魔都精兵のスレイヤー   作:マーベルチョコ

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第17話 白旺襲来

六道の鬼、人間道・白旺が名乗り、それに剣至は少し驚く。

 

「名乗るなんて随分と礼儀正しいな」

 

「師匠に教えてもらった。どんな相手だろうと戦うのであれば礼を尽くせと」

 

「師匠ね……」

 

その言葉に白旺より強い者がいるのかと考える。

 

「こちらは名乗った。貴方は?」

 

「……鬼殺隊、紅柱 武藤 剣至だ」

 

鬼に名乗るのはどうかと思ったがここは名乗ることにした。

 

「そうか、貴方が柱か。ならば……」

 

白旺の殺気が膨れ上がり空気が震える。

剣至はその殺気に驚いて冷や汗が流れる。

 

「相手にとって不足なし」

 

白旺も構えを取って剣至と対峙する。

2人は構えたまま動かず、相手の出方を窺う。

しばらく静寂が支配するなか、先に動いたのは白旺だった。

先の木乃美に見せた一瞬の移動で剣至に近づき、刀を振るう。

剣至もその攻撃を捌き、白旺は更に連撃をしてくるが全て反応して捌くがその数と速さに反撃ができない。

 

(一撃が重いし速い!身体の芯まで響いてきやがる!)

 

「柱の実力はそんなもの?」

 

「……言ってくれる!!」

 

白旺の攻撃を押しのけて全集中の呼吸をす使う。

 

血の呼吸、伍ノ型 赫風舞刃

 

お返しと言わんばかり連撃を繰り出して白旺の攻撃を止めて更に技を繰り出す。

 

血の呼吸、捌ノ型 牙赫衝幻

 

強く振りかぶった一撃は斬るのではなく衝撃を与える攻撃で白旺を吹き飛ばし、それに追随するように飛び掛かり一気に距離を詰めて更に追い込む。

 

血の呼吸、肆ノ型 血涙ノ落斬(けつるいのらくざん)

 

落下の速度を乗せた振り下ろしの斬撃が迫るなか、白旺は鞘を無理矢理突き立てて体勢を戻すと上から迫る剣至を見ながら、刀を鞘に納めて居合切りの体勢になり大きく呼吸をする。

独特な呼吸音が聞こえてきて、剣至は白旺がしているのは紛れもなく鬼殺隊の隊士が使う全集中の呼吸だということに驚く。

 

(こいつ!全集中の呼吸を!?)

 

白光(びゃっこう)

 

白い光と見間違う程の斬撃が剣至の斬撃とぶつかり、剣至は押し負けてしまう。

打ち飛ばされた剣至は膝をついて着地するが刀を握る右腕に激痛が走る。

 

「ぐっ……!(今ので折れた……!)」

 

痛みで顔を顰めるが呼吸を整えて、痛みに耐えながら無理矢理握り締めて立ち上がる。

その間に白旺は既に剣至に近づいて、次の攻撃を放つ。

 

白羅蛍(はくらほたる)

 

白旺が放った10連の突きはまるで蛍が飛び交うような不規則な軌道を描いて、剣至に突き刺さった。

致命傷は防いだがそれでも腕、肩、足にいくつか受けてしまう。

 

「あぁっ……!?ッ!!」

 

剣至は呻きながらも白旺の追撃をなんとかしのいで何度も打ち合い、体捌きでかわしながら戦う。

剣術は僅かに剣至が上だが白旺の圧倒的身体能力、異常なまでの刀の速さ、そして全集中に似た剣技で不利な状況になっていく。

剣至が攻撃をしても体捌きと刀で防がれて、素早い反撃によって逆に傷を増えて追い詰められていく。

 

「ちぃっ……!」

 

剣至はこのままでは不味いと考えて刀を横に払って白旺との距離を開けるとその場から後ろに飛び退くが、それにぴったりくっつくように追いついて更に追撃をしてくる。

剣至は驚くがすぐにまた距離を開けようとするがそれにもついてくる。

2人の攻防は走りながら打ち合い、紅と白の影がぶつかりあい火花を散らす。

白旺は再び鍔迫り合いになった瞬間に剣至を蹴り飛ばして体勢を崩すとまた居合切りの姿勢になる。

 

