魔都精兵のスレイヤー   作:マーベルチョコ

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第31話 訓練の間に

訓練が始まってから数日が経ち、杏寿が訓練から抜ける日がきた。

 

「皆んな、今回の訓練でそれぞれ成果を得ることができたな!」

 

日万凛、八千穂、朱々、サキは全集中の呼吸を習得し、京香たちは杏寿との戦闘で更に戦闘スキルが磨き上がった。

 

「杏寿さんのお陰で数段も強くなることができました。ありがとうございます。この後は引き続き他の組との訓練に参加するのですか?」

 

「いや!私の参加はここまでだ!一応私は剣至の代わりで六番組預かりになっている。次は剣至が訓練に参加するはずだ」

 

六番組預かりの杏寿はこの後剣至と代わり、十番組との訓練に参加することになっている。

 

「それでは皆、これからも励んでくれ!共に人々の平和を守ろっていこう!」

 

そうして杏寿は六番組とともに転移していった。

 

 

六番組の門の前には剣至が待っており、転移してきた杏寿たちと合流した。

 

「杏寿さん、今回の訓練参加ありがとうございました。京香の様子はどうでしたか?」

 

「あぁ、もう迷いはなくなったはずだ」

 

「そうか……ありがとうございます」

 

安心した表情を浮かべる剣至の襟元を見ると包帯が僅かに見えた。

 

「……現世で何かあったのか?」

 

「えぇ、詳しいことはあちらで報告があると思いますから今は簡単にだけ。最近報告にあった特殊な鬼が大量に出現して大きな戦いになりました。幸いにも民間人の死傷者はいませんでしたけどね」

 

「民間人、はか」

 

「……はい」

 

剣至の言わんとすることは分かり、杏寿は僅かに目を伏せるがすぐにいつもの表情に戻る。

 

「よし!引き継ぎは現世に戻ってからとしよう!剣至は引き続き魔防隊との訓練に励んでくれ!」

 

杏寿はそう言って門をくぐり、現世へと戻っていった。

剣至は久しぶりに会う天花たちを一目見て驚いた。

 

「見違えたな。前より断然強くなってる」

 

見た目こそ変わらないが僅かに見える呼吸の仕方が全く変わっており、姿勢が安定しているなど様々なところが良くなっているのが分かった。

 

「フフン!そうじゃろ!以前の私様とは一線を画した成長じゃ!」

 

「すっごく頑張ったんだぁ。もっと褒めてぇ」

 

八千穂は得意気に話し、サハラは素直に褒めてくれと剣至に近づいていく。

 

「待って2人とも。まだ時間があるとは言え、次は十番組との訓練があるから先に荷造りだけ済ませてそれからゆっくりしよう。まぁ時間的に1時間後ぐらいでいいかな」

 

「ん?荷造りならそんなにかから……」

 

「いいね?八千穂?」

 

荷造りの時間にそこまで時間がいらないと思った八千穂が意見を言おうとするとそれを天花が言葉を被せてくる。

しかも表情は笑顔だがその目は笑っておらず、何も悪いことを言っていないのに圧を感じてしまう。

 

「う、うむ……わかり、ました……」

 

「じゃあ、また後で」

 

天花はそう言って自室に戻り、剣至も妙だとは思ったが杏寿の訓練で疲れているのだろうと思い、それに続いて自室に戻った。

八千穂が天花の謎の圧力に呆気に取られているとサハラが労わるように肩に手をおくと、八千穂は猫のように驚いてしまう。

 

「ひょわぁっ!?」

 

「ヤッチ、災難だね〜。組長、限界だったんだよ」

 

「げ、限界?何がじゃ?」

 

「気づいてなかった?組長、一昨日あたりからいつも通りを装ってたけど口数が少なくなってきたの」

 

「そうなのか?確かに言われてみれば……」

 

訓練に集中するあまりその変化に気付くことができなかったが、思い返してみれば最終日あたりは天花の口数は少なくなっていたように思えた。

 

「ということは1時間で集まらんかもしれんな……」

 

