン行くんですか?」

「高尾山の近くでござるな、結構古いダンジョンで……階層型だった筈でござるな」

「了解しました。特徴とか教えてくれると助かります」

 

 そして、そこに向かう道中でそのダンジョンの情報を聞きながら俺は彼女と電車に揺られてダンジョンへと向かい、今まで見たことない種類のダンジョンを目にした。

 簡単に言えばそこはデカい塔。

 前の世界の常識に当てはめれば存在しないだろう赤黒い建物で、中からは異常な量の魔力が感じられる。

 

「……結構ランク高いですか?」

「Aランクでござるな、伝えたとおり天狗のような魔物が多くてよく修行場にしてるでござるよ」

「へぇーってことは日本系のダンジョンなんですね」

「拙者が住んでる高尾山には天狗の伝承があるので、そこの関連だとは考察されているらしいでござるよ」

 

 そうなんだとは思いつつ、今まで潜ったダンジョンは基本西洋の魔物が多かったので、それを考えると初めて潜るダンジョンにはなるだろう。

 だけど、日本系という割には外観が塔なのでちょっと違和感あるなぁとは。

 

「ちょっと着替えてくるから待ってて欲しいでござるよ!」

 

 近くに設置されている更衣室に入っていき、暫く待っていると身動きが楽そうな鎧に着替えた椿さんが出てくる。

 いつもより身軽そうなそれを見ながらも、俺も召喚魔法で魔法耐性が高いローブに着替えて一緒にダンジョンに入れば――その瞬間に風の刃に襲われた。

 

「っといきなりでござるな!」

 

 四方八方から襲いかかってくる刃。

 ほぼ不可視に近いその風に慣れているのか彼女はそれを避け、俺も俺で感知できたので魔法を反射する。

 

「――()!?」

 

 反射した方に魔法を返せば、そこにいるのは大きな団扇を持った天狗。

 赤く長い鼻を持った下駄を履いた赤肌の魔物。それこそ昔噺に出てくるようなその容姿に一種の感動すら覚える。

 自分の召喚獣の中にも八種の天狗はいるが、ここまでコッテコテな天狗は初めてだからこその感想だ。

 

「風ならこれだな――【ウェポンサモン】ダインスレイブ」

 

 喚び出すのは愛用している氷属性の剣。

 黒く刺々しいデザインのそれは、最近出番が多いからか魔力を滾らせており……喚び出した瞬間に周囲に冷気を放ち始めた。

 ついでに椿さんに冷気耐性を付与しながら、俺は一気に前に出る。

 

「空飛んでるなら落とした方が良いよな!」

 

 氷で足場を作りながらも俺は疾走し、そのまま天狗へと距離を詰める。

 近づかないように風の刃を幾つも放ってくるが、それはダインの冷気に寄って凍らされて、その場に落ちるだけ。

 

「――()!」

 

 このままでは悪手だと悟ったのか、相手は腰に差していた刀を抜いて俺へと迫るが、それは届くことなく第三者によって防がれる。

 

「拙者を忘れてるのは悲しいでござるよ」

 

 刀を受け流す椿さん。

 相変わらず足が速いのか俺に追いつき防いでくれたので、その際に生まれた相手の隙を突くように極大の氷柱を作り出して相手の頭に叩き込んだ。

 

 より殺傷能力を高めるために、鋭く何より堅く作ったその攻撃を避けれる時間はもうなくて……相手の天狗は潰れ、そこには緑色の魔石が残る。

 

「最初から天狗が出てくるのは予想外だったけど、楽勝だったでござるな!」

「もしかしてレアなんですか?」

「そう本来なら五階ぐらいで出てくる魔物で、一階層では初めてみるでござるよ?」

 

 最近というか、なんか近頃そういうイレギュラーっぽい現象によく遭遇するな。

 この数週間の中であのAランクダンジョンでもあったし……ここでもそうとなるとやっぱりダンジョンに異変が起こっているのかと思えてしまう。

 ラウラの一件でベヒーモスに話を聞いてみたが、分からないとは言われたけど実際のところもう少し調査した方がいいかもしれない。

 

「次は二階層にいくでござるが、もうちょっと付き合って貰っていいでござるか?」

「暇ですし良いですよ、それにダンジョンで確かめたいことがありましたから」

「確かめたいこと? ……なにかあったでござるか?」

「えっと、最近似たようなイレギュラー多くて」

「あーラウラも言ってた……ような? 覚えてないでござる」

 

 椿さんらしい返答だが、この人の性格を考えると戦えるのなら良いかなぐらいだったのかもしれない。

 

「……む、どうしたでござるか霊真殿?」

「いや、なんでもないです」

 

 ちょっと彼女を見て苦笑していれば、椿さんはジト目でそう返してきた。

 この人は最初会った時は結構頼りになる年上の女性ってイメージが合ったが、こうして関わっていると少し抜けているというか、それこそ戦うことに重きを置いていて、それ以外にあまり頓着を感じない。

 

「ならいいでござるが、とりあえず向かうでござるよ!」

 

 そして、彼女に案内されて……次の階層に向かったんだが、足を踏み入れた瞬間に一気に場の空気が重くなり、そこには大量の鬼がいた。

 二人ではまっとうな手段では到底倒せそうにないその量、それら全てが此方に意識を向けてきて――その瞬間に俺は呪文を唱える。

 

「【ランダムサモン】」

 

 この数に襲われたらキツい。

 そう判断したので対象を指定する暇などはなく、この大人数を倒せることを条件として伝えて魔法を使えば――その瞬間に、この場所が暗闇に染まって。

 

「くはっ吾を喚んだかレイマ! このシバルバーの蝙蝠である吾を! 殺せば良いのだろう、任せろ、悉くを鏖殺しよう! 貴様の盟友であるこのカマソッソが!」

 

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