「不味い…!」

 

白光

 

体勢が崩れた状態で光速の居合切りが放たれて踏ん張ることができなかった剣至はまた弾丸のように弾き飛ばされて地面に転がる。

今の攻撃で体の骨にヒビが入り、斬られた箇所は更に傷が開いて血が吹き出してしまう。

痛みに耐えながらすぐに立ち上がったが目の前にはもう白旺が迫っており、その瞬間に白旺は斬り上げた。

剣至の左手首を斬り落とされて、その胴体も深く斬られる。

 

「かはっ……!」

 

致命傷を受けた剣至はその場で両膝をついて崩れ落ちる。

 

「終わりよ」

 

「はぁ……はぁ……」

 

こうべをたれる剣至の首元に白旺は処刑人のように刀を添えた。

 

「使う、しかないか……」

 

血反吐を吐きながらそう呟く剣至の声色はどこか諦めがあった。

白旺は動こうとしない剣至の首に向かって刀を振り下ろした。

 

 

その頃、魔防隊のどこかの組寮を目指して走っていた木乃美は彼女たちを追ってきた醜鬼に襲われていた。

 

「どいてッ!!」

 

一刻も早く、助けに呼びに行きたい木乃美にとって邪魔でしかなく気持ちが焦ってしまう。

漸く終わったと思いきや、また新しく醜鬼が現れる。

また戦おうとした瞬間、車のエンジン音が聞こえてくる。

音が聞こえる方を向くと一番組組長りうが他の隊員を引き連れてきた。

 

「木乃美!無事かい!?」

 

「師匠!!」

 

りう達のおかげで直ぐに醜鬼たちを片付けると木乃美は急いで報告する。

 

「武藤さんが鬼と戦闘中です!今回の事件とは別の鬼なんですが、どこか普通じゃなくて……!」

 

「どういうことだい?」

 

焦りを見せている木乃美を不思議に思い、りうが問いただす。

 

「威圧感……というよりそこにいるだけで剣で刺されたかのような殺気が……」

 

木乃美のその言葉を聞いてりうは心当たりがあった。

相対しただけで濃厚な死を思わせる強大な存在は鬼の中では限られている。

 

「木乃美!最低限の治療を済ませたら剣至のところまで来な!私は先に行くよ!!」

 

「お、押忍!」

 

捲し立てるように言ってりうは駆け出す。

木乃美はいつもの様子とは違うりうに驚きながらも従う。

 

(剣至!持ち堪えるんだよ!)

 

 

無慈悲に振り下ろされた白旺の刀は剣至の首を刎ねようとしたが、それは首に当たる寸前に止められた。

白旺の刀は剣至の切り落とされたはずの()()に刀身を握られて止められており、切り落としたはずの左手に止められたことに白旺は驚く。

 

(何故、腕が?)

 

疑問を持ちながらもすぐに切り替えて刀を引いて離れようとするが、引いても刀はビクともせず剣至に握られている。

その事態に困惑する白旺に剣至は立ち上がって折れていたはずの()()で殴り飛ばす。

白旺は咄嗟に腕で受け止めて防いだが、受け止めた腕は殴られて骨が折れてしまう。

 

「この筋力は人間のものではない……それに傷が」

 

白旺は折られた腕を鬼の治癒力で治しながら剣至の体を注視する。

自分が斬ったはずの胴体の傷も、突き刺された手足の傷も全て完治している。

それに剣至から感じていた人間の気配が自分がよく知る気配に変わっていた。

 

「貴方……鬼だったの?」

 

剣至の瞳は鬼特有の獣のような縦長のものになって血のように紅く染まっている。

剣至は刀の柄を万力の如く力を込めて握り締め、構える。

 

「さっさと終わらせるぞ」

 

剣至の日輪刀は血のような紅さからより赫く染め上がり、白旺を倒すという剣至の意思とともに煌めいていた。

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