「十番組と合流するのはまだまだ時間があるから少しゆっくりしよ〜」

 

「それもそうじゃな。………武藤が無事に戻ってくるか心配じゃが」

 

「ねー」

 

 

剣至は自室に戻り、新しい荷造りを始めていると背後に凄まじい気配を感じて振り返って咄嗟に反撃してしまう。

柱としての経験が危険だと反応してしまったからだ。

しかし、腕を取られた瞬間に視界が反転してベッドに横になっており、その上に何かが落ちてきた。

 

「ぅぐぉっ!?て、天花?」

 

剣至の上に落ちてきたのは天花だが、その瞳には熱を宿して顔は赤くなっていた。

僅かに汗をかいており髪が頬に張り付いている。

どういうことなのかは剣至には分かっていたが、いつも余裕を持っている天花の様子とは違うので一応聞くことにした。

 

「天花?どうしたんだ?」

 

「我慢できないのぉ……お願い、1回だけにするから……ンっ♡ちゅぅ♡」

 

そう言うと天花は熱いキスをして剣至に体を密着させる。

名残惜しそうにキスが終わると剣至の首に唇を這わせて仕事終わりで僅かに香る汗と体臭に興奮しながら舐め取っていく。

 

「ちゅ♡ちゅる♡んっ、はぁ♡2週間以上も、ちゅぅ♡ケンくんから離れて限界♡体のうずきが止まらないよぉ♡1時間で済ませようと思ったけどムリみたい♡」

 

またキスに戻り、両手は剣至の体をまさぐるように動いていた。

 

天花はとにかく我慢していた。

剣至が一番組と合同捜査をしてその後も2人っきりの時間をあまり取れなかった。

そして続け様に訓練が始まり、剣至とは離れてしまった。

剣至との触れ合いが長いことなかったのと杏寿との厳しい訓練で天花の欲求不満は爆発してしまった。

 

その欲望のままに剣至を味わおうとすると剣至が天花の腕を掴んで上下を交代させる。

 

「やぁ、もっとしたいのぉ♡」

 

「分かってる。俺も久しぶりだししたい。けど時間がないから……」

 

天花に顔を近づけて至近距離で見つめる。

その目には獣欲があり、天花はそれを見て背筋にゾクゾクとした感覚が走る。

 

「一回で激しくヤるからな」

 

「……うん♡」

 

 

約1時間後、八千穂とサハラは準備を終えてリビングで待っていたが案の定剣至と天花はおらず、八千穂はいつものことかと思い、既に昼寝をしているサハラを見て自分も軽く寝るかと考えていた。

すると扉が開いて、剣至が顔をのぞかせる。

 

「えーっと……思ってたより荷造りに時間がかかってるから十番組の集合時間の10分前には必ず来るから」

 

顔中にキスマークの跡をつけた剣至が早口でそう言うとまた戻っていく。

八千穂は去った後の剣至を不満そうに睨みつける。

 

「まったく……少しは私様にも構わんか……」

 

ボソリと呟くと自分が何を言ったのかを思い出して頭をブンブンと振って消し去る。

サハラは寝ぼけ目ではそれを見るとまた眠ってしまった。

 

やがて約束の時間になり、剣至一行は十番組に向かった。

到着すると十番組寮の前には恋を筆頭に十番組の面々が待っていた。

 

「六番組よく来たわね」

 

「総組長。お世話になります。良い訓練になるように頑張りましょう」

 

代表として恋と天花が握手して挨拶をする。

何故か剣至には2人の間に険悪な空気が流れているように見えてそれがこっちに流れてきそうで怖くなってしまった。

いや、実際のところ確実に流れてくるのだから覚悟を決めるしかないのだろうとも思っていた。

 

「それでは早速訓練といきたいところだけど……剣至、現世で大規模な鬼の襲撃があったと報告があったわ。実際に戦った貴方から話を聞きたいの。天花と一緒に会議室に来て、そこで話は聞くわ。他の皆は早速訓練を始めてちょうだい。初日の内容は任せるわ」

 

恋はそう言って会議室まで剣至と天花を案内し、全員が座ってから話を始めた。

 

「それじゃ剣至、お願いね」

 

「あぁ……俺は今回鬼殺隊炎柱の杏寿さんとシャッフルして、杏寿さんが担当する地区を任せられたんだ」

 

 

剣至が現世に到着し、杏寿が住む煉獄邸へとやって来て最初に始めたのは煉獄道場での見習い隊士達への指導だった。

 

「短い期間だが杏寿さんの代わりで暫く君たちの指導することになった紅柱の武藤 剣至だ。よろしく頼む」

 

『よろしくお願いします!!』

 

見習い全員が元気よく挨拶を返して剣至を真剣な目で見てくる。

それだけで杏寿の指導が良く行き届いていることがわかった。

挨拶が終わると傍に控えていたスポーツ刈りの正に偉丈夫といった男性が見習い達に指示を出す。

 

「それではいつも通り準備体操から基礎訓練を始めろっ!!紅柱様の指導は午後からとなる!!始めっ!!」

 

『はいッ!!!』

 

指示を聞いた見習いたちは素早く行動を始め、それを見届けるとその男性は剣至に話し掛ける。

 

「挨拶ありがとうございました紅柱様。後の訓練は彼らも楽しみにしていると思います」

 

「灰戯さん、そう言って貰えて嬉しいです。訓練でも頑張らさせてもらいます」

 

男性の名前は灰戯(はいぎ) 勇雄(いさお)

昔から煉獄家を支える家系の人間で杏寿の右腕である人物で、剣至の境遇についても知っている?

 

「敬語はよしてください。貴方は鬼殺隊を支える柱なのですから」

 

「それでも礼儀を払うのは当然のことです。それにこうしないと杏寿さんに叱られます」

 

剣至の謙虚な姿勢に好感を持った灰戯はそれを良しとして、そのまま煉獄道場の案内を始める。

 

「分かりました。……それでは改めて煉獄道場の案内をさせて貰います。ここは見習い隊士を正式な隊士にするために訓練をさせる場所です。それと同時に炎柱様が管轄する土地の主要拠点となり多くの隊士も出入りしています」

 

「ええ、知っています。俺もここで訓練しましたから」

 

剣至は訓練する見習い達を懐かしそうに見る。

 

「それではここに駐在している隊士を紹介します。彼らはここの師範であるのと同時に炎柱の側近としてサポートもしています」

 

連れていかれると1人は剣至に近い年頃の男性で、もう1人は剣至より若い女性が幾人かの師範と共に監督しており、剣至のことに気づくと女性は畏まった姿勢を見せるが男性は少し顔を顰めた。

 

「彼女はこの道場で一番若い隊士ですが実力は炎柱様が認めるものです」

 

「初めまして!萌葱(もえぎ) あお、と言います!階級は壬です!よろしくお願いします!」

 

ショートボブの黒髪の女性、あおは元気よく挨拶をして杏寿や木乃美を彷彿させた。

もう1人の男性は挨拶をせず、そっぽを向いている。

 

「琥太郎先輩!挨拶しないと!」

 

「……ああっ、林田 琥太郎(こたろう)です。階級は壬です。……すいません、訓練を見ないといけないので」

 

そう言って琥太郎は足早にその場から離れていき、すぐに灰戯は謝る。

 

「すいません。失礼な態度をとってしまい」

 

「いえ、林田は俺と同期ですから。あの態度は仕方ないですよ」

 

剣至は同期から迫害を受けて、柱になってからは流石になくなったがそれでも失礼な態度を取られることはまだある。

 

それから数日は訓練と周辺の警邏を受け持ちながら過ごしていた。

すると、ある日の夜に灰戯とともに警邏に出ていると専用のスマホに突然けたたましいアラームが鳴り、隠れ家から報せが入る。

 

『○○地区にて大量の醜鬼と鬼が徒党を組んで襲撃!!近くの隊士は至急指定の場所に集合してください!!』

 

「ここから近いです」

 

「行きましょう」

 

剣至と灰戯はすぐさま走り出し、目的の場所に向かった。

 

 

 

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